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マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」、チャート最高位記録 ネット上の“クリスマス施策”が功を奏す

リアルサウンド

19/12/17(火) 7:00

 テイラー・スウィフトにジョナス・ブラザーズ、そしてニーヨ。クリスマスソングやアルバムをリリースする歌手は今年も少なくありません。

 しかし毎年のようにクリスマスシーズンを席巻するのはなんといってもマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」ではないでしょうか。日本ではドラマ『29歳のクリスマス』(1994年、フジテレビ系)の主題歌に起用されてお馴染みの曲ですが、アメリカにおいては12月14日付米ビルボードソングスチャートで3位に到達し、昨シーズン(2019年1月5日付)の最高位に並びました。なぜ今になって最高位を記録し、そしてクリスマスソングがチャートを席巻しているのでしょう。

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 元々「All I Want For Christmas Is You」はアメリカでシングルCDとしてリリースされておらず、アルバム『Merry Christmas』(1994年)からのラジオ向けシングルという位置付けでした。ラジオエアプレイでは12位まで上昇するものの、当時の米ビルボードはあくまでシングルCDとしてリリースされた曲がカウント対象だったためにチャートに掲載されなかったのです。しかしレコード会社等がアルバムを売りたいがためにあえてシングルCDを切らなかった状況が深刻化しビルボードチャートが流行を追いかけられなくなったため、1999年度からはシングルCD未リリースの曲もチャートイン出来るようになります。米ビルボードはこの年から、シングルではなく“ソングス”チャートとなったのです。

 2000年代に入るとデジタルが興隆し、2012年から加算対象となったストリーミングが現在の米ビルボードソングスチャートにおいて最大のウェイトを占め、クリスマスソング上昇の布石となりました。ストリーミングの興隆に比例して「All I Want For Christmas Is You」は2017年のクリスマスシーズンに9位をマークし初のトップ10入りを果たすと、翌年は3位に入り、今年はすでに最高位に並んでいます。過去2度の3位獲得時は共にストリーミング指標で首位に立った一方、例えば最新チャートにおけるダウンロードは10位、ラジオエアプレイは32位であり、ストリーミングが如何にヒットの重要な要素かが理解出来ます。この他にも最新チャートではブレンダ・リー「Rockin’ Around The Christmas Tree」が8位となり、発表からおよそ60年経過して最高位を更新しているのです。

 マライア・キャリーはクリスマスソングの女王と称すべき強さを誇ります。米では2011年からクリスマスソングのみのチャート(Holiday 100)がスタートしていますが、2019年はこれまでの42週中通算37週もの首位を独占しているのが「All I Want For Christmas Is You」なのです。そしてマライアはこの曲をさらに押し上げる施策を行い、注目をさらに高めています。

 ハロウィンから一夜明けた11月1日、マライアはクリスマスモードに突入したことを知らせる動画をTwitterに公開。同日リリースした『Merry Christmas』の25周年記念盤の宣伝というより、「It’s time…Woh!」という歓喜の声はまるでマライアの季節到来! と宣言しているかのようです。さらに12月1日には、クリスマスまでをカウントダウンする特設サイト「25 Days of Mariah Christmas」を公開。アドベントカレンダーを模したこの企画からは、1996年に東京ドームで披露した「All I Want For Christmas Is You」の映像も公開されています。

 「All I Want For Christmas Is You」にちなんだ企画が多数用意される中、Amazon Music公式YouTubeチャンネルでも10分強のドキュメンタリーが制作され、今月11日に公開。この曲の誕生秘話やチャートの動向について触れられています。日本語字幕でも確認可能です。

 『Mariah Carey is Christmas』という直球のタイトルには驚かされますが、チャートでの好成績や日本を含む世界中での「All I Want For Christmas Is You」の浸透度の高さからすれば、大袈裟ではないかもしれません。あとは米ビルボードで、クリスマスソング史上2曲目の首位を獲得するだけと言えるでしょう。

 そしてついに、「All I Want For Christmas Is You」は12月21日付米ビルボードソングスチャートを制しました。マライア・キャリーにとって19曲目の首位獲得となり、ビートルズの持つ最多記録にあと1曲と迫りました。またクリスマスソングがピークを迎える2020年1月4日付で首位を獲得したならば、マライアは1990年代以降4つのディケイドで首位を獲得する初の歌手となります。

 ちなみに、米ビルボードソングスチャートにおいては昔からのクリスマスソングが有利であり、今世紀リリースの作品で今年1月5日付にて50位以内に登場したのはケリー・クラークソン「Underneath The Tree」(2013年)の44位のみ。その意味では、冒頭に紹介した今年の新曲よりも昔から愛されてきた曲が有利かもしれませんが、ドキュメンタリーで語られているように「All I Want For Christmas Is You」人気再燃のきっかけが『ラブ・アクチュアリー』(2003年日本公開は翌年)だったことを踏まえれば、リリースから数年経って人気に火が付く曲が今後出てくるかもしれません。(Kei)

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