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SCREEN mode、『One Wish』を“1stシングル”と語る真意 「自分たちの意思のもとに作られたという意味ではこれが“1”」

リアルサウンド

19/12/10(火) 18:00

 よりシンプルに、よりソウルフルに、より等身大に。11月でデビューから6年が経過し、進化を続けるSCREEN modeから届いたニューシングルは、TVアニメ『警視庁 特務部 特集凶悪犯対策室 第七課-トクナナ-』ED主題歌になった「One Wish」。スクモらしい痛快な疾走感、哀愁を帯びたポップなメロディ、アコースティックギターの多用、勇-YOU-の技巧的ファルセット、雅友がSCREEN modeとしては初めて単独で書いた歌詞など、様々な要素を織り交ぜつつ、あくまで耳に心地よく響くスピードチューン。「これを1stシングルと言ってもいい」という、雅友の言葉に込められた真意とは? 2019年を総括する、二人の本音がほとばしる最新インタビュー。(宮本英夫)

自ら詞を書くことで宿るものがあるんじゃないか 

ーー「One Wish」は、久々のタイアップ書き下ろしということで。

雅友:はい。あまり指定もなく、自由にやれましたね。物語が、後半に向けて主人公が背負っているものが明らかになって、けっこう重い話になっていくので、ED主題歌は清らかな感じがいいんじゃないか? と。ダークすぎず、爽やかな感じもあり、浄化されるような曲がいいなと思って、「激しすぎないアップテンポのものを」というところから作り始めました。前のミニアルバム『約束の空』(7月3日リリース)と制作時期が一緒だったので、そのアルバムの中の曲で、「One Wish」より後に録った曲もあります。

ーー勇-YOU-さんの、この曲の第一印象は?

勇-YOU-:『約束の空』で、ファルセットを多用する楽曲は歌っていたんですけど、こういうアップテンポの楽曲は、地声で張り上げることが多かったので。「疾走感ある楽曲の中でファルセットを使うんだ」という、新鮮さはすごく感じました。『約束の空』で試した歌唱を、いい意味でフィードバックできたかな? と実感してます。それが雅友さんの言う「浄化」や「癒し」という狙いと合致しているので、歌いやすかったですね。

ーー雅友さんにとっては、「勇-YOU-のファルセットの魅力をもっと引き出す」というテーマがあった。

雅友:そうですね。せっかく出るようになったんで。最初の頃はどうしても、作家の意識が残っていて、1オクターブぐらいの間で曲を作らなきゃいけないという縛りを自然と自分に課していたというか。勇-YOU-もそこに慣れちゃってた部分があったんですけど、徐々に「それでは良くない」と感じることがあって、少しずつファルセットを増やしていって、『約束の空』ではおよそ2オクターブぐらい出るようになった。その広い音域を使い切る作曲のやり方に、僕もだいぶ慣れてきた部分もあって、徐々に使えるようになってきた。それは、ほかの方への楽曲提供にも影響はありましたね。

ーー『約束の空』の時に話していた、音数を減らしてサウンド全体をクリアに響かせる手法も、さらに継続されていると思います。

雅友:今回はエレキギターを無しにして、アコースティックギター、ピアノ、弦、ドラムと、音を少なくして、ちゃんと奥行きを作ることはかなり意識してやってますね。ドラムを打ち込みにしたのも、奥行きという部分と、浄化されるというイメージ的に、あまりパワフルすぎるのはどうかな? と思ったので。打ち込みのほうが温度感をコントロールしやすいので、この曲はそうしました。

ーー歌詞も雅友さんが書いている。初めてじゃないですか。

雅友:そうですね。元々「太田も書け」と、プロデューサーには言われてたんですよ。でも詞も曲も僕となると、バランス的にどうかな? という思いもあって、勇-YOU-や作詞家さんに書いてもらってきたんですけど。5周年も過ぎて、1曲ぐらいは書いてもいいのかな? というのと、やっぱりそのバンドの主張は、たとえ拙くても、本人が書いた言葉のほうが説得力があるんじゃないか? というふうに思うことがあって。今売れてるバンドを聴くと、本当の等身大から生まれる説得力というものがあるんじゃないか? と感じていて、それで一回書いてみようかなと思ったんですね。これまで共作はあったんですけど、こういう形で出るのは初めてです。過去には、やってたんですけどね。SCREEN modeになる前は。

ーー勇-YOU-さん。雅友リリックはどうですか。

勇-YOU-:時間がない中で、すごい綿密に最初から最後までストーリーが描かれてるなと思って、すごいなと思いました。やっぱり、俺のことも理解してくれてるのが大きいと思います。もちろん、アニメの作品の登場人物の心情に繋がる部分もあるんだろうけど、SCREEN modeも7年目に入って、いろいろ理解してもらってるから、自分自身が歌いたいことも拾ってくれていて、すごくスムーズに歌える。そういう印象は受けましたね。

ーーまさに「Wish=願い、望み」の歌ですよね。「これからも一緒にいたいよ」と歌う、君と僕の希望の物語。

雅友:作品に、仲間との出会いによって、自分の背負っているものを受け入れることができるようになる、というようなテーマもあって。それを自分たちに置き換えるというか、自分たちの目線でそれを言えたらいいなと思ったんですね。でも最初は、僕の人間性なのか、悲劇的な結末になって、受け入れられなくて「もう駄目だ」みたいな、暗い感じになってた。友達にその話をしたら、「夢や希望がない曲は聴きたくないよね」と言われ、まあそうだなと(苦笑)。だから、自分が考えていることとはまた違うんだけど、「こうでありたい」ということを書こうと思って、そういう意味で最初は「Wish」というタイトルにして、「願いとはつまり自分に対するメッセージである」というつもりで書いてたんですけど、できあがってみると、それは勇-YOU-に対するメッセージとも取れるし、ファンに対してのメッセージとも取れるので、タイトルを「One Wish」にしました。元々「Wish」だけだと寂しいから、「ある希望」みたいな意味で「One Wish」にしたんですけど、結果的に「一つの希望」という意味もあるというか、僕の希望でもあり勇-YOU-の希望でもあり、ファンのみんなにとっての「一つの希望」でもあるというふうに、図らずも繋がったんですね。

ーーよく読むと、けっこうネガティブなワードも多いんですよ。〈本当の気持ちに嘘をついた〉とか、〈寂しいなんて素直に言えなかった〉とか。雅友さん、本当はそういう人なんですね。って、決めつけちゃいけないけれど。

雅友:だからそれを、書かないといけないのかな? と思ったんですよ。「そういう人なんですね」って、作家に書いてもらうと、そうはならないじゃないですか。「こいつはこういうことを書くんだ」と周りに思われないと、アーティストは駄目だと思ったので。全曲じゃなくてもいいと思いますけど、アーティストというものは、要所要所で自ら詞を書いて、「この人はこんなふうに思ってるんだな」と思われないと駄目だし、そこに宿るものがあるんじゃないか? と思ってます。だから勇-YOU-にも書いてもらいたいなと、僕は常々しつこく言ってるんですけど。

ーーボールがこっちに来ましたよ。勇-YOU-さん。

勇-YOU-:ね。またあらためて勉強したいです。

ーー前作の「約束の空」という曲は、闘病中のお父様のことを思って書いた歌詞でしたよね。書いたのは松井五郎さんですけど、勇-YOU-さんの原案で。だから、どんどん歌詞が自分に近づいてきてるなという感覚はこちら側にもあって。

勇-YOU-:ああ、そうですね。

雅友:そうそう。だから、その先にあるものが見たいんですね。

SCREEN mode / One Wish [Official Video] TVアニメ「警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課 -トクナナ-」ED主題歌

ようやくSCREEN modeのイメージが固まってきた 

ーーこれはSCREEN modeにとって、大事な1曲になると思います。そしてカップリング2曲目「COLLAGE」は、浮遊感あるミドルロックバラード。これも勇-YOU-さんのファルセットが大フィーチャーされてる。

雅友:3曲目「君といるそれだけで」が先にできて、でも「こういうR&B風なのはもういいかも」みたいなことをスタッフに言われたので(苦笑)。じゃあロックを書くかと思って、書いたのが「COLLAGE」です。勇-YOU-の高音域が出るようになったことで、それこそソウルとかだと、頭から最後までファルセットとか、あるじゃないですか。そういうものをやってみたいと思って書いた曲です。楽器も同じなのですが、高い音はどうしても力んで出しがちですけど、弱い力ではっきり出すのが一番難しい。そういう表現に挑戦してほしいと思って書いた曲です。ずっと高いところにいて、それでも張らずに、抑揚を付けていく。結果的に、チェット・ベイカーみたいな中性的な感じになりましたね。歌詞はいろいろ考えた末、松井五郎さんにお願いしたんですけど、男目線なのか女目線なのか、どっちにも取れるように書いてくれて。

勇-YOU-:松井さんといろいろお話をさせてもらって、すごく大切な人がいるんだけども、お互いに何かしら昔にトラウマを抱えていて、一緒にいるけれども、未来への不安を歌った曲にしたいという話をさせてもらったんですね。それで書いてくださった歌詞がーーそこが松井さんのすごさですけど、そういう心情とも読めるし、別れてしまった心情とも取れるし、聴き手によって奥深さを感じる楽曲になったんじゃないかな? と感じてます。歌に関しては、ファルセットが出るようになったからこその、声をクリアに出すことを求められた楽曲で、こだわって一回録り直してます。高いところに行っても、クリアで、張らずに、たゆたう感じの歌を意識しました。

ーーいい曲です。「COLLAGE」(コラージュ)というタイトルも意味深。

勇-YOU-:「性質の違うものを組み合わせる」という意味なので、僕の最初のテーマがよく出てますね。繋がってるけど、繋がってないのか? みたいな。お互い信じ切れているのか? ということにもなるし。ワードのチョイスがすごいと思います。

ーーそして3曲目「君といるそれだけで」。

雅友:今回からSpotifyやApple Musicや、サブスクリプションにSCREEN modeの曲が入るということで、あれって日常に溶け込むメディアじゃないですか。でもSCREEN modeの曲はメロディがはっきりしすぎて、他事しながら聴くよりも、しっかり聴いちゃう曲が多いから。普段会社に行く時にパッと聴けるような曲がいいなと思って、書いた曲です。

ーーこういう明るいR&B調の曲は得意でしょう。

勇-YOU-:こういう曲調は今までにも歌ってきたので、「COLLAGE」より時間はかからなかったですね。いい曲だと思います。この歌詞も「COLLAGE」同様、自分でテーマを出して、村野直球さんに書いてもらったんですけど、「COLLAGE」とは真逆の内容で、夢や希望に向かって行く時に、叶わないこともあるけど、本当に大切な人がいて、その人と過ごす何気ない日常に幸せはあるんじゃないか? と。そういうことを歌いたくて、こんな感じの曲になりました。

ーー三曲三様、充実のシングル。これで2019年は暮れていくわけですけど、あらためてひとこと。今年はどんな1年でした?

勇-YOU-:今年の1年は、単独ライブをやらせてもらって、フェスにも出させてもらいましたけど、この間のライブ(8月4日/下北沢GARDEN)で、同じ声優でもあり、尊敬している人でもある豊永利行くんをゲストに迎えた、それが非常に印象深いですね。一人では見えないことが、彼と一緒にライブを作っていくことで、彼の引き出し、彼のやり方、彼のモチベーションを間近で見られて、非常に刺激になったし、それをSCREEN modeのライブにも生かせたらと思いました。たとえばですけど、大きな夢を言うと、SCREEN modeが主催のフェスとかやってみたいなという思いはあるし、あるいはコラボ、対バンとかもできたら嬉しいなと感じている今日この頃です。

雅友:「SCREEN modeってこういう感じだよね」みたいなものが、ようやくできてきたと思いますね。初期は「極限Dreamer」とか、四つ打ちで打ち込みの曲みたいな、要は従来のアニメソングのフォーマットに近いものをやっていて、それはそれでSCREEN modeだったんですけど。ここ何作かで、勇-YOU-のファルセットだったりとか、サウンド的にも音数を減らして表現したりとか、コード感にジャズっぽいボイシングが出てきたりして、でもメロディはポップでキャッチーで、ようやく「こういう人たちなんだな」というものが固まってきたかなと思います。

ーーなるほど。確かに。

雅友:今までは、普通に林勇という人がいて、歌がうまいだけだったんで。でも「歌がうまい」から一歩出るというか、「ファルセットすごいですね」とか、サウンド的にも同じことが言えると思います。歌詞についても、今回僕が単独で書いて、今後は勇-YOU-にももっと書いてもらいたいし、作家の先生に書いてもらうにしても、頼み方がだいぶ変わってきて、主人公の立ち位置が明確になってきた部分があるので。やっと固まってきたなという、遅すぎるんですけど。

ーーいやいや。むしろ幸せなことじゃないですか。

雅友:レコード会社が、10代のバンドを見つけてきて、5年ぐらい育成してデビューみたいなことをよく見てきましたけど、やっぱり5年はかかるんだなと思いました(笑)。そんなこと言ったら駄目なんでしょうけど。本当はね、こういうことがはっきりしてから、「極限Dreamer」や「Naked Dive」を出すのが良かったのかもしれないですけどね。ベースはここで、出かけて行ってそれをやって、また戻ってくる。でも最初はそこが定まってなくて、来た球を打ち返すのに精いっぱいだったから。

ーーそうでした。

雅友:自分たちの曲がサブスクに入って、あらためて古い曲を聴くと、意外とカップリングには今みたいな曲が入ってるんですよね。「COLLAGE」や「君といるそれだけで」のような曲が。だから、その要素はずっとあったはずなんですけど、「これが僕たちです」という意識がないから、ただ曲があっただけ。サブスクリプションで、シャッフルで聴いて、今さら反省してます(笑)。自分たちが気付いていなかったことに対して。『SOUL』『1/1』『約束の空』という3枚のアルバムから、そういうことを考えるようになったので、そこから数えるとまだ2年ちょっとですよ。

ーーそうなんですよね。まだまだ始まったばかり。

雅友:今回で11thシングルですけど、1を取って「1stシングル」と言ったほうがいいかもしれない。僕的には、それぐらいの気持ちがあります。歌詞も、サウンドも、歌い方も、何もかも「こうでなければいけない」という自分たちの意思のもとに作られたという意味では、これが「1」ですね。「One Wish」の、「One」だけに。

ーーうまい。

雅友:そんなにうまくないです(笑)。でも、そんなことを考えさせられた1年でした。今、やってて面白いですよ。楽しいです。2020年の予定は、まだ決まってないですけど、ライブをできるようにしたいですね。待っていてほしいです。

(取材・文=宮本英夫)

■リリース情報
『One Wish』
発売:2019年11月27日(水)
価格:¥1,430(税抜)
TVアニメ『警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課 -トクナナ-』エンディング主題歌

新曲「One Wish」を含むSCREEN modeの楽曲が主要サブスクリプション型(定額制)配信サービスにて配信開始
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