家族を想うとき
19/12/10(火)
『家族を想うとき』 (C)Sixteen SWMY Limited, Why Not Productions, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinema and The British Film Institute 2019/photo: Joss Barratt, Sixteen Films 2019
ケン・ローチ監督は怒っている。
朝から晩まで働きづめの父と母。優等生になる娘と、非行に傾く息子。貧困と疲労が家族のコミュニケーションを奪い去り、一家はどんどん擦り切れてゆく。
ケン・ローチ監督の新作は、資本主義に搾取される一家の物語で、やはりイギリスの労働者階級のリアルを容赦なく抉る。
「彼らをどうか救って欲しい。」観客はただその一心で観進める。みんなこんなに頑張っているのに。でもこれはスクリーンの向こうの話ではなく、外国の話でもない。格差社会に疲弊するこの国の、あの人の、あるいは私の物語でもある。
日々の暮らしはこれからも続くのだ。「この理不尽に怒れ、戦え」と、監督の断固たる意志を感じるラストが訴える。
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