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松下奈緒と木村佳乃の女医バディに注目! 『アライブ』がん治療の現実に立ち向かう

リアルサウンド

20/1/9(木) 8:00

 1月9日からスタートする『アライブ がん専門医のカルテ』(フジテレビ系)は腫瘍内科を舞台にした新時代のメディカル・ヒューマン・ストーリーだ。

参考:『アライブ がん専門医のカルテ』松下奈緒、今年の抱負は「無我夢“チュー”」

 2人に1人がなると言われる国民病のがん。腫瘍内科という名称を聞きなれない人も多いかもしれないが、欧米では「メディカル・オンコロジー」と呼ばれ、患者の治療方針を決定するがん治療の要といえる存在だ。劇中、横浜みなと総合病院に勤務する「オンコロ先生」こと恩田心(松下奈緒)も、一人の医師として日々患者と向き合っている。

 心のパートナーとなるのが消化器外科に移籍してきた梶山薫(木村佳乃)。心と薫は患者の家族会で出会う。松下と木村の共演は2005年の『恋におちたら~僕の成功の秘密~』(フジテレビ系)以来で、それぞれに葛藤を抱えながらがん治療に挑む女性医師のコンビを演じる。

 これまでにも、松下は『ディア・シスター』(フジテレビ系)、木村は『後妻業』(カンテレ・フジテレビ系)など、女性キャストをメインに据えた作品で異彩を放ってきた。がんに立ち向かうバディとして、心と薫の関係は真実が明らかになる中でどのように変わっていくのか。仕事に奮闘する女性たちのドラマでもあり、実力派女優2人による細やかな感情表現と、幾重にも伏線が織り重なった展開に注目したい。

 日本初の腫瘍内科を扱った本作では、がん治療のリアルが徹底して描かれている。再発と転移を繰り返す全身がんの患者や腫瘍の場所がわからない原発不明がんなど、患者によって病気の進行も治療方法も異なる。心の仕事は一人ひとりの患者に寄り添い適切な治療法を探ること。部長の阿久津晃(木下ほうか)のもと、光野守男(藤井隆)、研修医の結城涼(清原翔)や夏樹奈海(岡崎紗絵)など、個性的な顔ぶれの「チーム・オンコロ」とともに治療に取り組んでいく。患者への問診やオペシーンは専門医が監修しており、実際に病院で治療を受けているような雰囲気が再現されているのもポイントだ。

 心たちが挑むのは病気だけでない。腫瘍内科の存在は日本では浸透しておらず、その数は欧米の13分の1。がんの三大治療法は手術、放射線治療、薬物療法だが、手術ができない腫瘍内科は、他の診療科や医療施設と連携して治療にあたることになる。第1話で転院してきた患者の処置についてクレームを受ける場面が登場するように、病院内での発言権も弱い。心たちは、病気だけではなく、組織や制度の壁も超えながら一人の命を救うために挑戦することになる。

 病気に関する説明や病院の内情が具体的に描かれた『アライブ』は、患者や家族はもちろん、一般の視聴者にとっても、がんについて新たな気づきを得ることができる作品だ。患者役の高畑淳子や石野真子の迫真の演技は、病を背負って生きることの現実を身近に感じさせる。誰もががんになりうる時代に大事なのは「知る」ことであり、ドラマを通じて自然にがん治療の実態を知ることができるようになっている。

 主演の松下は舞台挨拶で「悲しくて辛いこともたくさんありますけど、それを乗り越えて一生懸命生きている人たちのドラマ」と紹介。ハッピーエンドではない展開も含まれると予想されるが、目を背けずに見る価値のある作品と言えるだろう。あらゆる手を尽くして目の前の命を救おうとする医療者の思いについて、松下は「同じ痛みを感じながら導く優しさ」と語った。葛藤を抱える一人の人間だからこそ救える命があるというメッセージを『アライブ』は全身全霊で投げかける。そのことは第1話を見てもらえれば伝わるはずだ。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。

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