Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ブルーノ・マーズとの共通点も アイドラ「Do Ya?」に感じる音楽×ファッションの最新モード

リアルサウンド

19/4/17(水) 16:00

 I Don’t Like Mondays.が2019年第1弾となる新曲「Do Ya?」を4月17日にリリースする。

参考:I Don’t Like Mondays.が『FASHION』ツアーで示した、作家性と享楽性の両立

 2019年最初の楽曲となる「Do Ya?」のベースになっているのは1990年代のヒップホップ。「メンバーが生まれた時期のダンス×音楽×ファッションのクロスオーバーの熱量を再現出来ないか」というテーマで制作されたというこの曲は、単なる懐古主義ではなく、2010年代以降に巻き起こったネオソウル、ファンクリバイバルなどの流れを汲みつつ、2019年のポップミュージックへと昇華させたダンスチューンに仕上がっている。

 軽快なギターカッティング、ディープなグルーヴを生み出すリズムセクション、心地よいフロウを描くボーカルなど、メンバー個々のプレイヤビリティを活かすことで、バンドとしてのポテンシャルの高さが感じられるのも、「Do Ya?」の聴きどころ。また、有機的なアナログサウンドと最先端のトラックを融合させた音楽性、“週末は僕たちのパーティーで盛り上がってほしい”というメッセージを込めた英語の歌詞、キャッチーに振り切るメロディラインを含め、I Don’t Like Mondays.の特徴がアップデートされているのも、この曲の魅力だろう。つまり「Do Ya?」は、コンセプトありきの企画モノではなく、バンド本来のスタイルをさらに進化させた楽曲なのだと思う。「Uptown Funk ft. Bruno Mars」(Mark Ronson)の様な雰囲気を感じさせるMVも話題を集めそうだ。

 YU(Vo)、CHOJI(Gt)、KENJI(Ba)、SHUKI(Dr)からなる4ピースバンド、I Don’t Like Mondays.は、2012年に結成され、2014年9月にミニアルバム『Play』でメジャーデビューを果たした。音楽とファッションの真の融合を目指し、楽曲制作だけでなく、MV、ライブ、ビジュアルは勿論グッズを含むすべてのクリエイティブをセルフプロデュースで手掛けている。

 “アイドラ”の愛称で親しまれている彼らの最大の特徴は、ソウル、R&B、ファンクといったブラックミュージックを軸に、ディスコ、エレクトロ、オルタナティブロック、インディーポップなどを融合させたハイブリッドな楽曲だ。Maroon 5、Bruno Mars、The 1975などのルーツミュージックに根差しつつ、先鋭的なサウンドメイクを積極的に取り入れることで世界的な評価を得ているアーティストの方法論がアイドラにも存在している。

  そのプロダクションの精度は作品を重ねるごとに更新され、クオリティは確実に上がっている。いまや日本のヒップホップシーンの中心的存在となったSALUをフィーチャーした「ONE THING feat. SALU」では、洗練されたダンストラックとしなやかなファンクネスを備えたバンドサウンドを融合させ、大人っぽく、都会的な雰囲気のポップチューンを体現。また、こじるりこと小島瑠璃子が出演したMVでも話題を集めた「LEMONADE」では、軽快なダンスビートとエモーショナルなギターサウンド、切なさとさわやかさを共存させたメロディを配置し、より幅広い層のリスナーに訴求した。

 ここ数年の楽曲でもっとも印象的だったのは、2016年7月にリリースされた「TONIGHT」。80’sポップスのフレイバーと現代的なトロピカルハウス、エレクトロなどを自然に結びつけながら、楽しさと切なさが混ざり合う夏を映し出すこの曲は、アイドラのセンスがもっとも上手く発揮された楽曲の一つだろう。週末のパーティーを舞台にしたMVは各所からの評判を獲得。「この気持ちのいい音楽を日本語で聞けることに感謝」「この最高にカッコつけてる感がアイドラらしくて大好き」「クソおしゃれです。。惚れました」「どこか懐かしいようで新しい」「レストランでのデートにぴったりなオシャレな曲」といったコメントからも、彼らの音楽が様々なシーンに浸透していることが伝わってくる。

 さらに特筆すべきは、メンバーの優れた演奏能力に裏打ちされたライブパフォーマンス。海外の音楽シーンとリアルタイムでつながるような音楽性は“オシャレでセンスのいいポップバンド”という印象を持たれがちだが、じつはメンバー全員がライブハウス出身の叩き上げだ。独創的なフレージング、高い演奏テクニック、観客へのアピール力など、バンドマンとしての下地があるからこそ、幅広いサウンドを融合させたアイドラの楽曲は成り立っているし、それはライブでもしっかりと発揮されている。昨年、自身2度目となる全国ワンマンツアー『I Don’t Like Mondays. 2018 A/W TOUR “A GIRL IN THE CITY”』を成功させるなどライブの規模も確実に上がっているが、彼らのライブパフォーマンスの魅力はここから、さらに多くのオーディエンスに伝わっていくはずだ。

 アイドラが活動をスタートさせた2012年前後、日本のバンドシーンでは4つ打ちのダンスロックが流行していた。ブラックミュージックを基軸とした洗練された楽曲、高いファッション性を備えたアイドラの存在は明らかに異質だったが(筆者には“観客が同じ動きで盛り上がるシーン”に対するアンチテーゼのように見えた)、その後の音楽シーンの変化により、彼らのスタイルが受け入れられる下地がようやく出来てきたように思う。90年代のヒップホップを参照し、ファッション、音楽、ダンスが融合した新曲「Do Ya?」は、アイドラの本格的なブレイクのきっかけになることを、ひとりの音楽ファンとして心から願う。(森朋之)

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む