「七月大歌舞伎」が、昨日7月4日に東京・歌舞伎座で開幕した。

第1部は、市川中車演じるあんま秀の市と、尾上松緑演じる泥棒権太郎による二人芝居「あんまと泥棒」で幕開け。中車と松緑は、図太くしたたかな秀の市と、お人好しな権太郎のやり取りをコミカルに立ち上げる。続く「蜘蛛の絲宿直噺」は、昨年11月に上演された作品をバージョンアップしたもの。市川猿之助は6役の早替りで魅せながら、中村梅玉演じる源頼光の命を狙う女郎蜘蛛の精の姿でクライマックスを迎える。また猿之助による、渡辺綱役の中車、平井保昌役の松緑との立ち回りも見どころだ。

第2部は、「新古演劇十種の内 身替座禅」と「御存 鈴ヶ森」が披露される。「身替座禅」では、松本白鸚が山蔭右京、中村芝翫が奥方玉の井に、それぞれ初役で挑む。白鸚は、家来の太郎冠者（中村橋之助）を巻き込み、愛人に会いに行ってしまう右京、芝翫は、そんな右京を愛するがゆえに嫉妬心を募らせる玉の井を、それぞれユーモアたっぷりに演じた。四世鶴屋南北による「御存 鈴ヶ森」は、江戸随一の侠客・幡随院長兵衛とお尋ね者の美少年・白井権八の出会いを描いた作品。中村錦之助が長兵衛、尾上菊之助が権八を勤める。

第3部は、市川海老蔵による「雷神不動北山櫻」が上演される。「雷神不動北山櫻」は、歌舞伎十八番の「毛抜」「鳴神」「不動」の3作品が織り込まれている成田屋ゆかりの通し狂言で、本作で海老蔵は鳴神上人、粂寺弾正、早雲王子、安倍清行、不動明王の5役を早替りで勤める。なお、海老蔵が歌舞伎座に出演するのは、2019年以来約2年ぶりだ。

「七月大歌舞伎」の第1部と第2部は7月29日まで、第3部は16日まで実施される。

「七月大歌舞伎」

第1部・第2部

2021年7月4日（日）～29日（木）
東京都 歌舞伎座

第3部

2021年7月4日（日）～16日（金）
東京都 歌舞伎座

第1部

一、「あんまと泥棒」

作・演出：村上元三
演出：石川耕士

出演
あんま秀の市：市川中車
泥棒権太郎：尾上松緑

二、「蜘蛛の絲宿直噺」

出演
女童熨斗美、小姓澤瀉、番新八重里、太鼓持彦平、傾城薄雲実は女郎蜘蛛の精：市川猿之助

平井保昌：尾上松緑
坂田金時：坂東亀蔵
碓井貞光：中村福之助
卜部季武：市川弘太郎
金時女房八重菊：市川笑三郎
貞光女房桐の谷：市川笑也
渡辺綱：市川中車
源頼光：中村梅玉

※澤瀉の「瀉」のつくりは、わかんむりが正式表記。

第2部

一、「新古演劇十種の内 身替座禅」

作：岡村柿紅

出演
山蔭右京：松本白鸚
侍女千枝：中村米吉
侍女小枝：中村莟玉
太郎冠者：中村橋之助
奥方玉の井：中村芝翫

二、「御存 鈴ヶ森」

作：四世鶴屋南北

出演
幡随院長兵衛：中村錦之助
東海の勘蔵：河原崎権十郎
北海の熊六：坂東彦三郎
飛脚早助：中村吉之丞
岩間の蟹蔵：市村橘太郎
和尚の鉄：片岡亀蔵
土手の十蔵：市川團蔵
白井権八：尾上菊之助

第3部

「通し狂言 雷神不動北山櫻」

作：安田蛙文、中田万助
演出：奈河彰輔
演出・振付：藤間勘十郎

出演
鳴神上人、粂寺弾正、早雲王子、安倍清行、不動明王：市川海老蔵

八剣玄蕃：市川右團次
秦民部：市川男女蔵
雲の絶間姫：中村児太郎
八剣数馬、制多迦童子：市川九團次
小野春風、矜羯羅童子：大谷廣松
錦の前：市川男寅
小原万兵衛実は石原瀬平 / 黒雲坊：片岡市蔵
秦秀太郎：市川門之助
白雲坊：市川齊入
小野春道：大谷友右衛門
腰元巻絹：中村雀右衛門

後見：市村家橘

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