2020年もあっという間に6月下旬になった。そろそろ1年の折り返しというタイミングだが、今年は新型コロナウイルスの影響もあり、バタバタと過ぎてしまった人も多いのではないだろうか。想定外のことに世界中が大きく揺れた2020年上半期。だが、そんなときにも稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の3人は、先の見えない日々に前向きな気持ちを届け、「新しい地図」の名前通り新たな時代を歩き進めるヒントを示してくれた。そこで今回は、コロナ禍における彼らの活躍を改めて振り返ってみたい。

（関連：草なぎ剛、クルミちゃんと子犬たちに注ぐ愛　小さな命の成長から感じた“温かな希望”）

　2019年末、3人で『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで！』（日本テレビ系）に出演し、振り切ったキャラクターで大きな話題を呼んだ彼ら。元日には『ななにー』こと『7.2 新しい別の窓』（ABEMA）の生放送、さらに香取慎吾はソロアルバム『20200101(ニワニワワイワイ)』を発売し、明らかに追い風を感じる年明けとなった。2020年は彼らが長年サポートを続けてきたパラスポーツの祭典、東京パラリンピックの開催も控えており、ますます盛り上がっていく予定だった。

　だが、ご存知の通り新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、人が多く集まるであろうイベントは軒並み中止に。例年、彼らが応援してきた障がいの有無に関わらず誰もが楽しめる『パラ駅伝』も、ついには東京パラリンピックそのものも中止や延期を余儀なくされてしまった。さらに、エンタメを取り巻く状況は厳しさを増していく。稲垣吾郎が出演した『海辺の映画館―キネマの玉手箱』を筆頭に、新作映画の公開日が見えない日々。草なぎ剛が出演するはずだった舞台『家族のはなし』東京公演も中止に。さらに、彼らがファンと会うことができる『NAKAMA to MEETING_vol.2』も、さいたまスーパーアリーナで行なわれる予定だった香取慎吾のソロコンサート『20200429 PARTY!』も開催を諦めざるを得ない状況となった。

　『ななにー』でも、4月6日放送回では距離を取ってオンエア。日常を奪われた人々の混乱を受け止める形で、生放送ならではの距離感で視聴者とのコミュニケーションを取っていたのが印象的だった。多くの人がショックを受けた志村けんさんの訃報を悲しみ、思い出話をしながらその胸の痛みを和らげようとしたり、実際にマスクがどのくらい足りていないのかを訪ねたり、病院やスーパーなど社会を支えるために働く方々など“外出自粛できない人々”のコメントを読み上げる場面もあった。

　1人で落ちていってしまいそうな気持ちに光を当て、それぞれの立場から見えるものをシェアしていく。「いっしょにがんばりましょう」ーーその温かな呼び声は、地震や豪雨で打ちひしがれてきた日本を、彼らがいつも励ましてくれていたんだと改めて思い出させてくれるものだった。

　思い通りにならない日々。蔓延するストレスに飲み込まれて、人はとっさに他人を、そして自分自身をも責めてしまいそうになる。自粛中の外出も瞬間的に「けしからん」と攻撃するのではなく、「やむを得ない事情があるのではないか」と想像すること。そして、ネガティブな状況を笑顔で受け止め、感謝し、日々愛情を持って暮らしていこうと発信していった。

　4月27日には子どもたちへの食事提供や相談支援を目的に『LOVE POCKET FUND（愛のポケット基金）』を設立。目指したのは、“あなたのため”が“自分のため”になる、の言葉を胸に、「誰かにやさしくすることで自分も幸せになれる」FUND。新しい地図としても3000万円を寄付し、全国のNAKAMAの想いが募り、支援金は2億6850万8129円（6月21日9時30分時点）に。自分の幸せは誰かにやさしくなることで始まる。そんなメッセージも実に彼らしい。

　「鬱々としたら身体を動かそう」と、草なぎは多くのYouTube動画をいくつもアップ。そして、おうち時間に少しでも彩りを……と、様々な取り組みを見せていく。稲垣は久しぶりにカメラを手に取り、美しい花たちを撮影。若き日の香取の笑顔が切り取られた写真も大きな話題となった。香取は得意のアートで「ぬり絵」を作ってみせる。オリジナルのイラストのみならず、稲垣が撮影した花の写真や、草なぎの提案した「アマビエ」に次ぐ疫病退散のキャラクター「つよのしん」などを「ぬり絵」化。その創作風景を収めた動画も見応えたっぷりな作品に。そして多くのNAKAMAも、その「ぬり絵」を楽しみ、私たちの世界は自分の手でいくらでも色鮮やかにできるのだと教えてくれた。

　『ななにー』も状況に応じて、5月4日はリモートでの生放送、6月8日はソーシャルディスタンスを取りながらのオンエアと、柔軟に対応。そのなかで草なぎの愛犬・クルミちゃんがママになるというハッピーなお知らせもあった。この混沌の世界に生まれた新しい命。その命を守る草なぎの姿に、私たちもこの世界がより良いものであるように、と願った。

　そう、世界は常に変化しているのだ。その世界を作っているのは、他ならぬ私たち自身だということ。これからのエンタメをリードする若き表現者たちとのやり取りに「時代が変わったんだね」という香取の言葉にもハッとさせられた。私たちは、変わる世界に対して常に自分をバージョンアップさせていく必要がある。常に新しい地図を広げてきた彼らだからこそ、ストレートに伝わってくるものがあるのだ。

　まだまだ新型コロナウイルスの脅威は消えてはいない。相変わらず手探りな日々だ。でも考えてみれば、もともと人生とは冒険の日々なのだ。それが、このコロナ禍によって、より実感できるようになったとも言える。見えない未来は誰もが恐れるもの。でも、その怖さもシェアしながら、常に人々を勇気づけ、道標となる彼らがいる。この世界が、より楽しく、よりワクワクするようなものになるように。2020年の下半期も、3人といっしょにがんばりましょう。（佐藤結衣）