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吉澤嘉代子、さまざまな主人公を演じながら鏡=自分と対峙した「女優ツアー」最終公演

ナタリー

19/3/18(月) 23:35

吉澤嘉代子(撮影:鳥居洋介)

吉澤嘉代子が昨日3月17日に東京・昭和女子大学人見記念講堂で全国ツアー「女優ツアー2019」の最終公演を行った。

「女優ツアー2019」は、吉澤が昨年11月にリリースしたニューアルバム「女優姉妹」を携え、バンドメンバーのゴンドウトモヒコ(Bandmaster, Horns, Sequence)、伊澤一葉(Key)、弓木英梨乃(G)、伊賀航(B)、伊藤大地(Dr)と共に行ってきたもの。吉澤はアルバムのテーマにちなんで芝居を交えながらライブを進行し、ストーリーテラーとしての魅力を存分に発揮した。

開演時刻を迎えると、ステージ背後に設置された鏡が怪しく光り、「もしも誰かになれるなら、あなたなら誰になる? もしも誰かになれるなら、私なら……鏡に向かって願ってごらん。あなたのなりたい主人公を」と不気味な声が響く。そこに吉澤は赤いドレス姿で登場。「鏡」でライブの幕を開けると、妖艶な歌声で観客を一気に引き込んだ。歌唱後、吉澤はやおら1人芝居を始め、「私じゃない別の誰かに生まれたかった」とつぶやく。すると鏡がキラリと光り、「私は魔法の鏡。お前、自分じゃない誰かになりたいのかい?」と彼女に問う。吉澤はドッキリか何かだと疑いながらも、鏡が彼女の元を去ろうとする素振りを見せると「本物かどうか確かめてあげる。私を物語の主人公にして」と求めた。「お望み通りに」と鏡に願いを叶えてもらった吉澤は、異国の町娘のストーリー「怪盗メタモルフォーゼ」でライブを再開。居候に恋する少女が主人公の「屋根裏」で歪んだエレキギターの音色を響かせたのち、子供たちの家出を物語る「えらばれし子供たちの密話」、OLを宇宙戦士として描く「月曜日戦争」を歌った。

物語の主人公を演じて上機嫌な吉澤に、鏡は “誰かになるたびに心が吸い取られていく”という変身の条件を明かす。そんな取り引きは即刻やめると怒る吉澤だったが、「でも私、恋がしてみたいの。それはもうキスだけで生まれ変わっちゃうような。だからもう1回だけお願い。私を恋する主人公に変えて」と願い、ここからラブソングを立て続けに披露していく。モータウンビートの「キスはあせらず」を軽快に歌った吉澤は「アボカド」では伊澤、「洋梨」では弓木とデュエット。微笑ましいやり取りを繰り広げて観客を和ませる。そして伊澤の奏でる鍵盤の音色に乗せて「よるの向日葵」を優しく歌うと、続けて「残ってる」を披露。切なくも伸びやかな歌声で場内を包み込んだ。

「あなたのキスで 世界が変わるような気がしていたけれど どこまでだって わたしはこうしてひとりだった」と歌う「真珠」を披露したあと、ため息をついた吉澤は「思ってた恋と違う」と嘆き、「私、やっぱり美しくなりたい」と願う。鏡の魔法で再び変身した吉澤は、曲調の異なるナンバーを目まぐるしく披露。亭主の首を抱えて逃亡する夫人を描いた「地獄タクシー」では伊澤が渋い声でタクシー運転手役を演じた。さまざまな主人公を演じる吉澤に、鏡は「次はどんな主人公になりたい?」と問いかける。しかし吉澤は「誰かになるのはもういい。恋をしても、美しくなっても幸せになれるわけじゃない」と悟り、鏡を拒絶。「私がなりたいのは私自身。これからは私が主人公の世界を生きたいの!」と宣言し、鏡の正体が彼女自身であることを見破ると、鏡は悲鳴を上げて砕け散った。自分自身の世界を生きていくことを決心した吉澤は、アルバムリード曲「女優」を儚げに歌ったのち、紙吹雪舞う中「最終回」を力強く歌い上げた。

アンコールに応じて再びステージに登場した吉澤は、本公演では最新アルバム収録曲に頻出する「鏡」という言葉に着目し、 “自分との対峙”をテーマに掲げたことを明かすと、メジャーデビュー作「変身少女」の中から歌詞に「鏡」という単語が含まれる「美少女」を披露。続いて吉澤は彼女のグッズやCDジャケットのデザインを手がけ、「洋梨」にボーカルとして参加しているイラストレーターのたなかみさきを招き入れると、同曲を再びデュエットし、コミカルなかけ合いで観客を楽しませた。親友に向けて書いた「雪」を披露したあと、バンドメンバーを1人ずつ送り出した吉澤は「歌には魔法みたいな力があるけど、ずっと続くわけではなくて、消えちゃったり、忘れちゃったりするんですよね。そういうときにすごく無力だと思う。聴いてくれた人の体をずっと守れたらいいのに」「皆さんが明日から生きていくためのお土産として歌います」と告げると、最後はアコースティックギターの弾き語りで「ミューズ」をドラマチックに歌い、観客を圧倒。すべての演目を終えた吉澤は観客に手を振り、投げキッスしながらステージをあとにした。

また吉澤はこの日、彼女の地元である埼玉県川口市のホール会場・川口総合文化センターリリア メインホールで11月30日にライブイベント「デビュー5周年記念 スペシャルコンサート(仮)」を開催することを発表した。彼女のファンクラブ「ほうきの会」では、3月26日23:59まで有料会員を対象としたチケットの先行予約を受付中。また秋にはライブツアー「お茶会ツアー2019」の開催も決定しており、こちらの詳細は後日発表される。

吉澤嘉代子「女優ツアー2019」
2019年3月17日 昭和女子大学人見記念講堂 セットリスト

01. 鏡
02. 怪盗メタモルフォーゼ
03. 屋根裏
04. えらばれし子供たちの密話
05. 月曜日戦争
06. キスはあせらず
07. アボカド feat. 伊澤一葉
08. 洋梨
09. 恥ずかしい
10. よるの向日葵
11. 残ってる
12. 真珠
13. 必殺サイボーグ
14. シーラカンス通り
15. ちょっとちょうだい
16. 地獄タクシー
17. 女優
18. 最終回
<アンコール>
19. 美少女
20. 洋梨
21. 雪
22. ミューズ

吉澤嘉代子 デビュー5周年記念 スペシャルコンサート(仮)

2019年11月30日(土)埼玉県 川口総合文化センターリリア メインホール

※記事初出時、セットリストに誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

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