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ガブリエル・アプリンが“創作の喜び”を語る「曲が公共化することで初めて満足感が得られる」

リアルサウンド

14/6/15(日) 17:00

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 イギリスの田舎町ウィルトシャーで生まれ、ニック・ドレイクやブルース・スプリングスティーンなどを聴きながら育った21歳のシンガーソングライター、ガブリエル・アプリン。10代初めから楽器を弾きはじめ、17歳の時に初めてのEPをリリースしたという早熟の彼女は、2012年にはフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドのカヴァーである「パワー・オヴ・ラヴ」がCMに起用されたことをきっかけに全英No.1シングルを獲得。2013年5月13日にメジャーファースト・アルバムとなる『English Rain』は、全英アルバムチャートで2位を獲得している。2014年1月18日に公開された水嶋ヒロ主演の映画『黒執事』では主題歌の「Through the ages」でボーカルを務め、日本でも多くの注目を集めた彼女に、飛躍作となった『English Rain』を中心に、ルーツとなった音楽や日本文化への印象なども訊いた。

「自分だけのユニークさを求めたい」

――5月25日にはGREENROOM FESTIVAL’14に出演し、大きな喝采を浴びていましたね。今回で3回目の来日公演ですが、リスナーの反応をどう感じていますか。

ガブリエル・アプリン:日本の皆さんが、私の音楽を愛してくれるっていう実感があるので、楽しくやらせてもらっています。すごく素敵なことで嬉しいです。

――それは、昨年のアルバム『ENGLISH RAIN』がたくさん聴かれていることが大きいと思うのですが、改めて振り返ってみて、このアルバムが世界中で支持されていることについてはどう捉えていますか。

ガブリエル・アプリン:音楽をやっていなかったら、日本に来れるなんて夢にも思っていなかったですし、そういう国にまで来られるようになったのはあのアルバムのお陰ですね。だから日本でリリースしてもらえて本当に良かったです。今回アルバムの曲作りを一緒にやった人がかつてバンドをやっていて、日本に何度も来ていました。日本の話を彼からよく聞いていて、実際に来てみて日本の文化やファッション、映画も大好きだし、日本まで来られるようになったことがすごく嬉しいです。

――ガブリエルさんの曲にはさまざまな要素が入っていると感じます。音楽をつくるなかで影響を受けたもの、インスパイアされたものは何ですか?

ガブリエル・アプリン:ジョニ・ミッチェルは大好きです。彼女の良いところは、アーティストでありながら絵も描くし、シンガーでもあり、文章も書く、いろんなことをする人だということ。私も音楽だけでなくいろんなことを楽しみたいなって思うので、ジョニ・ミッチェルは大好きですね。あとニック・ドレイクも大好き。やっぱりユニークだし、私も自分だけのユニークさを求めたいと思うから。あと『ENGLISH RAIN』をつくっているとき、皆で歌って盛り上がる系のコールドプレイ、ザ・ナショナルなども聞いていたので、その辺も影響として出ているかもしれないですね。あと60年代のアーティストで好きなのはボブ・ディランやビートルズとか。

――ニック・ドレイクは日本でも熱心なファンがいますが、彼の音楽にはどのようなきっかけで触れたのですか?

ガブリエル・アプリン:私は両親のレコードを聴いて育っていて、そのなかにニック・ドレイクもあったんです。彼の紡いでいるストーリーに非常に興味を持ったのと、出身地が非常に私と近いということもあって深く聴いていくようになりました。彼の音楽は独自性がかなりあって、私がカバーしてみても彼のようには絶対にならない。それが一番の魅力なんじゃないかと思います。

―― 一方で現代の音楽シーンではどのようなものに興味を持っていますか?

ガブリエル・アプリン:60年代のものに惹かれる理由としては、そこに内容があるから。社会的なものやグローバルな、世界に通じる題材を書いている。それを歌っている曲が好きだから自分もそういう曲を書きたいと思うんですよね。そうしたクラシックな部分を持ちつつ、当然いまの音楽として通用したいという思いもあります。いまの音楽でいいと思うのはたくさんあるのですが、ルディメンタルとか、コールドプレイ、エド・シーランもすごいと思う。あと日本でも間もなく作品が出るフォクシーズとか。

「楽曲の公共化が生まれることで、はじめてシンガーソングライターは満足感や達成感を得られる」

――様々な音楽の影響を消化しつつ、『ENGLISH RAIN』は独自性の高いアコースティックサウンドに到達しています。

ガブリエル・アプリン:まず今回のアルバムはサウンド的にもプロダクション的にもいろいろな実験の産物でしたね。散々いろんな曲を書いて、いっぱいレコーディングしたのだけれども、アルバムとして一枚にまとまるものにはならなくて。それに至るには2年~3年かかりました。

――どの部分が一番難しかった?

ガブリエル・アプリン:実は一番大変だったのは選曲なんです。アルバムが出たのは18歳の時ですが、15歳くらいから曲を書き始めていたので、制作の時点で200曲くらいあって。それを最終的に13曲に絞るにあたり、基準としてはライブをして楽しい曲、アルバムとしてのまとまりの追求、あと全体のストーリーがいい感じに流れていくフローが欲しいということ。最終的には納得していますけれども、そこが大変でした。

――そのストーリー性をもたせた音楽が受け入れられていることについては、どのように分析していますか?

ガブリエル・アプリン:自分としてはあくまでも自分の身に起きたこと、個人的なことを書いているわけですけれども、それが皆に受け入れられていて、今のような動きが出ているのはすごく嬉しいです。ジョニ・ミッチェルのドキュメンタリーを再度見たとき、彼女が言っていたのは、「曲や主張を聞いて、ジョニ・ミッチェルの姿しか見えないのだったらそれはちょっと残念だ」、と。あくまでも、私の言っていることを聞いて、皆さん自身をそこに反映させてみてもらいたいんだ、ということですよね。そうした公共化が生まれることではじめてシンガーソングライターは満足感や達成感を得られるんだと思うので、それは活かしたいですね。

「いろんな国を回って、いまは書くべき題材が増えている」

――日本の映画『黒執事』の主題歌に「Through the ages」が選ばれて、絢香さんともコラボレーションしましたね。映画はご覧になられましたか?

ガブリエル・アプリン:今回来日するときの飛行機で見まして、ダークでしたね。「かわいい」じゃなくて「こわい」(笑)。日本の映画監督をよく知っているわけではないけど、ひとり、名前が出てこないけど1940年代の監督さんで、ブラック&ホワイトの映画ですごくきれいな画を撮っていて好きな人がいるんですけど…。

――小津安二郎? 溝口健二? 

ガブリエル・アプリン:小津 安二郎! 絵柄がとても素敵だしストーリーがとても好きですね。

――日本の文化にはそれこそ「かわいい」ものから小津安二郎の世界までいろいろありますが、一番興味のあるものは何ですか。

ガブリエル・アプリン:かわいいファッション系が一番好きですけど、日本にせっかく来たから寺社仏閣にもよく行きました。京都とか鎌倉ですね。建造物に興味があるので、古い建物はすごく好きですね。猫カフェも行きました(笑)。

――日本では、イギリスで生まれたアコースティックなポップソングに対してずっと伝統的に人気があるんですが、日本人の好きなものとイギリス人の好きなものってどこか共通する部分があるのかなと思います。それについてはいかがでしょうか?

ガブリエル・アプリン:イギリス人は無礼だし失礼だから、日本人との共通点はないかな(笑)。まあそれは冗談として、私がやっている音楽はニッチな音楽だと思う。だから誰もが好きだとは言えないと思うんだけど、なんなんだろう、日本でこんなに受け入れられた理由は。当然日本のことを意識して書いているわけではないし、結果的に受け入れられたことはすごく嬉しいんだけど、どうして受け入れられたのかはわからない。なので、あまりそういうことは分析しないようにしています(笑)。

――なるほど。全英でも1位になって、今徐々にガブリエルさんの音楽が世界中に広がっていますが、今後のビジョンがあれば教えてください。

ガブリエル・アプリン:この後、オーストラリアにツアーに行って、UKに帰ったら、2ndアルバムのレコーディングに入る予定なんです。ひとまず年末まではその作業で忙しくなる思うんですが、私としてはいまの活動を続けていくこと、なにかを育てていくことが大事だと思っていて、なにかを変えようとは思っていません。このまま続けていって幅を広げて、いろんな国を訪ねることをやり続けることがいいなと思っているだけですね。

――次のアルバムのために曲はもうたくさん書いているんですか?

ガブリエル・アプリン:はい!大体半分くらいの曲ができています。そのレコーディングがUKに帰ったら始まるんだけれど、年末になったら仕上げたいと思っています。

――『ENGLISH RAIN』とは違うタイプの曲や、違うサウンドにもチャレンジするんでしょうか。

ガブリエル・アプリン:そうですね、音的にはよりオーガニックといえるのかしら。前と同じでは決してないけど大々的に変わってもいない、という感じになるのではと思います。1stアルバムを出してからもずっと曲を書き続けているので、より広がった世界観をそのまま形にしていこうと思います。

――曲を書き始めた15歳のときと比べると、世界中を旅してきて、多くの経験を重ねて、歌詞の内容も変わってくるのではないですか。

ガブリエル・アプリン:あれから本当にいろんな国をまわってきたので、インスピレーションも得ているし、いろんな影響も受けている。ただ、いまは書くべき題材が増えました。あと前回のアルバムが7年間におよぶいろんな時期に書いたのに対して、今回はまとまった時期に書くので、その違いも出ると思います。でも書くべき題材は日常の出来事がほとんどですけどね。

(取材・文=編集部)

■リリース情報
『ENGLISH RAIN』
発売:2013年12月4日
価格:¥2,457(税抜)

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