金曜ドラマ『病室で念仏を唱えないでください』（TBS系）の制作発表会見が9日、日蓮宗善立寺で行われ、伊藤英明、中谷美紀、ムロツヨシ、松本穂香、片寄涼太、余貴美子が出席した。

　本作は、僧侶で救急医の松本照円（伊藤）を主人公とした一話完結形式の医療ヒューマンドラマ。人を救うことに誰よりもこだわる照円の奮闘を通して、「生きることとは、そして死ぬとは何か」を問う。

【写真】伊藤英明とムロツヨシの同級生コンビ

　2人の子どもが産まれ、事務所の社長や大先輩の津川雅彦を亡くし、「人生の岐路を感じている時に、こういう素晴らしい役をいただいたことに感謝と縁を感じる」と神妙な面持ちの伊藤。中谷は、そんな伊藤が演じるキャラクターについて「人間味に溢れていて、情熱的で魅力的」と太鼓判を押した。

　正月に帰省したというムロは、甥や姪に「次は天才心臓外科医だよ」と告げたら笑われたといい、「そいつらを見返すために頑張りたい」と意気みを。一方、片寄は高校時代の友人に研修医が2人いると明かし、リアルな声を聞いてきたと報告。「現場では中谷さんに、（さとり世代ということで）“本当にムカつく”と言っていただく瞬間もあって（笑）。若い世代の代表としてやらせていただこうかなと。精一杯良い経験にしたい」と成長を誓った。

　クランクインの3カ月以上前から、般若心経などを覚え始めたという伊藤は、「ジムの風呂でよくお経を唱えていたんです。そしたら市川海老蔵さんがジムでお経を唱えているっていう噂が広がって」と話すと会場は大爆笑。「情報が解禁されてからは“伊藤英明だ”って収まりがついたけど、その間に不気味がられた海老蔵さんに謝りたい」と恐縮していた。

　ムロは「説得力が増すように、初の医療ドラマだけど、取材などでは“11回目”って言ってます。まずは嘘から塗り固めて。（演じる）濱田も嘘があるので、そういった意味では役作りをしている」と持論を展開。同じく医師役に初挑戦する松本は「左利きという設定があるので、左手でご飯を食べてみたりしています」とほほえんだ。

　また片寄は「まだ自分の技術が追いついていない現実と、自分の頭の中に思い描く理想という葛藤は共感できるものがある」。演じる田中は“サトリ世代”だが、「僕はたぶん“ゆとり世代”。でも、意図せずに先輩方をムカつかせてしまう瞬間もあったりするのかも」とおちゃめに“サトリ世代”への共感を述べた。

　作品の見どころについて質問が飛ぶと、伊藤が「医療で人を救うという側面だけでなく、患者と患者に関わるすべての人に仏教を通して何を残してあげるか。そして救ってあげるか。生と死に真っ向から向き合うドラマ」と話したほか、片寄が「命を扱う作品だからこそのシーンもあり、逆に食事をしているシーンでは命をいただいている。そういうところも感じ取っていただけたら」と語るなど、各々作品の魅力を真摯にコメント。そんな中、余が「（自分が）ちょっと良いことを言ったりするのが見どころ」と話し、ムロがすぐさま「まさか余さんがご自分のことを話すとは！　素晴らしい大先輩。嬉しかった」とツッコみを入れると、キャストたちは揃って笑顔を見せた。

　実は伊藤、中谷、ムロは同級生。ムロは「英明さんが鍋を食べたいと言ってくるので、どこかで鍋を振る舞おうと思っていますよ」と自信ありげ。中谷から「80人分ですか？　スタッフ・キャスト合わせて」と聞かれると、「そういうことになるんですか!?」と一瞬たじろぐも「作ります、作ります。80人分。プライベートで全員ウチに招待しますよ。鍋の種類も5種類くらい作りますよ！」と絶口調。同世代とはいえ、「20代の時は観る側だった」というムロは、「私がバイトしている頃、『海猿』に出てたんだから。俺はなぜ海猿になれないんだ！　って思ってた」と力説したところで「すみません、局が違いました」と平謝り。「後で怒られるんだ」とトーンダウンして笑わせた。

　かたや伊藤は、中谷の差し入れがいつもおいしいと絶賛し、「洋菓子なのか和菓子なのか、口の中でホロっと溶けるアーモンド風味の……」と話すと、「それは洋菓子ってわかるでしょ！」とムロ。続けて、伊藤がクリスマスに差し入れしたフライドチキンが冷えていたという失敗談を明かすなど、とにかく楽しそう。

　一方中谷が「伊藤さんは、こう見えてすごく真面目な方で」と語ると、観客から「えぇ!?」と驚きの声が。中谷も「ビックリでしょ？」と同調しつつ、「台本も行間をしっかり読み込んで現場に入られるので、小手先でお芝居をしない。このリーダーのためなら地獄の果てまでお供したいと思える。そんな主演に出会えたことが幸せ」と称賛すると大きな拍手が起こり、伊藤は恥ずかしそうに目を落としていた。

　なお本作は、本編に先駆けParaviオリジナルストーリー『病室で念仏を唱えないでください～サトリ研修医・田中玲一～』が配信される。同作で主演を務める片寄は「より深くあおば台病院のことを知っていただけるストーリー。田中くんが、実は裏でこんなことを思っていたんだと思ってもらえたら」と呼びかけた。

（nakamura omame）