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片桐仁の アートっかかり!

『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』展 不気味?かわいい? ゴーリー絵本の魅力に迫る!

毎月連載

第14回

『うろんな客』『ギャシュリークラムのちびっ子たち』など不気味なユーモアの漂う絵本で知られるエドワード・ゴーリー。今回は練馬区立美術館を訪れ、『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』を担当学芸員の小野さんと一緒に鑑賞しました。

練馬区立美術館にて
世界巡回展が開催中

片桐 今回は連載史上初の区立美術館です。

小野 東京都は人口が多いので、練馬区だけでも70万人を超えており、高知県や島根県と同じぐらいなんです。

片桐 「区立」と言っても全国的に見れば「県立」と変わらない規模なんですね。

小野 そうですね。区という小さな行政区画で美術館を運営している自治体は東京以外ではありませんが、東京都では板橋、渋谷区の松濤美術館、練馬、世田谷、目黒、墨田区のすみだ北斎美術館などが開館しています。

片桐 地域に根ざした展覧会が多いのですか?

小野 日本の近現代美術が中心ではありますが、西洋近現代美術、浮世絵などの企画展も行なっています。

片桐 そして今回はエドワード・ゴーリーですね。

小野 本展は、ゴーリーが2000年に亡くなった後に企画されて世界各国を巡回している原画展で、貴重な原画・書籍・資料など約350点を紹介するものです。

片桐 ゴーリーといえば、ヴィレッジヴァンガードで絵本やグッズがたくさん売っていて人気がありますよね。

小野 グッズから好きになったという人も多いかもしれませんね。日本で本格的に紹介されたのは、ゴーリーが亡くなった2000年になってからで、アメリカ文学研究家で翻訳者の柴田元幸先生が手がけた翻訳絵本が出版されています。

片桐 ゴーリーはアメリカ人なんですね。ヨーロッパの人かと思っていました。

小野 19世紀イギリスのヴィクトリア朝のスタイルが好きで、その要素は作品にふんだんに取り入れているので、ヨーロッパの雰囲気が感じられるというのはありますね。

ゴーリーによるゴーリーの世界

小野 展覧会は3章構成になっていまして、第1章はゴーリー自ら文・絵を手がけた「主著 Primary Books」を紹介しています。

片桐 原画はこんなに小さいサイズなんですね!

小野 ほとんど印刷する本と同じサイズで描いています。

片桐 ぱっと見ると版画に見えますけど、ペン画なんですね。細かいなあ。手のブレも全然ない。

小野 この長い毛皮のコートを着て、白いスニーカーを履いているキャラクターが時々登場しますが、ゴーリー自身を描いたキャラクターです。

片桐 怪しいですね!

片桐 最初は鉛筆で下書きして、ペンで描いて、最終的にこうなるんですね。

小野 おおまかに鉛筆でスケッチした後、ここまで緻密に作品を仕上げるのが驚きですよね。ロゴやテキストの文字も自ら手がけています。

あのショッキング・不条理絵本の原画も

《ギャシュリークラムのちびっ子たち》1963年 挿絵・原画 ペン・インク・紙 エドワード・ゴーリー公益信託 ©2010 The Edward Gorey Charitable Trust

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