メディアを通しての情報は、本当にもうウンザリするほど巷に氾濫していて、よほど覚悟を決めないと溺れてしまい、ただもう薀蓄(うんちく)を垂れ流す鼻持ちならない人間になってしまうぞと自戒し、日々努力しているつもりですが、なかなかうまくいきません。そうした自省の念を新たにさせられたのがこの『ちむぐりさ　菜の花の沖縄日記』でした。北国の能登半島で生まれ育った15歳の少女・坂本菜の花さんは、故郷を遠く離れて、沖縄のフリースクールに通っている。彼女の目を通して辺野古の米軍基地問題や、米軍ヘリの不時着炎上事故そして県民投票など、揺れ動く現実が描かれる。題名の”ちむぐりさ”とは、沖縄の言葉で、肝(ちむ) ぐりさ、”あなたが悲しいと、私も悲しい”を意味するとか。何よりも、自分の目で見て、感じることの大切さを考えさせるドキュメンタリーだった。