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松風理咲×竹内愛紗×長見玲亜、自己プロデュース作品を通して気づいたこと「視聴者の視点を持つように」

リアルサウンド

20/3/24(火) 12:00

 女優たちが企画・プロデュース・主演をすべて手がけるオムニバス作品『トリプルミッション!!! 女優たちの夢、ドラマにしました』が、3月20日よりひかりTVにて配信がスタートした。

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 異色の取り組みに抜擢されたのは、芸能事務所スウィートパワーに所属する松風理咲、竹内愛紗、長見玲亜の3人。いずれも話題作に出演し、ネクストブレイク必至と呼ばれる女優たちだ。

 竹内が手がけた『ムショラジ』のテーマは「青春」。シンガーソングライターのひかりが、結婚詐欺で刑務所に収監された母をきっかけに、“ムショラジ”と出会い、自分自身を見つめ直していく。松風が手がけた『BADLUCK』のテーマは「復讐」。宝くじ売り場の少女が、当選金と引き換えに、客の復讐依頼を代行していく。長見が手がけた『8:2』のテーマは「悪女」。蟻の巣が大好きな黒塚アリスが、「働きアリの法則」に従い、行く先々で8:2の行動を取ることで周囲の人間を振り回していく。

 三者三様のドラマは一体どのようにして生まれたのか。松風、竹内、長見の3名に、企画の意図から互いの作品を観た感想など、じっくりと語ってもらった。

● 三者三様の個性的な作品

ーー主演・企画・プロデュースをすべて一人で務めないといけないという異色の企画ですが、この話を最初に聞いたときはいかがでしたか?

長見玲亜(以下、長見):モデルのお仕事をさせていただく機会があったこともあり、服やメイクを考えて“自己プロデュース”することは好きだったんです。なので、いろんなことを自分で考えてできるのは楽しみだなと最初は思いました。

竹内愛紗(以下、竹内):玲亜とは逆で、自分を“プロデュース”するようなこともほとんどなかったんです。自分を客観視して、どう見せたら何が届くんだろう?という問いから始まりました。脚本ができるもっと手前の段階で、「家族」「青春」といったキーワードをまずは挙げていって、スタッフさんと意見交換しながらお話を作っていきました。こんなに何回も打ち合わせをするのは初めての経験でした。

松風理咲(以下、松風):私は本を読むのが好きなんですが、楽しみ方のひとつとして、「このキャラクターはどんな役者さんが合うだろう」という、キャスティングを頭の中でしています。実写化された作品の場合は、自分のイメージと比較してみたり。なので、このお話を聞いたときは、「ついに自分で実際に作ることができる!」とワクワクした気持ちでいました。

ーー作品を作っている間は、互いの進捗状況などは知っていたのですか?

長見:まったく知りませんでした。完成した作品を観て初めて知ったぐらいです。

松風:愛紗が歌を歌うとか、玲亜がアリをテーマにしているとか、大きな枠組は知っていましたけど、中身がどうなっているかは知らなかったので、作品を観たときはびっくりしました。

竹内:そうそう。理咲ちゃんは、普段はこんなにおっとりしている感じなのに、「怖っ!」って(笑)。

ーー『BADLUCK』では、松風さん演じる主人公が、歩きタバコで子供を失明させた人間、パワハラ上司など、犯罪者として裁かれなかった人間を容赦なく叩きのめしていきます。こうしてインタビューでお話している松風さんとは雰囲気がまったく違いますね。

一同:(笑)。

長見:理咲ちゃんは台詞がないときの表情が本当に格好良かった!

竹内:普段の理咲ちゃんと演じているときの理咲ちゃんにもギャップがありますが、『BADLUCK』の役の中でもすごい大きなギャップが生まれるんです。ネタバレになってしまうので控えますが、最終話のとある行動はすごいです。

長見:メリハリがすごいよね。

松風:うれしい! ありがとうございます!

ーー一方、『8:2』は不思議な魅力を放つ作品でした。テーマである「悪女」のとおり、長見さん演じるアリスが行く先々を混乱に陥れていく。彼女に悪意があるわけではないのが余計にタチが悪いなと。

竹内:アリスには共感はほとんどできないんですけど、玲亜の独特の表情にどうしようもなく惹きつけられました。

松風:最終話まで観ても、アリスが何を考えていたかわからないんです(笑)。だから観た後もスッキリしなくて、ずっと考えてしまう余韻がありました。

長見:そう言ってもらえるのがうれしい。みんなお互いにベタ褒めだね(笑)。

ーーそして、トリッキーとも言える2作品に比べ、『ムショラジ』は正統派のヒューマンドラマです。竹内さん演じるひかりが、絶縁状態だった母(YOU)と新しい関係を築いていくさまに心がほっこりするものがありました。

長見:そうなんです。決して仲直り、というわけではないんですが、ひかりとお母さんが徐々に心を近づけていく姿にジーンとするものがありました。私もお母さんに何かをしたいと観た後には思いました。3作品の中で一番“共感”できる作品だと思います。

松風:私と玲亜は普段の自分とかけ離れた役を演じましたが、愛紗は愛紗らしさがひかりちゃんにも出ているんです。曲がったことが嫌いで、周囲の人に自然と好かれる雰囲気とか。それが作品にうまく出ているなと感じました。

竹内:そう言ってもらえて恥ずかしい気持ちもあるけど、うれしいです。

●製作者側の視点を得て、気づいたこと

ーーまさに三者三様の作品となっていますね。今回製作側を経験して、その後の仕事にもポジティブな影響はありましたか。

松風:「作品を作る目的」を今までよりも考えるようになったと思います。演じて終わり、作品を作って終わりではなく、その先にある受け取ってくれる方々にも今まで以上に思いを馳せるようになりました。だから、視聴者として何かを観るときも、「この作品はお客さんにどんなことを伝えたいんだろう?」「この作品を通して何が考えられるんだろう?」ということを考えるようになった気がします。

竹内:私も企画から携わったことによって、「何を観てくれる方に伝えたいのか」という作品における軸が本当に大事なんだとわかりました。その軸があるからこそ、どんなシーンが必要なのか、どんな表情の演技が求められるのか、考えられるようになるんだなと。作品を受け止めてくれる方々の気持ちも、この企画以降は以前よりも考えられるようになったと思います。

長見:ふたりが先に良いこと言っちゃうから難しい(笑)。

一同:(笑)。

長見:これまでは、自分が演じるキャラクターの気持ちを考えて、理解することが何より大事だと思っていました。でも、企画・プロデュースの立場では、一人のキャラクターだけではなく、作品に登場する全キャラクター、作品の全体像をしっかりと考えなくてはいけません。全体を理解することによって、演じるキャラクターの気持ちもより理解できるようになることを知りました。これは今後の作品で、プロデュースをする立場ではなくても応用していきたいなと思いました。

ーー改めてですが、最後に作品をアピールする一言をお願いいたします。

長見:『8:2』は、格好良さ、可愛さ、怖さ、いろんな魅力が詰まった悪女を表現できたと思うので、今までにない“悪女”を楽しんでもらえたらうれしいです。

竹内:『ムショラジ』は、観た後に懐かしさを感じてくださる方もいれば、今の自分の悩みとリンクする方もいる作品になっていると思います。誰もが経験する人生の一部分が切り取られた作品になったと思うので、楽しんで観ていただければうれしいです。

松風:『BADLUCK』は、復讐シーンは中々ハードな描写がありますが、苦手な人は隠しつつ……。

長見:予想以上にすごいからね(笑)。

松風:私もびっくりはしたんですけど……。

長見:全然びっくりしてなかったでしょ(笑)。

竹内:何なら楽しんでいるSっ気のある顔だったよ(笑)。

松風:(笑)。とにかく、3作品、楽しんで観ていただける内容になっていると思います!

(取材・文=石井達也)

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