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きゃりーぱみゅぱみゅは日本最大の輸出品!? 和の心が凝縮された“ヨナ抜き音階”とは

リアルサウンド

13/10/18(金) 14:36

 音楽プロデューサーの亀田誠治がJ-POPのヒット曲を分析するテレビ番組『亀田音楽専門学校』(NHK Eテレ)の第3回が10月17日、23時25分より放送された。

 同番組は、亀田が校長、小野文惠NHKアナウンサーが助手を務め、毎回さまざまなアーティストがゲスト出演する全12回の教養番組。今回は、シンガーソングライターの秦基博をゲスト講師に迎え、「無敵のヨナ抜き音階」について講義した。

 ヨナ抜き音階とは、明治時代、「ドレミファソラシド」を「ヒフミヨイムナヒ」と呼んでいた頃の名残りで、「ヨ」と「ナ」、つまり「ファ」と「シ」を抜いた音階のこと。ノスタルジックな響きを持ち、J-POPの名曲に深く関わっているという。坂本久の「上を向いて歩こう」やJITTERIN’JINNの「夏祭り」、最近の曲では、きゃりーぱみゅぱみゅの「つけまつける」がヨナ抜き音階を使用している。

 「ドレミファソラシド」は、明治時代に西洋から輸入された音階で、それまでの日本の音楽はおおむね5音階だった。当時の日本人にとって「ドレミ~」は、かなり難しい音階だったため、学校の授業で教える「唱歌」を5音階で作ることを政府が推奨、ヨナ抜き音階が発案された。結果、「桃太郎」を始めとして、数多くの唱歌が作られ、ヨナ抜き音階は日本人の音階のスタンダードとして浸透した。

 亀田は、ヨナ抜き音階がいかに口ずさみやすい音階かを示すために、即興で「亀田音楽専門学校校歌」のヨナ抜きバージョンとヨナありバージョンを作曲、観覧の生徒たちとともに合唱してみることに。歌い比べてみると、ヨナありの合唱の方は一気に声が小さくなり、秦は「歌えないですね(笑)」と、その効果を確かめた。

 ヨナ抜きの親しみやすさを十分に理解したところで、亀田はJ-POPの名曲をさらに紹介。

1:「春よ、来い」には、和の心が凝縮されている

 亀田は、松任谷由美の「春よ、来い」を聴き、「このヨナ抜きの音階は何を醸し出しているんだろうね?」と秦に質問。秦は「歌詞がもっている日本的な情景というか、そういうものをイメージさせやすいメロディラインなんじゃないかな、と。歌詞とメロディがすごく仲が良いというか、相性が抜群で、聴いているひともイメージが拡がるんだと思います」と説明した。それを受けて亀田は、「ヨナ抜き音階には和の心が凝縮されている。僕らの生活に根付いているんですよね」と語った。

2:秦基博が選ぶヨナ抜きの名曲

 秦はまず、Perfumeの「レーザービーム」を紹介。「これは一聴するとテクノで、近代的に聴こえるんですけど、メロディラインはヨナ抜きになっているので覚えやすいというか、一度聴いたら忘れられない、口ずさみたくなるメロディライン。象徴的だと思います」と解説。そこに亀田は、「厳密にいうと『ナ』はちょっとだけ出てくる。ほとんどヨナ抜きだけど、ピンポイントで使われていて、少し進化している」と補足した。

 続いて、いきものがかりの「サクラ」を紹介。「歌詞とメロディーの相性が良い曲。日本人が心を動かされる『桜の花』が題材になっているところに、ヨナ抜きをベースにしたメロディラインがあることで、桜が散る情景が拡がる」と語った。この曲に関しても亀田は「これも厳密に言うと『ナ』が出てくるけど、最初のメロディラインで『ヨナチョップ』が入った感じ。いきなり掴まれる」と、独特の表現で曲の魅力を語った。

 太田裕美の「木綿のハンカチーフ」に関しては、「ヨナ抜きにはノスタルジーや和風という面もありますが、やはり切なくなるメロディーだと思うんですよ。曲調は軽快なリズムでちょっと明るく聴こえるんだけど、メロディーが切ない。恋人が離れていくことへの不安を描いた歌詞と相まって、軽快だけど切ないという、独特の感情を描いている」と、秦。すると亀田は、「ヨナ抜きは日本人の生活に根付いている、あらゆる感情に訴えかけるんじゃないですかね」と、その表現の幅広さについても言及した。

 ここで小野アナは「そういえば沖縄の音楽も何かの音がないって聞いたことがあるんですけど、あれもヨナ抜きですか?」と亀田に質問。亀田は「どこで聞いてきたの、そんなこと?(笑)」と含み笑いを浮かべた後、「あれは『フ』と『ム』を抜いてあるんですよ」と説明。ピアノ演奏でフム抜きのメロディーが沖縄っぽくなることを証明した。小野アナはさらに「フム抜きで沖縄を連想するってことは、ひょっとして外国のひとはヨナ抜きの音階を聴いて、異国の音楽だと感じたりするんですか?」と質問すると、亀田は「メイド イン ジャパン? って、絶対に感じるはずです」と力説した。

3:ヨナ抜きは日本最大の輸出品

 海外で受け入れらたヨナ抜きの名曲としては、イエロー・マジック・オーケストラの「ライディーン」、きゃりーぱみゅぱみゅの「つけまつける」を紹介。亀田は「ヨナ抜きは日本最大の輸出品だと僕は思っていて、「ライディーン」は1979年にヨナ抜きを引っさげたテクノで一世を風靡して、40年経った今、きゃりーぱみゅぱみゅが世界に進出している。日本人のアイデンティティを表明する上で、ヨナ抜きベースの音楽は欠かせない存在になっていると思います」と語った。秦はそこに「僕ら日本人もヨナ抜きを聴いて『和風』と感じていますが、世界の人たちはそれ以上に『和風』を感じるということはあるんじゃないですか?」と続けた。亀田は「ある意味、ヨナ抜きは『フジヤマ』とか、『スシ』『テンプラ』のように、外から見た日本を端的に表す、音楽の代表選手だと思います。日本の財産です」と胸を張った。

4:ヨナ抜きが崩れてシーンが変わる

 亀田はさらに、ヨナ抜きならではのテクニックを解説。「放っておくとすぐに『は~こだって~』(北島三郎「函館の女」)というテンションに行っちゃいがちなんですけど、それまでヨナ抜きの音階で来たメロディが崩れると、僕たちはものすごく“シーンのチェンジ”を感じるんです」と語り、実例として再び「木綿のハンカチーフ」を挙げた。同曲では、男女それぞれの心境を一人称で歌っているが、歌詞が女性側に移る瞬間、一音だけ『ナ=シ』が入っている。それによって、“シーン”に変化が生まれ、男女の心境のすれ違いを表現しているのだ。

 番組の後半では、秦がギターとボーカル、亀田がベースを務めるスペシャルバンドで『木綿のハンカチーフ』を演奏。ヨナ抜きならではの情感あふれるメロディと、ヨナ抜き崩しによる男女の心境の入れ替えを、存分に味わえる演奏となった。

 『亀田音楽専門学校』、次回10月24日の放送では「オトナのコード学」について講義する予定だ。
(文=編集部)

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