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ジョーカー

19/10/16(水)

激しく、強く、そして濃い一作だ。 バットマンの悪役として広く知られるジョーカーの誕生秘話だが『バットマン』シリーズを観ているかどうかは、全く関係なく楽しめる。 舞台は『バットマン』の架空都市ゴッサムシティという前提なのだろうが、フィラデルフィアあたりのしっかりとした感触の地方都市で舞台が始まる。フランク・シナトラの2曲、エンド・テーマの「Send in the clowns」(clownはジョーカー扮するピエロの意味)やジョーカーが口ずさむ「That's Life」を核として、徹底的に1950~60年代アメリカ映画、芸能へのオマージュが炸裂。吟味されつくしたノスタルジックなフォント、ビジュアル、音楽が躍る演出。 オープニングからそのレトロなムード作りは、先日公開されたタランティーノ監督『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』にも負けない、グラフィティへのこだわり。その徹底ぶりには『メリー・ポピンズ リターンズ』『グレイテスト・ショーマン』に並ぶ満足感を与えられるが、それとてこの映画の威力の導入に過ぎない。 何と言っても主演のジョーカー役のホアキン・フェニックスの役作りの凄まじさだ。社会の底辺、出生の不幸を背負った男がどうして殺人の狂気を身につけていくか? そのプロセスを20㎏も落としたといわれる肉体で、これでもか?と演じきる。そのヴァイオレンス度は、米国映画史上でも最凶ともいえるレベル。社会を巻き込んでいく不安感は、レトロでもなんでもなく、たった今の社会の病理として、警告として発せられている。 スキのない演出、物語運びはボブ・フォッシー監督の『オール・ザット・ジャズ』(1979年)を思い出してしまったが、いかがだろうか?(物語は全く違います) 米国映画作りの底力と、米国社会の闇をこれでもか!というほど味わえる、今年最大の問題作だ。

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