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来日直前のザ・ケミスツが日本で高い評価を受ける理由 サウンド&ライブの魅力を徹底検証

リアルサウンド

16/3/31(木) 16:00

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 2月末にリリースされたTHE QEMISTS(ザ・ケミスツ)の3rdアルバム『WARRIOR SOUND』が、ここ日本でも好セールスを記録している。前作にあたる2ndアルバム『SPIRIT IN THE SYSTEM』が発表されたのは2010年夏のこと。以前には所属レーベル<NINJA TUNE>のショーケースイベントと『SUMMER SONIC 09’』で立て続けに来日。その後、2010年秋に再び<Ninja Tune>のイベントへ出演、2011年にはAsian Dub Foundationの来日ツアーにスペシャル・ゲストとして登場、そして2014年に『FUJI ROCK FESTIVAL ’14』出演と、何度も日本の地を踏んでいるが、アルバムとしては6年ものブランクが生じている。にもかかわらず、彼らの新作がここ日本で高く評価されているのはなぜなのだろうか。

 THE QEMISTSはこの6年の間に、大きな変革期を迎えている。リアム・ブラック(G)、ダン・アーノルド(B)、リオン・ハリス(Dr)の3人で結成されたTHE QEMISTSは1stアルバム『JOIN THE Q』、続く2ndアルバム『SPIRIT IN THE SYSTEM』で曲ごとにさまざまなフィーチャリングボーカルを迎え、デジタルサウンドを軸にしたダンスロックを鳴らし続けてきた。しかし、ここ数年の間にオリバー・シモンズ(Vo)、ブルーノ・バランタ(MC)という専任ボーカリストが加わったことがアルバム制作に大きな影響を及ぼした。メンバーのレオンは「オリ(オリバー)は素晴らしい曲を書く。もちろんシンガーとしてもパフォーマーとしても素晴らしい。世界観をしっかりと意識している。彼の世界観が俺たちが作っていた、いわゆるアグレッシブな音楽とマッチしたのだと思う。立ち向かって自分の意見を言うという概念が共通していた。オリからはそのような影響を受けた。ブルーノとは長年一緒に音楽をやってきた。そこにオリが加わったとき、俺たちはバンドなんだ、という感じがした。友達グループで一緒に世界を冒険し、クールなものを見つけ、クールなパーティに行く。俺たちのステージをファンが見てもそういう仲間同士の雰囲気が伝わると思ったから、その感覚を維持したかった」と、新作制作についてコメントを寄せている。

The Qemists – No More (Music Video)

 『WARRIOR SOUND』と題されたこのアルバムはエレクトロミュージックやダンスロックの要素は残しつつ、過去2作にも散りばめられていたヘヴィロックの色合いが急増。それにより全体的な統一感は今まで以上となったが、それは専任ボーカリストのオリバーが加わったことも一因だろう。それに加えギターの比重も高まり、これまでダンスミュージック/クラブミュージック愛好家から親しまれていたTHE QEMISTSがラウドロックファンからも注目される結果となった。これが今回の高評価につながったのではないかと、個人的に感じている。

 ラウドロックといえば、本作には日本からCrossfaithのフロントマン、Kenta Koieがアルバム4曲目「Anger」にフィーチャリングボーカルとしてゲスト参加している。1stアルバムではFAITH NO MOREのマイク・パットン、2ndアルバムではENTER SHIKARIとヘヴィロック界隈のアーティストが参加していたが、エレクトロなテイストはあるもののヘヴィなサウンドが信条のCrossfaithのシンガーが参加となればまた話が変わってくる。「Crossfaithは俺たちもフォローしているバンドで、ライブも観たことがある。俺たちは日本に行ってライブしたこともあるし、日本が大好きだ。Kenta Koieはエネルギッシュでヘヴィなボーカリストで、今まで仕事をしてきたアーティストたちとは違うサウンドを持っている人だから、彼とは是非一緒に音楽をやりたいと思っていた」(ダン)、「アルバムの中ではKentaをフィーチャーした曲が一番アグレッシブだと思う」(レオン)、「メタルのボーカリストと一緒に仕事をしたのはあれが初めてだった。あれは面白かった。とにかく怒りについて歌っている曲なんだ」(ダン)というメンバーの言葉を聞けば、サウンドの進化にあわせてKenta Koieとコラボしたことも必然だったと言える。

The Qemists – Anger feat. Kenta Koie of Crossfaith (Official Lyric Video)

 専任シンガーが加わったことは、アルバムで歌われる楽曲のテーマにも影響を与えた。この件についてダンは「オリと一緒に作曲をし始めてから歌詞の内容は変わってきたと思う。アルバムに一貫したテーマが出来上がり、ゲストボーカリストが考えていることについての曲ではなく、俺たちにとって大事なことについての曲を書くようになった。それは、自分たちの活動や信条だ。そして、自分たちの信条のために立ち向かい、『戦う』というのはきつい表現だが、ポジティブな形で反抗するんだ」、リオンは「ボーカリストが俺たちの作ったビートを聴いたら、奴らは俺たちが音楽で伝えたいことを理解してくれる。そして、それを歌詞にしてくれる。その歌詞を俺たちが聴くと、『そう! それが言いたかった!』と共感する。スタジオではそういう魔法のような瞬間がある。メンバー全員が曲の感情を理解している瞬間だ」とそれぞれ語る。そしてダンは「ブルーノも今回自分の殻から抜け出し、今まで以上に自分を自由に表現するようになった。彼とオリはたくさんのことで意見が合っていたから。現在世界ではさまざまな、おかしなことが起こっている。具体的なことを言い始めたら1日中かかるからここでは言わないけれど、毎日のように俺たちを悩ませ、振り回すような出来事が起こっている。アルバムではそういうような内容に触れている。具体例を聞きたかったらアルバムを60分間、聴いてくれ」と続け、サウンドのみならず歌詞も本作の重要なポイントであることを説明している。

 まだこのアルバムに触れていない人がいたら、まずは何も考えずに大音量で本作のサウンドを浴びてほしい。自然と体が動き始め、踊らずには、そして暴れずにはいられないはずだから。続いて、アルバム日本盤に付属の歌詞および対訳に目を通してから再度爆音で聴く。そうすることで『WARRIOR SOUND』と題されたこのアルバムの真意が伝わってくるはずだ。

The Qemists – Run You (Official Music Video)

 またTHE QEMISTSの魅力のひとつには、ライブパフォーマンスの激しさも挙げられる。1stアルバムリリース後に実施された初来日公演(<NINJA TUNE>のショーケースイベント)と『SUMMER SONIC 09』でのパフォーマンスにノックアウトされたというリスナーも多いことだろう。バンドサウンドを導入したアグレッシブなダンスサウンドは、生で体感したら一発でハマること間違いなし。事実、私も2014年のフジロック、WHITE STAGEでのパフォーマンスにたまたま居合わせ、気づけばグイグイと引き込まれて最後まで観てしまった1人だ。特に近年はKORNなどのラウド系バンドとツアーを回っていたこともあり、新作でも聴けるギターのエッジが効いたラウドなサウンドに磨きがかかっている。そんな強烈なライブは、ダンスミュージックのリスナーのみならず、ヘヴィなサウンドを愛好するリスナーにも響くことは間違いない。

 この強烈なアルバムを携えて、THE QEMISTSは4月に初の日本単独公演を実施する。東京は7日にLIQUIDROOM、大阪は8日にFANJ TWICEで実施されるライブには、Radical Hardcore Clique(東京のみ)、Xmas Eilee(大阪のみ)という強力なサポートアクトも参加。新作リリース直後に彼らのライブをライブハウス規模で体感できる今回、ダンスミュージックファン、ラウドロックファンが一堂に会するであろうこの貴重な機会を、ぜひ見逃さないでほしい。

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

■来日情報
『激ロック PRESENTS THE QEMISTS JAPAN TOUR 2016』

○東京公演
2016年4月7日(木)
恵比寿 LIQUIDROOM
OPEN / START 18:00
前売: 6,000円(1ドリンク代別途)
GUEST: Radical Hardcore Clique
DJ: ムラオカ、TETU★KID
INFO: BEATINK 03-5768-1277
後援: SHIBUYA TELEVISION

○大阪公演
2016年4月8日(金)
アメリカ村 FANJ TWICE
OPEN / START 18:00
前売: 6,000円(1ドリンク代別途)
GUEST: Xmas Eileen
DJ: ムラオカ、TETU★KID
INFO: SMASH WEST 06-6535-5569

詳細はこちら

○前売りチケット
[東京公演]
BEATINK
e+ (イープラス)
チケットぴあ (P:284-752)
ローソン (L:79600)
TOWER RECORDS 新宿店
HMV record shop 渋谷
LIQUIDROOM

[大阪公演]
e+ (イープラス)
チケットぴあ (P:284-999)
ローソン (L:55856)
TOWER RECORDS 梅田マルビル店
TOWER RECORDS NU 茶屋町店

■リリース情報
『Warrior Sound』
発売:2月26日 (金)
価格:¥2,200 (+Tax)

<収録内容>
1.Our World
2.Jungle
3.Run You
4.Anger feat. Kenta Koie from Crossfaith
5.New Design
6.No More
7.Push The Line
8.We Are The Problem
9.Let It Burn
10.Warrior Sound
11.No Respect
12.Requiem
13.Lick The Lid (Bonus Track for Japan)

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