映画監督・吉田恵輔の特集が第34回東京国際映画祭で実施される。

古田新太と松坂桃李をキャストに迎えた最新作「空白」の公開を9月23日に控える吉田。特集では「空白」のほか、森田剛が主演を務めた「ヒメアノ～ル」、松山ケンイチの主演作「BLUE/ブルー」などが上映される予定だ。

吉田は「映画監督を目指して頑張っていた頃、東京国際映画祭は客として観に行くものでした。そこで自分の作品が上映されるとは夢にも思わなかったです。これは夢が叶ったと言っていいですよね？」とコメント。「嬉しくて泣いてます。しかも特集上映とは嬉しくてお漏らししてます」と喜びをあらわにしている。

第34回東京国際映画祭は10月30日から11月8日にかけて東京の日比谷、有楽町、銀座で開催。

※吉田恵輔の吉はつちよしが正式表記

市山尚三（第34回東京国際映画祭プログラミングディレクター）コメント

吉田恵輔の映画を最初に見たのは「ヒメアノ～ル」だった。こんな凄い映画を撮る監督がいたのか、と過去作をさかのぼり、それまで見ていなかったことを恥じた。ごくありふれた人々からここまでのドラマを引き出す力はただ事ではない。「BLUE/ブルー」、「空白」という2本の傑作が公開される2021年、この特集を組めたことは大きな喜びである。

ジョヴァンナ・フルヴィ（映画祭プログラマー、キュレーター）コメント

「空白」は素晴らしい脚本、編集、演技に裏打ちされた、とても強烈な作品です。

マーク・シリング（The Japan Times シニア映画批評家）コメント

「空白」は誰も責められない悲劇的な事故を舞台に、邦画ではなじみ深い題材である、いかにマスメディアが餌食にし、いかに地域社会が疎外するかということを掘り下げるだけでなく、悲しみと許しのプロセスがどのように進んでいくのかを、関係者を単に善悪で描くことなく、上手く表現しています。吉田監督の過去作品のように、本作は極端な行動と感情が行き来しつつ、繊細でニュアンスがあり、弱気でひねくれものでさえ、洞察と思いやりがあります。

(c)2021『空白』製作委員会