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Sik-K、ZICO、CHUNG HA……韓国HIPHOP/R&Bでも盛んなコラボレーション 注目5曲の制作背景を解説

リアルサウンド

20/7/19(日) 10:00

 ヒップホップやR&Bのジャンルではアーティスト同士のコラボレーションが頻繁に行われる文化がある。韓国でもそれは同様で、最近は特に様々なきっかけで集まったアーティストたちのコラボトラックが多くリリースされた。韓国の中でブームとなったミームの主人公を迎えて作られたものから、番組の中で生まれたり、入隊者と除隊者のバトンタッチの作品まで、それぞれの理由で誕生した5曲のHIPHOP/R&Bトラック。本稿では特に注目の5作を紹介したい。

Sik-K, pH-1, Jay Park, HAON「GANG Official Remix」

Sik-K, pH-1, Jay Park, HAON – GANG Official Remix (Official MV) (SUB ENG/KOR)
Sik-K, pH-1, Jay Park, HAON「GANG – Official Remix」

 Rain(ピ)は2002年にJYPエンターテインメントからデビューし、韓国で大きな人気を集めた歌手/俳優だ。しかし、彼が2017年にリリースしたシングル「깡(カン、GANG)」は、ダンスやボーカルはいい評価もされたが、セルフプロデュースについては鋭い指摘もあった。だが、同曲はなぜか発表の2年後から少しずつ話題を集めミームを起こし、2020年にセレブを含めた多くの人々が「“カン”チャレンジ(#GangChallenge)」に参加することになった。その流れに乗ったJay Park率いる<AOMG>と<H1GHR MUSIC>のコラボレーションが見事だ。本トラックはRainが認めたオフィシャルリミックスであり、MVの後半にはRain本人も登場して後輩のラッパーたちと一緒にダンスを披露する。原曲の味は生かしながらも洗練されたラップと歌を飾ることで生まれ変わった同曲はは韓国の音源チャートで1位を獲得するなど大きな人気を得た。

지코 (ZICO) 「Summer Hate (Feat. 비)」

지코 (ZICO) – Summer Hate (Feat. 비) Official Music Video
ZICO『RANDOM BOX』

 前述の「GANG Official Remix」に続いて紹介するZICOの「Summer Hate (Feat. Rain)」でまたしてもRainが登場する。それほど2020年のトレンドにRainという人物が欠かせないと言えるだろう。優れたダンススキルとボーカル力を持っていながらも酷評された時期のあったRainだが、、今最もトレンドの最前線を走るラッパー兼プロデューサーZICOとのタッグで新たなセンスを身に付けることに成功した。TikTokを中心に「“Any Song”チャレンジ(#AnySongChallenge)」を大流行させたZICOは、今回も「“Summer Hate”チャレンジ(#SummerhateChallenge)」でバイラルチャートを賑わすことになりそうだ。暑すぎる夏の辛さをコミカルに表現した歌詞の中にはRainのヒット曲「태양을 피하는 방법(太陽を避ける方法)」が引用されるなどリスナーの興味を引くようなポイントも多い。それぞれの時代を代表する男性ソロ歌手同士の出会いがどのようなトラックを生んだのか、ぜひチェックしてみてほしい。

CHUNG HA 「My Friend (Feat.pH-1)」

CHUNG HA 청하 ‘여기 적어줘 (My Friend) (Feat.pH-1)’ MV
CHUNG HA「My Friend」

 CHUNG HAは元I.O.Iのメンバーであることでも知られているが、ソロ活動を始めてからはラッパーたちとの交流も増えてきている。1stミニアルバム『Hands On Me』(2017年)収録曲「Why Don’t You Know」でHIPHOPクルー・VMCのNucksalを迎えた彼女は、<AMBITION MUSIK>のCHANGMOや<88rising>のRich Brianなど様々なラッパーとコラボを果たした経験がある。しかし、今回のコラボシングル 「My Friend (Feat.pH-1)」にはさらなるバックストーリーがある。本トラックは、実はシンガーソングライターのZion.Tがプロデューサーとしてアーティストたちにトラックを使ってもらうために奮闘するという内容のモキュメンタリー番組『곡FARM!(曲FARM!)』の中で生まれたトラックだ。実際にZion.Tがトラックを手掛け、<H1GHR MUSIC>に所属するラッパー・pH-1がフィーチャリングで参加した。しかし単に番組内で生まれた楽曲だと見下ろすことは禁物。最高の実力を披露した3人の組み合わせは、あまりにも完璧なコラボトラックを誕生させた。

Jvcki Wai, Coogie, Paloalto, The Quiett, 뱃사공 (Bassagong) 「Fadeaway」

Jvcki Wai, Coogie, Paloalto, The Quiett, 뱃사공 (Bassagong) – Fadeaway MV
Jvcki Wai, Coogie, Paloalto, The Quiett「Fadeaway」

 マイケル・ジョーダンとエアジョーダン(スニーカー)の人気は、今年Netflixで公開されたドキュメンタリー『マイケル・ジョーダン: ラストダンス』の話題性からも分かるようにタイムレスさを誇る。韓国ヒップホップシーンを語る際に欠かせない5人のアーティストたちのコラボが実現したのもまた、それぞれのマイケル・ジョーダンに対するリスペクトがあったからだと言えるだろう。ナイキのジョーダンブランドとのコラボで作られた本トラックのタイトルは、マイケル・ジョーダンの必殺技である「Turnaround Fadeaway Jumper」から名付けられている。一人一人のバースも聴きごたえがあり、〈Michael Jのように飛ぶ〉 という歌詞のJvcki Waiのサビは中毒性が高い。MVの中でマイケル・ジョーダンのシンボルやジョーダンスニーカーを見つけることも楽しみ方の一つだろう。

ODEE – 「바톤터치」(feat. Don Mills)

ODEE – 바톤터치 (feat. Don Mills) (Audio)
Odee『BATON TOUCH』

 韓国の男性には徴兵制度というものがある。その時間がアーティストのキャリアにどれほど影響するかは言うまでもないが、例外はほとんどない。つい先月VMCのラッパー・Don Millsは徴兵制度を終え除隊して社会に戻ってきた。先輩のラッパー・Beenzinoが同じく除隊した際にE SENSを迎えてリリースしたシングル「OK GO」をリミックスした「OK GO 2」を発表し、これからの活躍を堂々と約束した。しかしその直後に、まるでバトンタッチするかのようにVSC所属の後輩ラッパー・ODEEの入隊日が訪れた。2人は「Baton Touch」という楽曲で、お互いの立場から考えることを素直に伝え合う。ODEEは、兵役を終える2年後に、さらに格好いい存在になった姿を見せるという抱負を語り、Don Millsは軍隊で生活する上でのヒントを惜しまずにアドバイスする。同曲は、まさに韓国だからこそ誕生した特別なコラボトラックと言えるだろう。

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■limasul
日韓の大衆音楽事情を専門とするライター。歌詞・記事の翻訳や音源の流通、キュレーションなどの職業を経て、今は日韓の音楽シーンの架け橋となるべく活動中。
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