Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

堀田真由、望月歩、佐久本宝、森七菜 『エール』の要所を担っていた『3年A組』俳優たち

リアルサウンド

20/7/15(水) 6:00

 連続テレビ小説『エール』(NHK総合)の再放送は、第3週「いばらの道」に突入。昨日、7月14日の第14話にて、裕一(窪田正孝)が川俣のダンスホールで踊り子の志津(堀田真由)と出会ったと言えば、ピンとくる視聴者も多いことだろう。

 この堀田真由の登場を持って話題になっていたのが、2019年放送のドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)に出演していた生徒たちが集結していることである。裕一が住み込みで働くこととなる川俣銀行の2年目・松坂役の望月歩、裕一の弟で喜多一の店主として実家を継ぐこととなる浩二役の佐久本宝、音(二階堂ふみ)の妹であり、丸眼鏡がトレードマークで小説家を目指す梅役の森七菜と、4人の俳優が揃い踏みとなっている。本稿では、彼らが『エール』においてどのような役柄であったか、そして第3週以降どのような活躍をしていくのか振り返っていきたい。

参考:森七菜、『エール』でさらなるブレイク? 吉岡里帆、松本穂香の「朝ドラ」丸メガネ枠を継ぐ

●堀田真由(志津役)

 まずは、今の再放送において最も旬な堀田から。志津は川俣のダンスホールにおける一番人気の踊り子。そこに社会勉強として上司の鈴木(松尾諭)と一緒に訪れた裕一は、すっかり志津の虜となる。結末を明かしてしまえば、志津は幼少期の頃、裕一をいじめていたとみ(白鳥玉季)で、ぬけぬけと目の前に現れた“お坊ちゃま”をこけにするため、一番人気の志津自ら裕一をダンスに誘ったというわけだ。

 2周目では、そういった志津の魂胆を知った上で観ることができる。思いに気づきながらも視線を送り、さらに裕一を魅了していく食事のシーンは、志津の悪女としての片鱗が見える。その化けの皮が剥がれるのは、裕一が交際を申し込んでからだ。「アハハハハ!」と高笑いする志津は、裕一をガンつけながら、恨みつらみを並び立てる。「じゃあね、お坊っちゃま。大人になるのよ。フフッ」という決め台詞とともに、裕一は初めての失恋を経験することに。以降、志津の登場はないが、前半パートに出てきた人物が最終回近くで再び姿を見せるのは朝ドラでは定番。印象深い役だけに、彼女の再登場を期待したいものだ。

●望月歩(松坂寛太役)

 裕一の「恋で彼を元気づけよう作戦」に一役買っていたのが松坂。未来の頭取として銀行にやってきた裕一に対して露骨に媚びを売るが、人気の芸者「栄龍」の話題では声を荒げるといったどこか憎めないキャラである。川俣銀行の人々と言えば、気の合った抜群のチームワークが『エール』においても飛び切りに明るさを生んだパート。ベテラン俳優陣に混じって、一人ユニークな掛け合いに挑んでいるのが望月だ。

 彼が再び登場するのは、「船頭可愛いや」を大ヒットさせた裕一が福島に凱旋する第11週「家族のうた」でのこと。三郎(唐沢寿明)の乾杯の挨拶に、松坂は両手でおちょこを持ちとくとくと酒を飲む。酒の席で、上司の落合(相島一之)と鈴木が上着を脱いでいるのに対し、ジャケットを着たまま正座でじっと上司らの話を聞く松坂の様子からは、人手に渡った銀行から信用組合に職を移しても何ら変わらない彼らの関係性を伝えている。

●佐久本宝(古山浩二役)

 第11週における、裏の主人公とも言えるのが浩二だ。先述した第14話にて、裕一がいなくなり肩を落とした三郎を見て、「僕が行ってたらたぶん、あそこまではなんねえだろうな」と嫌味を残していくが、この気持ちが徐々に膨れ上がり、やがて爆発するのが裕一が東京行きを決め家を出て行こうとする場面だ。

 家族の思いも知らず、自身の感情の赴くままに突き進んでいく身勝手な裕一に「周りの愛を当たり前だと思うなよ!」「これまでずっと我慢してきたけど、俺、兄さんが嫌いだ」と浩二は積年の恨みをぶちまける。それは劣等感、焦燥感が生んだ愛憎の念。何度観ても息を呑む、緊迫したこの場面は、『エール』切っての名シーンに数えられるだろう。

 そして、第11週ではそんな裕一と浩二の蟠りが三郎の遺言によってゆっくりと解けていく。東京へと帰る裕一らを気恥ずかしそうに見送る浩二。しんしんと降り出す雪に、かつてのスノードームを思い出したのか、浩二は裕一に向け「俺、りんごやんだ。うまいの出来たら送るよ」と新たな一歩を踏み出すこと、これから家族としての付き合いをしていくことを伝える。これから夫に先立たれた妻・まさ(菊池桃子)を支えるのは、浩二の役目。つらく重苦しい場面が多かった彼に、後半パートではささやかな幸せが降り注ぐことを願うばかりだ。

●森七菜(関内音役)

 再放送では来週の第4週「君はるか」で初登場となるのが、梅を演じる森七菜。音の子供時代を任された清水香帆と二階堂ふみが瓜二つと話題に上がったが、梅の幼少期の新津ちせと森七菜も本当の姉妹のようにそっくりだ(公式サイトのインタビューで森が新海誠とのエピソードを交え触れているほど)。

 文学好きで現実主義者な梅は、長女の吟(松井玲奈)と音とは違った、達観した視点を持ち合わせている。ズバッとものを言う、末っ子だ。梅は亡くなった父・安隆(光石研)に捧げる詩を、演奏会で披露するからと音に頼まれる。未来のお義兄さん・裕一からのアドバイスもあり、梅は初めて作品を最後まで書ききることに成功。演奏会当日、ステージにいる裕一から紹介された梅はニンマリと達成感に浸る。

 安隆が現世に帰ってくる第12週では、白装束の亡き父の姿にも一切動じない梅。「幽霊なんて文学じゃありふれてるよ」と冷静だ。小説家を目指す上で壁にぶちあたっている梅は「負けを受け入れるから人は成長したり違うことに挑戦できるんだ」という安隆の言葉を胸に、「これからはまっすぐ生きてみる。自分とか小説まっすぐ表現してみる」と笑顔で父に抱きつく。

 本放送再開後の第14週は梅がメイン。第13週のラストに出てきた田ノ上五郎(岡部大)との恋路にも注目だ。

 『エール』は現在、異例の再放送期間を迎えているが、必ず本放送再開の時はやってくる。期待されるのは折り返し以後の、後半パートのキャスト。ここまで紹介してきた以外のさらなる『3年A組』出演者陣が発表されるかもしれない。注目が集まるのは、朝ドラ恒例とも言える音の娘・華の成長した姿を誰が演じるのかということ。そんな重要な役柄の発表も楽しみにしながら、本放送の再開を心待ちにしている。(渡辺彰浩)

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む