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『エール』女給役の入山法子が表情豊かに放つ存在感 中村蒼演じる鉄男との交錯する演技にも期待

リアルサウンド

20/5/26(火) 8:00

 連続テレビ小説『エール』(NHK総合)第9週で希穂子を演じるのは女優の入山法子。音(二階堂ふみ)が社会勉強のために働き始めるカフェーの女給で、貧しい家に生まれ、病気の親を抱えるという役どころだ。

参考:中村蒼、『エール』鉄男役を語る 「僕もこういう人間でありたいと思いながら演じています」

 新入りの女給を演じる入山は、ドラマファンにとってはなじみの顔だ。2004年にデビューし、『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』や『ハケンの品格』(いずれも日本テレビ系)をはじめ、数々のドラマに出演。最近では『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』(日本テレビ系)で、警察組織に立ち向かうカウンセラー・深水星良として出演したことは記憶に新しい。

 入山の朝ドラ出演は『ゲゲゲの女房』(NHK総合)以来となる。同作では劇団の座付き女優兼作家の川西志穂としてフレッシュな魅力を振りまいたが、10年ぶりの登板となった『エール』では落ち着いた大人の雰囲気を醸し出している。

 入山の武器は大きな瞳を生かした表情豊かな演技。アクションシーンから複雑な背景を持ち、陰を感じさせるキャラクターまで演じ分ける入山だが、デビューからしばらくは若手女優の一人という印象にとどまっていた。その印象を鮮やかに裏切ったのが2011年の連続ドラマ初主演作『霧に棲む悪魔』(東海テレビ・フジテレビ系)で、資産家の令嬢と白装束の謎の女という対照的な一人二役を演じて実力を示した。

 目下の代表作と言えるのが、2017年に放送された『きみはペット』(フジテレビ系)。名作女子コミックが原作の二度目のドラマ化で主人公のスミレを演じた。相手役でペットの“モモ”こと合田武志(志尊淳)とのテンポの良い会話や、恋と仕事に悩む等身大の女性の心情を体現した演技は、単なる名作のリバイバルで終わらせない意気込みを感じさせるものだった。先ごろ再放送されたことからもわかるように、新しい時代のラブストーリーとして新たな魅力を引き出していた。

 バイプレイヤーとしての入山にも注目だ。脇役に起用される俳優の顔ぶれで作品の質は変わるが、控えめながら確かな存在感で作品の価値を高めている。タイプ的には、そつのない名演で爪痕を残す市川実日子や薄幸な女性のイメージで主演も務める木村多江と重なる部分もある。入山の場合は良い意味で色が付いておらず、意外性のある役も似合いそうだ。

 『エール』では同郷の鉄男(中村蒼)との間で物語が繰り広げられる。裕一の同級生で元ガキ大将の鉄男は、曲がったことが嫌いというまっすぐな性格の持ち主。自身も苦学の末に新聞記者となり、裕一(窪田正孝)にも「夢を諦めるな」と訴える鉄男を中村蒼が熱演している。男らしい武骨さを備えた鉄男と家族を背負って苦労する希穂子の思いは、男女の社交場であるカフェーでどのように交錯するのか。行間を読むような2人の演技は必見だ。

 デビューから10数年を経て大人の女優に脱皮した入山法子。たゆみなく積み重ねてきた努力が開花しているのが今なのだろう。多くのスターを輩出した朝ドラの舞台で注目を集めるのは若手だけではない。朝ドラ出演を機に入山も活躍の場が広がりそうだ。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。

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