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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

《どこへ向かって》2017/2019年

片桐仁の アートっかかり!

日本人離れしたスケール感に 打ちのめされた『塩田千春展:魂がふるえる』

毎月連載

第11回

19/7/10(水)

六本木・森美術館にて開催中の『塩田千春展:魂がふるえる』。ベルリンを拠点にグローバルな活躍をするアーティスト、塩田千春の個展を、森美術館副館長兼チーフ・キュレーターである片岡真実さんに解説いただきながら、片桐さんが体感してきました!

触ると壊れそうな何か

《手の中に》2017年

片岡 今回の展覧会は、この《手の中に》という作品から始まります。塩田さんの実娘の両手を型どったもので、触ると壊れそうな、なんだかわからないけど儚いものを両手が支えています。

片桐 下の方に鍵が入っているんですね。

片岡 「鍵」というモチーフは、その形自体が人の形を連想させたり、人とのつながりを象徴するものとして、塩田さんの作品に度々登場するものです。2015年の第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館代表として発表した《掌の鍵》という作品では、大量の鍵を天井から赤い糸で吊るしていて、世界中の人とのつながりを表現していました。

片桐 人とのつながりとか、大事な何かを守っている・・・ものすごく繊細な雰囲気の作品ですね。

体験しないと分からない! 没入型インスタレーション

《不確かな旅》2016/2019年

片桐 うわ! きた! すごい! ・・でもなんだかこれ、血みたいで怖いですね。塩田さんの言葉で「糸はもつれ、絡まり、切れ、解ける。それは、まるで人間関係を表すように、私の心をいつも映し出す」とあります。

片岡 「糸」は塩田さんを象徴する素材。これが活動の基本です。この作品では赤い糸なので、血液、毛細血管をイメージしますよね。

片桐 この舟はフレームだけなんですね。

片岡 「舟」も塩田さんの作品に頻繁に登場するモチーフ。ヴェネチア・ビエンナーレでの発表時は本物の古い船を使用しましたが、翌年にフレームだけの船になり、よりシンボリックになりました。大海に小舟がゆらゆらと漂うような不安感を表現していて、自分の人生や、世界全体がはらんでいる不安が赤い糸でつながれています。

片桐 不安定なのに繋がっているという・・・不思議な感じがしますね。
これは何人ぐらいで作るんですか?

片岡 だいたい10人で10日間かかりました。インストラクションはないのですが、最初に天井から縦糸を下ろして、そこに横糸を絡めていきます。ちなみに、この糸は280キロメートル使っています。

片桐 ものすごい量ですね!

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