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「人はどんな形であれ、音楽を求めていく」Plastic Treeの創作スタンスが変わらぬ理由

リアルサウンド

14/3/5(水) 10:30

ryuutaro-thumb.jpgボーカル & ギター 担当の有村竜太朗。

 2013年に結成20周年を迎えたロックバンド・Plastic Tree(以下、プラスティックトゥリー)の音楽観や、その軌跡に迫るインタビュー後編。前編【Plastic Treeが振り返る20年の軌跡】では、その特有のバンド観や音楽的バックグラウンドに迫った。後編では、独自の詩世界や制作環境、そして3月5日にリリースするニューアルバム『echo』について、じっくりと語った。(編集部)

ーーでは歌詞のお話なんかも聞いていこうと思うんですが。確か2000年頃のインタビューだったと思うんですけど、有村さんのインタビューの中で『歌詞を書くっていうことは、自分の傷を人に見せて“大丈夫だよ”って言って欲しいことに近い』というようなことを仰っていて、凄く印象に残っています。今もそういう一面は今もありますか。

有村:うん、ありますよ。でもそういうのも最近は言葉を選ぶようになりましたけど(笑)。歌詞の中だけでそういう感情的になるようなことは伝えればいいかなって思ってて。多分元々歌詞を書いてる理由だとか、自己治癒的な意味合いっていうのは、あんまりもう念頭には置いてないですよね。もっとこう、どシンプルっていうか。

ーーどシンプル、といいますと?

有村:曲が出来たから歌詞を書くとか、メロディーに呼ばれたからそのメロディーで自分を紐解いていく、とか。曲によったりはするんですけど、まあ他のメンバーの曲もあるんで、曲があって後からそこに自分がどう出るか、っていうのもあるんですけど、自分が作るものに関しては同時発生です。

ーーなるほど。では楽曲の制作面ではいかがですか? ここ何作かの作品を聴くと、バンドの音楽的な欲求がより深くなっているように感じるのですが。

長谷川:そういう好奇心みたいなものは、作品を作る度にみんなあると思います。バンドのキャラクターとして“あれもこれもなんでもいい”ってバンドじゃないので、自分たちの中でルールみたいなものはあるんですけど。その最低限のルールみたいなものがちゃんとあれば、今はもうなんでもやってみたいよね、っていう感じ。

ーーその“ルール的なもの”というのは、どういうものですか?

長谷川:結局自分たちが楽しめるかどうかっていうことですかね。例えば新しい音楽がインプットとして入ってきてやってみたいと思っても、それをちゃんと自分たちで昇華して表現できるか、っていう、簡単に言えば自分たちが楽しめるかっていうのが大事なところで。音源作って、ライブでそれを演奏して、っていうサイクルが自分たちのなかでワンセットみたいになっているので。

ーーあまりライブで再現できないようなものは……。

長谷川:まあそういう、音源だけ存在してて、ライブではやらないみたいな曲がいずれあってもいいとは思うんですけど。でもなんとなく自分たちのキャラクターを考えると、今のところは音源とライブっていうのはわりと密接に存在してるんで。

個人がやってみたいと思うことを、どんどんやってみようと

tadashi-thumb.jpgベース担当でリーダーの長谷川正。

ーーそれでは新作の『echo』についてお伺いしていこうと思うのですが、非常に冒険作というか、攻めている作品だなと感じました。メンバーそれぞれがコンポーズした曲があって、1曲1曲のキャラがすごく強いけれど、きちんと1本の筋があって、ひとつの物語になっていて。その辺の擦り合わせの作業というのはしたんですか?

有村:初めに枠を作って、っていうのはなかったですけどね。でも今回はデモを集めてみんなで曲を選んでるときから、かなりパーソナルな曲が多くなるだろうなという感覚があったので、プリプロ作業にはかなり時間をかけました。これまではバンドでもうちょっと馴染ませて、手応えをしっかり掴んだものから選んでいって作っていくっていう方法論が多かったと思うんですけど、今回はもうちょっと個人がやってみたいと思うことを、どんどんやってみようっていう感覚があって。

ーー曲作りにおいてもかなり自由な感覚で作った、と。

有村:そうですね、デモを作る段階までは個人の作業なので、いつもは作っていく中で“バンド的にどうなんだろう?”っていう曲はちょっと置いとくんですけど、今回はそういう曲に関してもやってみようと思って。全員のノリが合わなくても、誰か反応する人がいたらそこでやってもらうっていう。

ーー先行公開されているラストチューン『影絵』も3連のロッカバラードで、今までのプラスティックトゥリーにありそうでなかったタイプの楽曲ですよね。

Plastic Tree – 影絵【MUSIC VIDEO】

 

有村:この曲に関しては自分が今作ってみたかった曲で。曲自体は昔からあったんですけど、自分がつくったものをバンドに投げて、肉付けしてもらって、それをそんなに整理しないで出した、って感じですかね。まあ今更ながらに気付かされたのは、“こういう曲作ってもプラになるんだなあ”っていうことで。結構ベーシックっぽい……でもありそうでなかった曲っていうのが作れて、プラスティクトゥリーの中にこういう曲が1ページ作れてよかったなあと思います。

凄くフラットに“作品としていいものが出来た”と思ってる

akira-thumb.jpgギター担当のナカヤマアキラ。

ーーこの『echo』という作品を作るときに20周年というのは意識されましたか?

長谷川:メジャーデビュー15周年のとき……一昨年の『インク』のときは、『Hide and Seek』(1st Album)のセルフカバー作業もやってたんで関連があったと思うんですけど、実は今回あんまりなくて。でもなんかそういう風に結成20周年を迎えるのも、なんかプラっぽくていいかなと思います。そういう本当に通常営業的な(笑)感じというか、今自分たちがやってみたいことを作品にして、いろんな所行ってライブして、っていう、本来バンド作ったときにやってみたかったことをちゃんと実践することが、自分たちにとって20周年を迎える一番いい過ごし方なのかなという気がしますね。今回の『echo』は時間もかけて1曲1曲突き詰めていった部分もあるので、作品としては完成したんですけど、ライブでそれを表現するときに、どういう変化をそれぞれの曲がしていくのかなっていうところに興味があって。今凄くフラットに“作品としていいものが出来た”と思ってるんですけど、いい意味で壊せるところは壊していけると思うし、今回作品作るにあたって足りなかったところは、ライブで演奏されて付け足されていくと思うので。

ーーところで発売日が3月5日(参考:2nd Album『Puppet Show』収録『3月5日。』)というのは、少し因縁的な何かも感じますね。

有村:うーん、これはミニアルバムつくりましょうってことになったときに、3月5日が発売日っていう選択肢があったんです。あの曲はバンドにとってかなり意味をもった曲だなあという意識がメンバー全員にあったので。そういう日に20周年……バンドが20歳になったときに作った作品が出るっていうのは狙ったわけじゃないんですけど、自分たちがそういう選択が出来るってことに意味を感じた、っていう感じかな。

ーーあの曲はほんとにバンドの核になるような楽曲ですよね。じゃあちょっと運命論とか信じちゃった感じですか?

有村:そんな感じ(笑)。結果的に自分たちがそれを感じたっていう感じですね。

kenken-thumb.jpgドラム担当の佐藤ケンケン。

ーーわかりました。少し話が逸れますが、今音楽産業も転換期にあって、長年作品を作り続けるということが難しい時代でもあると思います。市場の変化っていうのは、この20年の間に感じられるところはありましたか?

有村:自分の中では20年って……体感的には5年くらいに感じるんですけど、ちょっとそうやって引いて見ると20年ってやっぱり長かったし、変換期だったと思います。単純にアナログからデジタルへっていうのが露骨に出た時代だと思うし。でもそんな大きな変化っていうのは……逆に変化の中にいたので、変わらんものは変わらないなあっていうのがあって。バンド好きで、音楽好きで曲作ってライブして、それが楽しかったからもう一回曲作って、みたいなのはあんまり変わんないかなあ。うちらより若いバンドの子と話すこともあるし、年上の人と話すこともあるんですけど、あんまりみんなスタンス変わらないというか。全部引っくるめて、あんまり変わらないなあていうのが俺の感じるところですね。

ーー表現の現場では変わってないというか。

有村:そうですね。マーケットとかコンテンツは変わっても、音楽好きな人はどんな形であれ音楽を求めていくし。そういった意味では……娯楽自体は変わらないというか。大きな意味があるし、決して薄っぺらになったわけではないと思う。

ーー作り手として環境の変化にあまり惑わされたり、大きな影響を受けたりしないですか。

有村:あんまうちは変わんなかったし、俺もあんま変わんなかったし、っていう。

ーーなるほど。長谷川さんはいかがですか?

長谷川:まあ作り手は、基本構造変わんないっすよね(笑)。ただ自分も含めて聴き手のひとはこれからもどんどん変わっていくだろうし。でも音楽ってもともとそういうものなのかなあと思いますけどね。レコードからCDになって、CDからダウンロードミュージックの時代になって。でもレコード無い時代からクラシックとかああいうものはずーっと残ってるわけで、やっぱりそれってライブがそうさせたんじゃないかな。だから作り手としては、続ける限りはライブがもっともっと大事なものになっていくのかなと思います。音源だけが作品じゃなくて、ライブも自分たちの作品として考えて、音源が必要だから作りましたとか、そういう発想になっていくかもしれないし。

ーーでは最後にお伺いしたいのですが、これから20年を迎えて、プラスティックトゥリーが変わらず大切にしていきたいものってなんですか?

有村:そうですね……なんかこう、バンドでしてみたいこととか、なりたいバンド像みたいなものはいつも理想通りには行かないけど、どんどん自分のバンドに興味を持てることがバンドのエネルギー源だったので、それを失わず居続けられたらいいなあと思います。それが音源だったり、ライブだったり、バンドから生まれる何か……なんかわかんないけどしてみたいことがある、みたいな感じ(笑)。がむしゃらになれる、バンドとしての生き方が出来ればいいなあと思って。とても大変なことだけど、だからこそそれが出来るバンドであればいいなあと思います。

長谷川:自分たちでもいよいよ未知の領域に突入してるので(笑)。でも今までもプラスティックトゥリーってバンドにはいろんなものを見せてもらったし、やっぱりこのバンドはいいバンドだなあと思うんだよね。自分がやってきたことも踏まえて、これからやりたいこともおそらくこのバンドで出来るだろうし。さっき言った楽しむこともそうだけど、やっぱり大変なときは大変。でもバンドを作ったときに持った“あんなことやってみたい”“こんなことやってみたい”ていうのは変わらずあるから、それはこれからも変わらず持ち続けてやっていきたいなあと思っています。
(取材・文=岡野里衣子)

■リリース情報
New Mini Album『echo』
発売:3月5日
価格:初回限定盤(CD+DVD)¥3,300(税抜き)
通常盤(CDのみ)¥2,600(税抜き)
※初回限定盤のみ紙ジャケット仕様

《収録曲》
1.木霊
2.曲論
3.嬉々
4.輪舞
5.瞳孔
6.雨音
7.影絵

《DVD収録内容》
「影絵」Music Video
「echo」オフショット映像

■ツアー情報
『Plastic Tree 結成20周年”樹念”ツアー2014「echo」』
3月16日(日)千葉・本八幡Route Fourteen
3月18日(火)東京・SHIBUYA-AX
3月21日(金)静岡・sound shower ark
3月23日(日)米子・AZTic laughs
3月27日(木)埼玉・HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3
3月29日(土)金沢・EIGHT HALL
3月30日(日)長野・JUNKBOX
4月05日(土)長崎・Be-7
4月06日(日)福岡・DRUM LOGOS
4月12日(土)京都・FAN J
4月13日(日)高松・DIME
4月16日(水)仙台・Rensa
4月17日(木)盛岡・CLUB Change Wave
4月19日(土)小樽・GOLD STONE
4月20日(日)釧路・Club GREEN釧路
4月26日(土)大阪・IMPホール
4月27日(日)名古屋・Zepp Nagoya
4月29日(火・祝)奈良・ネバーランド
5月02日(金)TOKYO DOME CITY HALL
5月03日(土)TOKYO DOME CITY HALL

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