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『テセウスの船』共犯者の手がかりを検証 鈴木亮平の排除を目論むみきおの真の目的とは?

リアルサウンド

20/3/9(月) 6:00

 音臼小事件当日を迎えて、田村心(竹内涼真)は佐野文吾(鈴木亮平)と犯行を防ぐため奔走する。心たちが選んだ方法は、犯人・加藤みきお(柴崎楓雅)を徹底してマークすること。しかし、みきおは校長の石坂(笹野高史)と木村さつき(麻生祐未)に自分が疑われていることを涙ながらに訴え、かえって心たちが怪しまれることになる。

参考:竹内涼真の心さんに“ツッコミ”せずにはいられない! 『テセウスの船』から漂う大映ドラマの香り

 『テセウスの船』(TBS系)第8話では、息が詰まるような犯人との攻防が繰り広げられた。心たちは青酸カリがはっと汁に入っていると考えて周囲に目を光らせるが、毒は混入されておらず、監視も空振りに終わる。結局、音臼小事件は起こらなかった。

 その頃、佐野の説得で村を出た和子(榮倉奈々)と子どもたちは、何者かに襲われ監禁されていた。和子たちが見つかったのは音臼小の体育館倉庫で、発見したのはみきおだった。みきおはお楽しみ会で学校にいたため、心と佐野は共犯者の存在に思い至る。体育館倉庫に閉じ込めることができるのは、お楽しみ会に参加した人物である可能性が高い。

 共犯者の手がかりについて、これまでに、1.お楽しみ会に参加している、2.車を運転できる、3.和子たちを運ぶ腕力がある(これに野菜やスタンガンを調達できる、を加えてもよい)ことが明らかになっている。可能性があるのは、商店主の井沢(六平直政)、元村議会議員の息子・田中正志(せいや)、農業を営む徳本(今野浩喜)、校長の石坂あたりだろうか。この中では31年後に殺害された正志が怪しいが、共犯者の正体が気になるところだ。

 音臼小事件が不発に終わったことで、あらためて犯人の動機に目が向けられることになった。サイコパス的な資質を持つみきおだが、「心先生は全然わかってないなあ。僕の計画は完璧だ」という発言や、ワープロに打ち込んだ「計画はとっくに変更した」という記述から、何らかの目的を抱いて犯行に及んでいることがわかる。

 みきおの目的は、新たに見つかった絵からも伝わってくる。はりつけにされた警官とその横で泣く家族の絵は、佐野がみきおの標的であることを示していた。また、みきおが佐野に向かって放った「正義の味方は僕一人でいい」という言葉の裏には、佐野を排除するという明確な意思が見て取れる。

 佐野を狙う理由を「鈴ちゃんのためだよ」というみきおが、鈴(白鳥玉季)に執着する理由は定かではない。救出劇がみきおの自作自演であることを知らない鈴が「ありがとう」と言ってみきおに抱きつく描写があったり、未来で2人が結婚していることを考慮すると、みきおが鈴に好意を抱いていた可能性はある。通常、そのことが犯行に結びつくとは考えにくいが、常軌を逸したサイコパスならありえるのかもしれない。

 原作にないストーリーに突入するドラマ版『テセウスの船』だが、閉鎖的なコミュニティで起こる事件にタイムスリップという要素を持ち込み、さらに佐野家の絆というヒューマンドラマの要素を兼ね備えた巧みな作劇に引き込まれる。スピーディーな展開と、別世界のようなリアルな空気感に魅了されている人も多いだろう。

 第8話では、和子が明かす佐野との結婚秘話もあり、その直後、みきおが仕掛けた罠に踏み込む佐野の姿もあった。みきおは未来から来た心の命も狙っている。音臼小事件は不発に終わったが、みきおと共犯者を捕まえない限り、これからも佐野と家族は脅かされ続ける。無事に犯人を逮捕し、ふたたび佐野家の「ダー!」を目にする日が来ることを願うばかりだ。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。

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