寄席定席や大きなホール以外で開かれる「小さな落語会」が増えている。そば屋の二階、おしゃれなカフェ、ミニギャラリーなど、小粒ながらも気が利いたスペースが目立つ中、「ビジネスビルの会議室」が会場とは何とも無粋な……。出かけてみると、確かに愛想なしの空間なのだが、会の内容は「愛想ありあり」だ。東西の気鋭の若手12人をレギュラーに抜てきし、毎回その中から3人が高座に上がる。今回の出演者は、東京方が本格古典の入船亭小辰と、全身演芸センスの塊である春風亭昇也、上方からはスケールの大きな芸で注目の桂華紋だ。東西若手が腕によりをかけ、無機質な会議室を落語の色に染めていく。ワクワクする瞬間を見逃さぬよう。