スキャンダル
20/2/17(月)
スキャンダル (C)Lions Gate Entertainment Inc.
“女性の敵は女性”。そんな発想を誰が思いついたのか?
たしかに彼女、見た目が男性に媚びてるみたいで鼻につくとか、そりゃあ思うときもありますよ。
アメリカのアナウンサーの姿を見たときに、なんでこんなにセクシーなんだ?とか、日本のアナウンサーの姿にも、なんでこんなに可憐なファッションなんだ?と思うこともあるし。
この映画に登場する女性キャスターたちも、シャーリーズ・セロンとニコール・キッドマンが演じている時点で、美貌と強い意思を持った女性たちだというのが分かるのだけど、カズ・ヒロ(辻一弘)氏の特殊メイクで実際モデルとなるキャスターふたりに似せた時点で、これが現実なのだと気づかされるのです。
そこに人気キャスターを夢見る架空の人物、マーゴット・ロビーが参入し、トップキャスターになるために、FOXニュースの代表に近づき、逆に見返りを求められる光景が映し出されます。
セクハラ、パワハラ問題に焦点を当ててるんだけれど、個人的には、シャーリーズ扮するトップキャスターが、新入りのマーゴットに向かって「どうして私がここ(男ばかりの会社)でトップに上り詰めることができたと思う?」と問うシーンでのマーゴットの言葉が耳に残っております。
「ヤッたから?」先輩に向かって、そう答えてしまう悲しさよ。けれど、これがまったく無いとは言えない“女性が女性を軽視している”言動であることも確かに存在するのだから致し方無いのです。
この映画は、女同士が手を取り合って、セクハラ、パワハラをする男性を叩きのめすかと思いきや、そうはならないのがやたらとリアル。そこはテレビ局内の先輩とはいえ、野心に満ちたライバル同士ですからと言うように。
それこそ男性社会の中では、女性のポジションは少なく設定され、まさに椅子取りゲームみたいになっているからで、劇中、男性が女性同士を戦わせるような言葉を発するシーンが登場するんですから。
なぜ、ニュースキャスターの彼女たちはボディラインを強調したミニスカートを履くのか? なぜ、頭脳だけではカメラの前に立つことができないのか?
物語が進むにつれ、パワハラ、セクハラだけではない、男性たちが作り上げたテレビ番組の根深い問題点が浮き彫りになっていくのですよ。
女性が社会で活躍する為には、まずは“女性が女性の味方”になっていかなければ。主演だけでなく、製作にも名を連ねたシャーリーズ・セロン姐さんの決意表明が聞こえる気がしてなりませんでした。
いやぁ、パワフル! そして観て気づいて欲しい。より良い未来のために、働く女の子たちの未来のために。
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