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『小さな恋のうた』『さよならくちびる』劇中から2組がCDデビュー 音楽シーンで存在感示すか

リアルサウンド

19/5/17(金) 7:00

■スクリーンを飛び出しCDデビュー 2組の劇中バンド/ユニット

 令和元年の音楽シーンも、時代を象徴するような名曲や新人アーティストが誕生し、様々なブームが巻き起こることだろう。それを起こすのは歌手やバンド、アイドルだけに限らない。声優やYouTuberといった本来は別ジャンルの表現者たちもチャートを賑わせている今、音楽シーンはますます多様なものとなってきた。そんな中、俳優による“劇中バンド”も盛り上がりの兆しを見せている。この記事では、5月22日にスクリーンを飛び出してCDデビューする2組の劇中バンド/ユニットを紹介していきたい。まず1組目は、今月の24日より公開される映画『小さな恋のうた』に登場する、小さな恋のうたバンドだ。

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 MONGOL800の名曲「小さな恋のうた」をモチーフに制作された同映画は、沖縄の小さな町を舞台に繰り広げられる、ある高校生バンドの青春物語。ボーカルダンスユニットM!LKでも活躍中の俳優・佐野勇斗を始め、森永悠希、山田杏奈、眞栄田郷敦、鈴木仁といったキャストが集結し、この5人からなる小さな恋のうたバンドのデビューシングルには、劇中でも披露されるMONGOL800のカバー4曲が収録。表題曲の「小さな恋のうた」は、原曲よりもややスローテンポで、歌詞の言葉ひとつひとつが耳に残るアレンジになっている。映画のストーリーと合わさることで、歌詞に宿るメッセージがまた新鮮な響きを持って聴く人の胸を打つ。そして、ボーカルを務める佐野勇斗の低く優しい歌声や、紅一点の山田杏奈による透き通るコーラスワークも原曲とは違った魅力があり、聴きごたえ抜群のカバー作品が完成した。原曲のリリースから約20年が経ってもこの曲の輝きは褪せることなく、新たな作品と共鳴しながら若者たちの青春のテーマソングとして、より広い年代の人々の心に響いていくのが嬉しくもある。

 そして2組目、小松菜奈と門脇麦のダブル主演映画『さよならくちびる』から誕生したギターユニット・ハルレオも、今月31日の公開に先駆けてCDデビューが決定している。

 この映画は、主演の2人がそれぞれ演じるレオとハルによる人気デュオ・ハルレオと、成田凌演じる付き人・シマの関係が描かれた青春音楽エンターテインメント。ハルレオが歌う主題歌「さよならくちびる」の作詞・作曲・プロデュースは秦 基博、挿入歌「誰にだって訳がある」、「たちまち嵐」の作詞・作曲はあいみょんが手がけていることもあり、映画公開前から双方のファンの間でも話題になっている。クールなのに心に染み入ってくる2人の歌声は相性抜群で、情景を鮮やかに浮かび上がらせる表現力が光っている。主題歌「さよならくちびる」は、揺らぐ心をそのまま音にしたようなセンチメンタルなメロディと、切なくも温かい愛が滲む歌詞、そしてアコースティックギターの美しい音色が心地よく、音楽好きのリスナーを掴む魅力が溢れ出ている楽曲だ。また、映像作家・山田智和が監督を務めたMVは、この3人ならではのどこか儚い世界観が切り取られた映像に仕上がっている。

■大原櫻子、菅田将暉、横浜流星…劇中バンド経て歌手活動本格化

 平成の時代にも数々の音楽映画から劇中バンドが誕生したが、筆者の年代で言うと2005年公開の映画『NANA』のヒットは特に印象に残っている。中島美嘉がNANA starring MIKA NAKASHIMA名義でリリースした主題歌「GLAMOROUS SKY」は、当時オリコンシングルチャートで2週連続首位を獲得し、その年のレコード大賞では「特別賞」を受賞するなど大きなブームになった。中島美嘉はこれ以前にすでに歌手デビューしていたが、2010年以降は音楽活動の経験がない俳優が劇中でアーティスト役を演じ、CDデビューを果たすことも増えている。

 最近では、2017年に実写映画化された『覆面系ノイズ』で、in NO hurry to shout;というバンドのメンバー役を演じた中条あやみ、志尊淳、磯村勇斗、杉野遥亮が、劇中曲「Close to me」でCDデビュー。主演の中条は歌・ギター共に未経験だったが、バンドのボーカルとして活動するニノ役を演じるにあたり、ボイストレーニングやパフォーマンス練習を重ね、映画公開を記念して行われたイベントではファンの前で生歌も披露していた。

 また、劇中バンドとしてデビューしたのを皮切りに、歌手活動が本格化した俳優もいる。2013年公開の映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』でヒロインの小枝理子を演じた大原櫻子は、歌手としてのデビュー作が劇中バンド・MUSH&Co.のシングル『明日も』だった。その約半年後には、スピンオフシングルもリリースされ、MUSH&Co.のデビューが大原櫻子の歌手活動のスターターになったと言える。

 そして、今やソロ歌手としても人気の俳優・菅田将暉は、2017年1月に公開された映画『キセキ -あの日のソビト-』の中で成田凌、横浜流星、杉野遥亮と劇中ユニット・グリーンボーイズを結成。この名義でCDデビューを果たし、テレビ朝日系列の音楽番組『ミュージックステーション』にも初出演。その勢いのまま、同年3月よりソロ歌手としての活動をスタートさせた。また、菅田と同じくグリーンボーイズのメンバーだった横浜流星も2018年10月、GReeeeNのプロデューサー・JINプロデュースによる楽曲でCDデビューを果たした。

 劇中バンドのCDデビューは、音楽のストーリーを描いた作品に奥行きやリアリティを足すだけでなく、俳優の演技以外の才能を発見できる楽しみもある。そして上記で挙げた過去の劇中バンドのように、チャートの上位にランクインし音楽番組に出演するパターンもあれば、俳優の歌手活動のきっかけにもなり得るなど、音楽シーンに与える影響も大きい。小さな恋のうたバンド、ハルレオのデビューがブームの火付けとなり、音楽シーンにおける劇中バンドの存在感が今後ますます目立ってくるかもしれない。(渡邉満理奈)

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