15年後のラブソング
20/6/9(火)
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イーサン・ホークは、ミュージシャン役が似合うし、歌も上手い! いや、ジョニー・デップみたいにバンド活動をしていないのが不思議。
『リアリティ・バイツ』でバンド活動をするトロイとして『アイム・ナッシン』を歌い上げ、『6才のボクが、大人になるまで。』でもバンドマンの父親を演じ、子供に自作の歌を披露したり、『ブルーに生まれついて』ではトランペット奏者でシンガーのチェット・ベイカーを演じて、トランペットの腕前もさることながら『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』をこれでもかというくらいロマンチックに歌い上げるんだから。
そんなイーサンが、今作では元カリスマ的人気ミュージシャンで私生活も失敗だらけというダメ男タッカーを見事なまでに体現。
枯れ始めた大人の色気を漂わせながら、タッカーの熱烈ファンで評論家気取りの彼氏を持つローズ・バーン扮するアニーとひょんなことから急接近していく展開は、ベタだからこそふたりの演技が光っていく。
しかも、壁に飾られたタッカーの若かりし頃の写真たちは、若かりし頃のイーサン・ホークで、『いまを生きる』とかの美少年時代を思い出させてくれるファン悶絶の遊び心が多々あり!
もちろん、今作でも歌声を聞くことができるのだけど、タッカー自身の歌ではなく、あのイギリスのバンド、キンクスの名曲『ウォータールー・サンセット』を演奏しながら歌っております。これはタッカーが、アメリカからアニーの住むイギリスにやってきたあるシーンで披露されるのですが、イギリスのバンドの有名な曲を選ぶという時点で、その場が盛り上がるようにと考えたタッカーの粋な計らいを垣間見る瞬間。
そんな細やかな演出も監督がミュージシャンである故。
だって90年代に人気だったオルタナティブ・ロックバンド“レモンヘッズ”のベーシスト、ジェシー・ペレッツなのだから、きっと自身の経験も反映されているに違いないでしょ?
あぁ、失敗を経験した大人の恋ってなんて楽しいんだろう。
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