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Novelbright、マカロニえんぴつ、MONOEYES、スカパラ…全力で伝えた音楽への想い 『ビバラ!オンライン2020』2日目を観て

リアルサウンド

20/8/4(火) 18:00

 屋内型の春フェスとしては日本最大規模で、今では地元・埼玉県の人にも愛される音楽フェスとなった『VIVA LA ROCK』。しかし、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催を断念。それでもフェスを続けるために、と今年は『ビバラ!オンライン2020』として無観客の有料配信という形で行った。

(関連:鹿野淳に聞く、『ビバラ!オンライン2020』開催の決断まで コロナ禍におけるオンラインライブの意義と課題も

 『VIVA LA ROCK』にとって配信音楽フェスは初めての開催だ。そのため課題を感じる部分もある。しかし音楽フェスの新しい可能性も感じた。プロデューサーの鹿野淳がオープニングトークで「カメラの奥にいる人たちに音楽を届けようとしているので、それを受け取って欲しいと思います」と語っていたように、アーティストやスタッフからの想いを感じるライブが続いた。ここでは2日目、8月1日の模様をレポートする(ページ最後には他日程出演者ライブ写真も)。

 トップバッターは初出演のNovelbright。「画面の奥に届けよう」という想いを感じるライブだった。序盤から「ランナーズハイ」で熱いパフォーマンスで盛り上げ、代表曲「Walking with you」では視聴者に手拍子を煽る。「大好きなアーティストの音楽に支えられて生きてきました。次は僕たちが音楽を届ける立場として皆さんを救えたらと思い、がんばっていきます」と語り「拝啓、親愛なる君へ」で壮大なバンドサウンドを鳴らしステージを終えた。

 2番手のニガミ17才は「ライブハウスへようこそ」と挨拶し、配信だとしても“ライブ”であることを強調する。「久々のライブだからMCやらずにいこう。こんな楽しいのになんで喋らなきゃならんのか」と話したりと、心からライブを楽しんでいるよう。「最後、やだなあ」と言ってからのラストソングは「かわきもの」。5拍子で複雑な演奏に鳥肌が立つ。「フェスって好きなように楽しむものだよね」と言ってからリズムを4拍子に変更したり、ヒップホップや青春パンク、ボサノバ、ロックンロールに曲調を変化させたり、シンセサイザーの平沢あくびがティッシュをばらまいたり、とカオスな状況に。しかしそんな状況をきれいにまとめて、クールに演奏を終える姿は圧巻だった。

 5カ月ぶりにライブを行ったSaucy Dogは「雀ノ欠伸」から、勢いよくライブをスタート。「真昼の月」「ゴーストバスター」とアップテンポの曲を続ける。「僕たちの新しいとっておきのバラードを」と言ってから「結」を優しい演奏で届け、代表曲「いつか」を感情的に歌う。「今年はフェスに出るのは不可能だと思っていたから、こうして出られて嬉しいです」と言ってから、ラストに「グッバイ」を颯爽と演奏してライブを終えた。

 「フレンズです! よろしくー!」と元気よく挨拶してからスタートしたフレンズ。「みんなも一緒にうたいましょう」「画面の前で踊れ!」と煽る。MCでは、「ずっと楽しい。今日がオンラインライブ初めてだからね」「スタジオに入るのも久々で、みんなと着替えるだけで楽しかったよね」と話していた。だからか「あくびをすれば」「Love,ya!」では「楽しんでいる?」と問いかけつつも、メンバーが一番楽しそうな表情を見せていた。「地球を越えても」を爽やかな演奏で届けてハッピーな余韻を残し演奏を終えたものの、終了後も画面が変わらないというトラブルも見られた。

 息を合わせるように丁寧に「愛のレンタル」から演奏を始めたマカロニえんぴつ。ボーカルのはっとりは「これはリハじゃないですよね? お客さんがいなくて変な感じです」と言いつつ、「大事に曲を演奏できる日かなと思います」とも語る。その言葉の通り普段以上に演奏が安定していた。他の出演者のように視聴者を煽ったりはしない。その代わり丁寧に音楽を届ける。「音楽が無力であると感じました。不要不急だと言われたり。でも必要と思うあなたがいるから必要なんです。あなたの希望であるように。俺たちが希望だけを選んで歩けるように」と話し、最後に「ヤングアダルト」を演奏した。その演奏は、画面の向こうに全力で想いを伝えようとしているように感じた。

 弾き語りで出演したACIDMAN・大木伸夫。普段のバンドでは壮大な演奏の「FREE STAR」をこの日はしっとりと温かい音で聴かせる。「こう見えて緊張してるんです。ガクガクなんです」と話していたが、まったくそのように見えない落ち着いた演奏だ。弾き語りにより、歌のメッセージがより伝わるようになった「ALMA」の歌詞が胸に響く。弾き語りだからこそ、歌のメッセージを届けることを意識したようなライブだった。

 「どのカメラに向かって喋ればいいのかな?」と話したり、ライブを見学していたACIDMAN・大木伸夫に話しかけたり、とマイペースでリラックスしている様子を見せた細美武士。メンバー全員が着席して演奏したMONOEYESは、アコースティックアレンジでライブを行った。「普通のライブはお客さんがいないと俺たちはできないので、こういう形でやっています」とアコースティックである理由を説明する。普段は盛り上がる楽曲の「Run Run」を落ち着いたアレンジで聴かせる。「うちらだけアーカイブを残さないのも申し訳ないと思ったんですけど、まあ、こだわりです。付き合ってください」とライブへのこだわりも伝えていた。

 時にはギターをリズム楽器のように叩いたり、足元にタンバリンを置いて弾き語りながら叩くという独特な演奏スタイルだった田島貴男。その個性的なパフォーマンスは観ていて楽しい。1曲目「フリーライド」からその演奏スタイルに惹きつけられる。しかし「ブロンコ」ではギターソロも披露したり、原曲よりメロウで大人な雰囲気にアレンジされた「接吻」では音に集中して聴くことができた。最後はギターを弾きつつタンバリンをひたすら足で叩き続ける「bless You!」で盛り上げ、貫禄を感じる圧巻のライブを締めた。

 BLUE ENCOUNTは「KICKASS」で衝動をぶつけるようにライブをスタートさせた。普段のライブと同じように「オイ!オイ!」と煽り「NEVER ENDING STORY」へ。「俺が『行けるか?』と言ったら手を上げてください!」と田邊駿一(Vo/Gt)が煽り、スタッフが応えて腕をあげて盛り上げる。普段のライブのような瞬間だ。そして人気曲「VS」へ。ステージから炎が吹き出る演出で、さらに視聴者のテンションを上げる。最後の「灯せ」では“どんな時代になるかわからないけど、俺たちはあなたと共にいく”と歌詞を変えて熱く歌い切った。

 「絶対零度」の重低音響くロックサウンドでスタートした赤い公園。「一緒に盛り上がっていくよ!」と石野理子(Vo)が叫んだ「消えない」では、Aメロで演奏を止めて歌だけにするなど、音源とは違うアレンジで聴かせる。「夜の公園」は石野がドラムセットに座り、ゆったりとした歌声が胸に沁み入った。「凛々爛々」ではメンバー全員が笑顔で演奏し、心の底から音を鳴らすことを喜んでいるよう。津野米咲(Gt)や藤本ひかり(Ba)がフロアに飛び出たり、メンバー紹介をして各自がソロでプレイしたりと最高潮の盛り上がりに。そのまま石野が髪を振り乱すほど暴れ盛り上がった「yumeutsutsu」でライブは終了。VIVA! STAGEのトリにふさわしい最高のライブだった。

 トリの東京スカパラダイスオーケストラは炎が吹き出る演出とともに登場。「なんて幸せなんだ」と谷中敦はライブができる喜びを噛み締め、「闘うように楽しんでくれ」とおなじみの言葉を繰り出す。「Paradise Has No Border」では「今日ここで一番盛り上がってるカメラはどこだ!?」と、GAMOが画面の向こうの視聴者を煽る。ゲストに田島貴男を呼んで「めくれたオレンジ」を披露するサプライズもフェスならでは。「今は実際に肩を組んだりはできないけど、世界中が同じことで悩んでいるから助け合えると良いよね。音楽が潤滑油になれたらいい。音楽を使ってください」と想いを伝え、最後に「Glorious」を演奏し幸福感溢れた雰囲気にする。視聴者に向けて挨拶し、余韻を残しながらフェスを締めた。

 『ビバラ!オンライン2020』は2ステージ制による素晴らしいライブが続いたフェスで、セットチェンジ中のトークや映像などのコンテンツも充実していた。しかし、本来のフェスと同じ楽しみ方ができるかというと少し違う。一組ごとの時間が長い音楽特番のように感じる構成でもあった。それは配信フェスが今後続くとしたら「どのようにフェスの雰囲気を出すのか?」という課題に繋がる部分でもあると思う。実際のフェスの代わりではなく、配信フェスだからこその個性や魅力をどのように出すかは考えていくべきかもしれない。

 しかし、全体を通じて画面の向こうに音楽を届けよう、という想いと気迫を感じた。アーティストからはもちろん、スタッフからもそれは伝わってきた。MONOEYESの細美武士は「絶対にやってよかったね」とMCで語っていたが、それはきっと全ての視聴者が感じたことだ。新たな取り組みに対する課題は少しずつ改善していけばいい。『VIVA LA ROCK』も導線やステージ配置を変更するなど、年々進化して快適な音楽フェスになったのだ。配信でもフェスを開催したこと自体に大きな価値がある。アーティストがステージに立ち、音楽を鳴らしたことで、力を受け取った人がたくさんいるはずだ。それが最も大切なことだろう。(むらたかもめ)

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