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峯田和伸(銀杏BOYZ)のどうたらこうたら

「売れなかった」音楽が、イコールダメとは限らない

毎週連載

第140回

ちょうどこのコラムがアップされるのは、僕が出演している『物語なき、この世界。』(作・演出/三浦大輔)という舞台が佳境に入っている頃ですね。舞台のお話はもう少し後で話しますが、相変わらず今の僕がハマっているのはやっぱり帯付きレコードの収集。本当にハマるね、集め出すと。

バンドモノで言うとさ、やっぱりラモーンズの帯付きはダントツで人気があって高値で取引されている。一方イギリスのパンクバンド、バズコックスなんかはプレス枚数が少なかったのか、レコードによっては10万円近い金額で取引されることもある。こんな値段になるとさすがに手が出ないけどさ、「バスコックスの日本盤なんてあったの?」って珍しく思う人もいるくらいレアなレコードではありますね。

こんな感じでさ、外国のバンドの日本盤は「枚数が少ない」「コレクターズアイテムだ」みたいな理由からとんでもない金額になることもあるんだけど、一方、日本のアーティストに目を向けると「こんなに良いアルバム、すごいアーティストなのに、どうしてこんなに安いの?」みたいなことも結構ある。

買う側にしたら安いに越したことはないけど、国内のアーティストに対する評価が低いってことでもあるから、なんか複雑な気持ちになることもあります。

どうしてこうなっちゃうんだろうね。本当に不思議なことだけど、日本人ってアーティストへの敬意、音楽への思いが薄いのかもしれないね。単に「売れている音楽」ならなんでも良くて、次に売れるものが出てきたら忘れていっちゃうってことなのかな。前にも話した通り、僕はそういう聴き方をしたことがないからわからないんだけど、どうなんだろう。

音楽は確かに売れたほうが絶対良いし、継続して活動を目指すなら「売れなければいけない」という考え方はよくわかる。正直、僕だって単純に「売れたい」と思って作った曲もいっぱいあるしね。

でもさ、じゃあ売れなかった音楽、多くの人が知らない音楽がイコール必ずダメってことにはならないよね。「売れる」ってことは、その曲の強さだけじゃなくて、時代背景とか色んな要素が絡み合うことでしょう。そういう要素にうまく絡まなかったからイコールダメとはならないからね。

でも、「わかりやすく売れた」みたいなアーティスト、楽曲だけが評価される風潮って、なんとかしてほしいと思うよ。僕からすれば、そういう評価とか聴き方ってすごく偏ってる感じがするし、ワケわかんないよ、本当に。

またさ、例えば僕がさ、「ブルーハーツが好きだ」と誰かに言うとするじゃん。すると「ちょっと聴き」だけでブルーハーツを知ってる人が「『リンダリンダ』ですよね! 僕も好きっすわ!」みたいに簡単に言う。ブルーハーツの代表曲は確かに『リンダリンダ』ではあるけど、ブルーハーツがとにかく好きな僕からしたら「いやいや、他にもあるじゃん」「もっと深く聴いてほしいんだけど」と素直に思うね。

否定するつもりはないけどさ、アーティストのヒット曲だけをかじって聴いて判断する、語るってちょっと傲慢なんじゃないかとも思うし、同時に寂しく感じるのも正直なところ。本当はもっと好きなバンド、好きな音楽に対して深く話をしたいんだけどね。こういう態度の人と話をすると、ちょっと疲れちゃうのが正直なところでもあります。

ディレクターの軽部くんと。軽部くんとの音楽の話は超楽しいです。

構成・文:松田義人(deco)

プロフィール

峯田 和伸

1977年、山形県生まれ。銀杏BOYZ・ボーカル/ギター。2003年に銀杏BOYZを結成し、作品リリース、ライブなどを行っていたが、2014年、峯田以外の3名のメンバーがバンド脱退。以降、峯田1人で銀杏BOYZを名乗り、サポートメンバーを従えバンドを続行。俳優としての活動も行い、これまでに数多くの映画、テレビドラマなどに出演している。


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