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学園ドラマから本格ラブストーリーへ 山崎賢人、横浜流星、菅田将暉の次のフェーズに注目

リアルサウンド

20/2/13(木) 6:00

 これまでに数多くの少女マンガが実写化されてきたものだが、それらの作品の多くで核となっているのが“学園ドラマ”だ。少年少女たちはそれぞれの学園を舞台に、さまざまな恋模様を展開させてきた。恋するヒロインの相手役は山崎賢人、横浜流星、菅田将暉といった若手俳優が担い、作品をヒットに導いてきたが、今年の彼らは本格ラブストーリーの公開を控えている。

 とうぜん、学園ドラマでヒロインの相手役を務めてきたのはこの三者だけはないが、ここではあえて、彼らに注目したいのだ。三者三様、タイプの違う三人だからである。といっても、彼らはこれまで高校生役だけを演じてきたわけではもちろんないし、すでに学園が舞台ではない作品で恋物語に身を投じていたりもするのは、多くの方が知るところだろう。

【動画】山崎賢人と松岡茉優が涙 『劇場』特報

 山崎賢人といえば、マンガ実写界の王子ともいえるほど、相当数の作品でヒロインの相手役を務めてきた。『L・DK』(2014年)、2016年公開の『オオカミ少女と黒王子』『四月は君の嘘』などはいわゆる“胸キュン”な作品だが、少年マンガの実写化作品でも活躍。昨年公開の『キングダム』では手に汗握るアクションを披露し、その熱量で超大作を率いる存在とまでなった。いずれもがマンガ原作の作品で、はじめこそは彼のルックスが放つイメージに重なる役どころばかりを担ってきた印象だが、そこで地道に力をつけてきたのではないだろうか。それらを積み重ねてきたことで、その根強いイメージを、かえって払拭するまでになったものと思えるのだ。それはテレビドラマで主演を張るレベルにまでなったことからも分かるが、文芸作品を実写化した『羊と鋼の森』(2018年)での彼の佇まいも記憶に新しい。

 公開中のラブコメディ『ヲタクに恋は難しい』は、これまたマンガの実写化作品とあって安定の期待感をもっていられるが、注目すべきは4月17日公開の『劇場』である。又吉直樹の同名小説を原作に、脚本を劇団「モダンスイマーズ」の蓬莱竜太が務め、行定勲監督がメガホンを取ったという手堅い布陣。この中で山崎は、ヒロインを演じる松岡茉優とのラブストーリーを展開させていくのだが、どんなレベルでの大人な姿を見せてくれるのか。これは一つのターニングポイントともなりそうである。

 近年、めきめき頭角を現してきた横浜流星は、2018年公開の『honey』や『虹色デイズ』、さらには昨年公開の『L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』に『いなくなれ、群青』などの学園が舞台の作品で、その中心的な役割を担ってきた。いずれも恋愛が絡む物語で、少女マンガが原作のものも多い。横浜も山崎と同様に、マンガから出てきたような佇まいは大きな武器に思えるが、そういった役どころに無理に押し込められていたという印象も正直なところ否めない。マンガの世界のキャラクターを具現化した(飛び出してきた)ような大仰な芝居よりも、より繊細さを要する役どころの方が彼には適しているのではないかと思えるのである。

 そんな横浜だが、今年公開されるのが『きみの瞳が問いかけている』だ。本作は韓国映画『ただ君だけ』(2011年)のリメイク作。吉高由里子とのダブル主演で、横浜は将来を有望視されていた元キックボクサーを演じる。かねてより身体能力の高さに定評のある横浜なだけに、彼がどこまで役を仕上てくるのか早くから楽しみである。さらに、本作で描かれるのが“純愛”だとあって、“繊細さ”と“高い身体能力”という二つの強力なカードを手にした彼は、スクリーンにどう映し出されるのだろうか。まだまだ年齢的にも学園モノへの出演は続きそうだが、このところは早くも脱却を図っている印象だ。

 最後に触れたいのが、菅田将暉。彼はそもそも学園ドラマにかぎらず、どんなタイプの作品にもフィットしてきたし、どんなタイプの役でも自分のモノにしてきた。特定のイメージにとどまらず、容易にカテゴライズすることのできない俳優である。その引き出しの多さや演技の振れ幅、表現力の高さ、さらにはミュージシャンとしての一面も持つなど、“菅田将暉”という表現者のスタイルを確立しつつあるようにすら思う。

 そんな彼もまた、多くの学園ドラマに姿を見せてきた。しかしながら振り返ってみると、少女マンガが原作の映画への出演は、『溺れるナイフ』(2016年)と『となりの怪物くん』(2018年)の二作のみ。いずれの作品でも菅田が演じたのはどこか浮世離れした存在で、見た目の持つイメージさえ合えば誰にでも演じられるというものでもないように思う。これは、彼にしか演じることのできなかったものだと感じるのだ。今年の菅田は、『花束みたいな恋をした』と『糸』という二つのラブストーリーが公開を控えている。これまでにも、『生きてるだけで、愛。』(2018年)などで恋模様を演じてみせてきた彼だが、同作は小説から映画化に際して大胆な脚色がなされており、菅田演じる津奈木という人物へ向けられるフォーカスの比重がとても大きくなっていた。これも、この役を演じるのが“菅田将暉だからこそ”なのかもしれない。キャリアだけでなく年齢も重ねてきたとあって、これまでとはまた違う彼を今年は見ることができそうだ。

 こうして三人並べてみると、それぞれの持つ資質、演技へのアプローチなど、三者三様、タイプの違う俳優だということが分かるのではないだろうか。年齢的にもキャリア的にも、いよいよ次のフェーズへと向かう彼ら。そこではどんな魅力を開花させるのだろうか。

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記
※『L・DK』『L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』の「・」はハートマークが正式表記

(折田侑駿)

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