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『DIVER-特殊潜入班-』安藤政信が見せる“大人の余裕” D班それぞれが信じる正義

リアルサウンド

20/10/7(水) 6:00

 福士蒼汰と野村周平の5年ぶりの共演作として話題の『DIVER-特殊潜入班-』(カンテレ・フジテレビ系)。第3話では7年前に起きた事件の関係者家族が標的になる連続誘拐事件が起きる。その関係者の中には「潜入捜査官チーム」、通称D班班長の伊達(安藤政信)も含まれ、彼の娘にも魔の手が忍び寄る。

 安藤が父親役を演じるのは本作が初めての試みになるようだ。確かに、安藤と言えば、観る者の心をざわつかせる圧倒的存在感、大人な色香の印象が強い。『テセウスの船』(TBS系)で、小学生ながら無差別殺人事件を起こした張本人であるみきおの成人後の姿を演じ、凶悪犯たるサイコパスさと、一方で歪んだ愛情ながらも純粋に小学生の頃からのクラスメイトを想い続け支える献身さという相反する二面性を矛盾なくその身に宿していた。佇まいから“ただものじゃない”雰囲気を纏い、“訳あり感”を漂わせ、そう多くはない出番の中で、その場に馴染んでいるようでフィットしきれていない尾を引く“異物感”、“違和感”、“不協和音”さ、“不気味さ”を後味悪く残していた。

 また、映画『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』では、あのハマり役で唯一無二の主人公・ウシジマ(山田孝之)と対峙する最大の宿敵である三兄弟の長男・鰐戸一役を熱演。そもそも山口雅俊監督から“山田孝之と互角以上に渡り合える俳優”というオーダーがあった際に、白羽の矢が立ったのが安藤だったようだ。

 インタビューなどで20代の自身のことを「尖っていた」と振り返る安藤だが、デビュー作『キッズ・リターン』から20年以上たった今、鋭さや反骨心、危うさやアンバランスさなど、当時の面影をふとした時に覗かせつつも、そんな時代があったからこその異様なまでの“落ち着き”、“丸くなった感”、大人の余裕も兼ね備えられているのだろう。そういう安藤だからこそ、本作で取り扱い注意の若きダークヒーロー・黒沢兵悟(福士蒼汰)と何かのっぴきならない事情を抱えているであろう佐根村将(野村周平)の上司である伊達役が妙な説得力を持ってして務まるのだ。

 本作で、彼の持つ狂気性、荒々しさは娘のことになると普段の冷静さを一切欠く父親としての「父性」に投影されていた。妻の死に目に立ち合えなかった過去の自分へのやり場のない怒り、自身の仕事のせいで娘を危険に巻き込んでしまうことへのやるせなさなどが、言葉少なながらも伊達の焦り様や取り乱しぶりから、痛々しいまでに伝わってくる。本作での安藤の役柄は、彼にしては珍しく「守るべきもの」に対して真っ直ぐで、屈折していない、それどころか少しお節介な役どころだ。

 これまで圧倒的に悪役の多かった安藤が、そうではなかった福士と野村の見守り役に配置されており、役どころが逆転しているかに見える点も本作ならではの逆説的な試みだと言えるだろう。

 登場人物それぞれが抱える闇が徐々に明らかになってきたところで、次回ついに最終章突入。兵庫県警本部長の阿久津(りょう)も何やら気になる存在だが、皆がそれぞれに信じる「正義」に想いを馳せながらD班の行く末を見守りたい。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
『DIVER-特殊潜入班-』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜放送(全5話)
出演:福士蒼汰、野村周平、片瀬那奈、浜野謙太、正門良規(Aぇ! group / 関西ジャニーズJr.)、中山義紘、正名僕蔵、安藤政信、りょう
原作:大沢俊太郎 『DIVER-組対潜入班-』(集英社)
脚本:宇田学
演出:宝来忠昭、木村弥寿彦(カンテレ)、西片友樹
プロデュース:萩原崇 (カンテレ)、大城哲也(ジニアス)
制作著作:カンテレ
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/diver/
公式Instagram:https://www.instagram.com/diver_ktv/
公式Twitter:@diver_ktv

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