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米津玄師、日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』特別編オンエアで「馬と鹿」に改めて脚光 楽曲がもたらす感動を味わう

リアルサウンド

20/5/3(日) 12:00

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、新作ドラマが次々放映を延期する中、かつての人気作を特別編としてオンエアする動きが活発化。現在、TBSの日曜劇場枠では大泉洋が主演を務めたドラマ『ノーサイド・ゲーム』(2019年)が、未放送カットを織り込んだスペシャルバージョンとして放映されている。そしてドラマのリバイバルに伴い、米津玄師が担当した主題歌「馬と鹿」にも再び注目が集まっている。本作はドラマのために米津が書き下ろした楽曲で、昨年9月のリリース時には、レコチョクランキングで3カ月連続1位に輝いた大ヒット曲。現在までにCDと配信の合算は150万セールス(CD50万枚、ダウンロード100万枚)を超え、つい先ごろYouTubeでのMVの再生回数が1億回を突破したことでも話題となった。

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 『ノーサイド・ゲーム』は池井戸潤の同名小説の実写化で、大手自動車メーカーに勤務する主人公・君嶋隼人(大泉洋)が低迷中のラグビーチーム「アストロズ」のゼネラルマネージャーを任されることになる人間ドラマ。自身のプライドをかけ、なんとか再起を目指そうとする君嶋と、会社のお荷物と揶揄されていた選手たちが次第に心を通わせ、共に奮闘する姿を描く物語だ。主演の大泉洋をはじめとした松たか子、上川隆也ら実力派俳優に加え、ラグビー元日本代表選手らも出演。『ラグビーワールドカップ2019日本大会』の盛り上がりにも大きく貢献することとなった。

 当然、主題歌「馬と鹿」も各所でパワープレイされ、ドラマの視聴者のみならず多くの人の心をつかむことに。たとえば、ラグビーW杯日本代表で活躍した福岡堅樹選手は、Twitterで“落ち込んだ時に元気の出る歌”として同曲を挙げ、「SCO(筆者注:スコットランド)戦の後に流れてたのを今でも鮮明に覚えています!」とコメントするとともにアカペラで歌う動画も投稿。当該試合は、日本代表がワールドカップ史上初のベスト8入りを決めた歴史的な1戦で、試合終了後、グラウンドに「馬と鹿」が響き渡り、観客は大合唱しながら選手たちの奮闘を称えた感動的なシーンでとして記憶されている。

 また、主演の大泉洋も米津との対談で「疲れ切ってるときでもこの曲を流すと、車窓から見える全てがドラマチックに見えてくるんだよね」と楽曲の持つ力に触れ、役に入り込む上でのトリガーになっているとも語っている。ドラマ終了後もラグビー関連のニュースに使用されるなど、もはやアンセムと言ってもいいほどの浸透ぶりだ。

 「馬と鹿」はギターのカッティングにのせた米津の独唱ではじまり、シンフォニックかつ同大なサビへとつながっていく展開がカタルシスを生むロックバラード。米津自身も「主人公が逆境の中を進んでいく様をどうにか音楽にできないかと探った末にこの曲ができた」とコメントしていることからも明らかなように、ドラマとの親和性に重きを置きながら制作された。歌詞自体は抽象的にも見えるが、その中にも〈痛みは消えないままでいい〉〈終わるにはまだ早いだろう〉〈あまりにくだらない 願いが消えない 誰にも奪えない魂〉といった箇所には、ハードなスポーツに身を捧げる者たちのストイックな姿勢が浮かぶ。傷だらけになってフィールドで戦う選手たち、そして彼らとともに再起をかけて大勝負に挑む君嶋の燃え盛る闘志が見えるようだ。そして聴き手もまた、ドラマの登場人物に自身の現在地を重ねるうち、自らのテーマソングとして受け入れ、ロングヒットにつながったのではないだろうか。折しも新型コロナウイルスの脅威にさらされ、自粛生活を余儀なくされた私たち。不安の中、ひとりひとりが力を合わせることが求められている。まさに“ワンチーム”になる時。『ノーサイド・ゲーム』やラグビー日本代表が示した不屈のメッセージは、「馬と鹿」に象徴され、未来への希望を示す曲としても響くのではないだろうか。

 先んじて放映された第1夜では、大泉によるスペシャルナレーションが加えられたこともあり、「内容分かってるのに何回も泣いた」「第2夜も楽しみ!」といった反響が寄せられたほか、公式サイトには姫野和樹選手、田村優選手、リーチマイケル選手らによる応援コメントも掲載され、ドラマへの熱も再燃中。「馬と鹿」にも「いいシーンで流れて鳥肌立った」「主題歌だけで泣ける」など絶賛の声が相次ぎ、今回初めてドラマを視聴した層にも響いている様子。映像との一体感のある演出にも注目しながら、改めて「馬と鹿」がもたらす感動を味わってみては。(渡部あきこ)

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