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ウォルピスカーターが踏んだ“高音出したい系男子”の大きなステップ 中川翔子、はるまきごはんら参加した『“大”株主総会』レポ

リアルサウンド

20/2/7(金) 7:00

 ウォルピスカーターが、1月26日に豊洲PITで『2019年度 ウォルピス社“大”株主総会』の追加公演を開催した。2012年より、ニコニコ動画やYouTubeを中心とした動画サイトに歌唱動画を多数投稿しているウォルピスカーター。その高音域の歌声でネットシーンを中心に人気を誇っている歌い手であり、ウォルピス社(自身の会社ということらしい)の社長でもある。

参考:中川翔子×ウォルピスカーター対談 亡き父・中川勝彦の時代を越えた愛のメッセージ「今ごろ天国でガッツポーズを取っている」

 本公演には昨年10月27日に開催した『2019年度 ウォルピス社“大”株主総会』(ワンマン)と同様に、ゲストボーカリストとして、けーぽん、SILVANA、はるまきごはんが参加。さらにスペシャルゲストとして中川翔子も迎え入れて、大熱狂のステージを作り上げた。

 けーぽんがナレーションを務めたという、“ウォルピスカーターの半生”というオープニングムービーで株主(オーディエンス)たちの笑いを誘った後は、バンドメンバーによる演奏と合唱から、即座に銀テープが放たれた。疾走感溢れる「STILL GREEN」、TVアニメ『幼女戦記』EDテーマ「Los! Los! Los!」のカバーを届けると、「あの2曲の連投はしんどいんですよ……」と、すでに消耗している様子を大袈裟に見せつつも、「改めまして、ウォルピスカーターです。よろしく!」と陽気に挨拶。「廃景に鉄塔、「千鶴」は田園にて待つ。」、「潜水艦トロイメライ」の2曲も、高低のある激しい曲調ではあったものの、テンポよく歌いきっていたのが印象的だった。

 4曲を歌い終えたところで「高い曲を一緒に歌うパートナーが必要だ」と株主たちに言い聞かせれば、ゲストボーカリストひとり一人との共演ステージに。全身が緑色の銅像に扮したけーぽんとは、ハイトーンの極みへと挑戦するような「命のユースティティア」、「傀儡マイム」を、スーツ姿のSILVANAとは、After the Rainの楽曲「アイスリープウェル」、ウォルピスカーター自らが作詞、SILVANAが作曲した共作ナンバー「蜃気楼に求め」を、はるまきごはんとは、彼による書下ろし曲「1%」、はるまきごはんの楽曲「再会」、二度目のタッグを組むこととなった「雨子」を披露。

 「ライブに出演させていただくことが何回かあるんですけど、人間じゃない形で呼ばれることが多いんだよね」と話していたけーぽんと、「リハ中は寒かったけど、人間たちの熱気で……」と話していたはるまきごはんに続いて、ウォルピスカーターが「今日のゲスト、みんな人間じゃないのかな?」と問いかける場面では、会場が笑いの渦に包まれていく。恐らく、この時間は、完璧な高音を奏でたいという理想を、3人の助っ人の手を借りることで、現実へと近づけていくための時間だった。

 ここからは、ウォルピス社の朝礼の時間と設定されたシアトリカルなステージへと一転。社長室に入室した社員たち(バンドメンバー)を鍛え上げるために、社長(ウォルピスカーター)が呼び込んだ外部のスパルタ指導をするコンサルタントマネージャーが登場。それがこの日の4人目のゲストボーカリスト、中川翔子。社員たちだけではなく、社長、株主たちまでもが、中川翔子先生に「ギザカワユス!」などと声を上げるように指導され、場内は大フィーバー。

 自身の3rdアルバム『これからもウォルピス社の提供でお送りします。』にも、J-POPのカバー曲が収録されているように、ウォルピスカーターは、ボカロ楽曲以外のカバーにも意欲的な歌い手であることは特筆しておきたい。この日も、天まで昇りそうな透き通った歌声で、同作品の収録曲である、DREAMS COME TRUEの「未来予想図Ⅱ」と、PRINCESS PRINCESSの「M」をカバーした。

 再び登場した中川翔子とは、昨年12月4日にリリースされた彼女の5年ぶりとなったオリジナルアルバム『RGB~True Color~』に収録されているウォルピスカーターのプロデュース曲「ある日どこかで」、中川翔子の楽曲「空色デイズ」を歌唱した。本編は、今度はゴールドの銅像に扮したけーぽんが急遽参加した、ウォルピス社のCM曲「斜めがけ前線」で、締めくくる。

 そして、2020年3月25日にリリースされるニューアルバム『40果実の木』の告知を挟んだアンコールに突入すると、ピアノ、ギターによる演奏で「無花果」、バンドメンバー全員による演奏で「泥中に咲く」を届けて、『2019年度 ウォルピス社“大”株主総会』は幕を閉じた。

 4人のゲストボーカリストを迎えることでウォルピスカーターは、より“高音出したい系男子”としての大きなステップを踏んだことだろう。終始、歌の間は賑やかな会話で埋まっていた株主総会だったが、その空間を創り上げているのは、紛れもなくオープンで親しみやすい彼の人柄。理想を現実へと近づけていくその背中は、ただただ逞しいものだった。彼がステージを後にしてからは、9月27日に東京・Zepp Haneda、11月1日に大阪・Zepp Nambaにて、ワンマンライブ『真・株主総会』、『ハイトーン刑務所 ~LIVEでキーを下げただけなのに~』を開催することが告知され、場内には割れんばかりの歓声、拍手が上がった。(小町 碧音)

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