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高畑充希らの前向きさにほっとする 『にじいろカルテ』がコロナ禍に与えるささやかな希望

リアルサウンド

21/1/22(金) 6:00

 高畑充希とシェアハウスの組み合わせと聞くと、一昨年に主演を務めたTBS系ドラマ『メゾン・ド・ポリス』を思い出してしまうのだが、新たにスタートしたテレビ朝日系列ドラマ『にじいろカルテ』での高畑は、自らの病に向き合いながら村人たちと心を通わせていく内科医として、シェアハウスをする側にまわる。1月21日に放送された第1話のファーストインプレッションとしては、辺鄙な村のロケーションとキャラが(かなり)濃い村人たちという、この物語に必要な“個性”がうまく際立たせられた、導入として最も望ましいかたちのエピソードであった。

 理想を持って大病院で救命救急医として働いていた紅野真空(高畑充希)は、ある日突然難病である多発性筋炎を患い休職を余儀なくされる。それでも仕事を続けたいと思った彼女は、ひょんなことから知った山奥の小さな村・虹ノ村で、村唯一の内科医として働き始めることに。バスに乗って村にたどり着いた彼女をまず待っていたのは、個性的な村人たちからの熱烈な歓迎と、診療所で共同生活を送ることになる農家兼外科医の浅黄朔(井浦新)と看護師の蒼山太陽(北村匠海)だった。

 テレビ朝日系列の木曜21時枠で放送される“医療”を題材にしたドラマといえば、もちろん真っ先に思い浮かぶのは『ドクターX 〜外科医・大門未知子〜』であろう。しかし同じ枠で、同じ医療ドラマといえど、その毛色はまるで異なる。少なくとも、いまなお続くコロナ禍において、テレビドラマの代表的なジャンルである医療ドラマは、これまでのようにはいかない状況にあることは言うまでもない。病院でのロケ撮影ができない状況のために、いわゆる大病院ものには制約が生じ、また物語上でもコロナなどの感染症への言及は避けては通れないからだ。

 そうした時節柄もあってか、例えば前クールの『#リモラブ ~普通の恋は邪道~』(日本テレビ系)のように産業医を題材としてみたり、本作のように無医村を舞台にしたヒューマンドラマに強く寄せてみたりというのが現時点での最も賢明な医療ドラマのあり方といえよう。とはいえ、前クールに本作と同じ岡田惠和が脚本を手掛けた『姉ちゃんの恋人』(カンテレ・フジテレビ系)では“アフターコロナ”の生き方への希望的憶測とともに、随所にコロナの存在をにおわす描写がちりばめられていた。それだけに、このドラマでも何かしらのかたちで言及がされることもないとは言い切れない。例えそうだとしても、“医療ドラマ”としてではなく、あくまでも“ヒューマンドラマ”としてのアプローチが強くなるのではないだろうか。

 いずれにせよ第1話から、大雨による停電とそのなかで医療の助けを求める村人の対応に追われる姿が描かれたことで、どのような場所であっても変わらない、医療の必要性と重要性がしっかりと描写されていた。「雨が降らないと虹は見れない」。主人公の真空をはじめ、登場人物の多くが“何か”を抱えていることが窺えながら、皆が努めて明るく生きようとしているのがわかる前向きさ。「ほっとする」という言葉がなんともよく似合うこのドラマは、長い長い苦境に直面している多くの人々にささやかな希望を与えてくれるドラマになるのではないだろうか。

■久保田和馬
1989年生まれ。映画ライター/評論・研究。好きな映画監督はアラン・レネ、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
『にじいろカルテ』
テレビ朝日系にて、毎週木曜21:00〜21:54放送
出演:高畑充希、井浦新、北村匠海、安達祐実、眞島秀和、光石研、西田尚美、泉谷しげる、水野美紀、モト冬樹、半海一晃、池田良、水野久美
脚本:岡田惠和
演出:深川栄洋
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサ:貴島彩理(テレビ朝日)、松野千鶴子(アズバーズ)、岡美鶴(アズバーズ)
制作:テレビ朝日、アズバーズ
(c)テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/nijiiro/

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