Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

今牧輝琉を筆頭に舞台『新テニスの王子様』で輝く若手俳優たち テニミュの歴史を感じる演出も

リアルサウンド

20/12/20(日) 8:00

 12月12日、ミュージカル『新テニスの王子様』The First Stageが東京・日本青年館ホールにて開幕した。

 本公演は、許斐剛による漫画『テニスの王子様』の続編『新テニスの王子様』を実写化した舞台。前者は通称“テニミュ”として、1stシーズンが2003年から2010年、2ndシーズンが2011年から2014年、3rdシーズンが2015年から今年11月まで約17年間にわたって上演されてきたが、『新テニスの王子様』がミュージカル化されるのは今回が初となる。

 初日公演から1週間が経ち、すでに“新テニミュ”として話題沸騰中の本公演。物語は青学テニス部が優勝を果たした全国大会の後、中学生たちが高校日本代表候補・U17(アンダーセブンティーン)の合宿に招待されるところから始まる。そこに待っていたのは、圧倒的な実力を持つ高校生たちと一筋縄ではいかない個性的なコーチ陣だった。

 会場が暗転すると、聞こえてきたのはテニミュお馴染みの打球音。ファンにとって一番高揚感を得られる瞬間だが、今回はよく耳を澄ますと普通の打球音の中に必殺技が放たれた音が聞こえる。このちょっとした変化が、新たな時代の幕開けを予感させた。

 全国大会の3日後に姿を消し、渡米した主人公・越前リョーマも招待を受けて帰国。原作の第1巻で描かれるリョーマの登場シーンも、プロジェクションマッピングなどを駆使して再現された。演じるのは、今牧輝琉。彼は幼少期からダンスを習い、劇団四季出身の藤川和彦が立ち上げたミュージカルスクールの生徒だったこともあり、動きがとてもしなやかだ。一方でまだ中学生という設定に違和感のないあどけなさも残り、生意気そうに笑う表情が原作のリョーマとよく似ている。カーテンコール後の挨拶も一生懸命で、今後もリョーマと共に成長していく彼を観客も応援したいと思ったのではないだろうか。

 そんな今牧のほか、中学生組には手塚国光役の山田健登や、切原赤也役の前田隆太朗など、フレッシュな顔ぶれが並んだ。かつてはライバルだった他校の生徒同士が絆を深め、プロ並みに強い高校生や無理難題を課してくるコーチたちに立ち向かっていく姿が心を震わせる。一つひとつの試合も見応えがあり、再現不可能とされていた赤也の「天使化」や氷帝学園・跡部景吾の「跡部王国」なども照明や映像を使った巧みな演出で原作通りに展開していく。

 特に注目すべきは、青学の部長・手塚vs大和祐大、氷帝学園の跡部景吾vs入江奏多の試合。大和を演じる松島勇之介、東京公演・大阪公演で入江役を務める泰江和明はもちろん、手塚役の山田、跡部役の高橋怜也も圧倒的な歌唱力でチームメンバーを率いてきた部長としての説得力をもたせる。何よりもまっさらな状態の新曲をしっかりと自分のものとして披露する姿から、手塚・跡部のテニスを愛する心が伝わってきた。

 そんな2人のプライドを実力の差でへし折りながらも、その後の進むべき道を照らしてくれる松島と入江の包容力。「地獄の番人」として恐れられている鬼十次郎役の岡本悠紀や、合宿で脱落した生徒をスパルタ指導で鍛え上げる裏コーチ・三船入道役の岸祐二も初日とは思えない安定感で、中学生役のキャストたちを先導していく。とりわけ岸は帝国劇場の『レ・ミゼラブル』や『エリザベート』に出演経験があり、彼が歌う場面は2.5次元ミュージカルという枠を超えた重厚感で観客を圧倒させた。岸の出演がテニミュの歴史を大きく変えるといっても過言ではないだろう。

 また、1stシーズンで立海大附属の柳蓮二を演じ、高校生の徳川カズヤ役でふたたびテニミュの舞台に上がった小野健斗の成長ぶりも見逃せない。東京凱旋公演から入江役で出演する相葉裕樹も含め、これまでテニミュは若手俳優の登竜門として300名以上のキャストを輩出してきた。多くの卒業生たちはそれぞれのステージで活躍しているが、コロナ禍ではOBキャストによるコメント映像が発表されたり、1stで跡部を演じた加藤和樹が「#テニミュよ集え」というハッシュタグとともにメッセージを発信し、歴代のキャストがSNS上で集結したりと、出演者同士の絆は深い。小野の出演によって、改めてテニミュ17年の歴史の重みを感じられるはずだ。

 最後は高校生組と中学生組が分かれ、それぞれの楽曲を披露。高校生たちの楽曲には中学生の前に大きな壁として立ちはだかり、簡単には越えさせまいとする気概が感じられ、一転して中学生たちの楽曲は爽やかで、彼らがこれから試練を潜り抜けていく希望に溢れている。それがこれまでとこれからのテニミュを表現しているようで、私たちは時代の変革期に立ち合っているのだと思わされた。

 もちろん公演はまだ始まったばかりなので、伸び代のあるキャストはいる。だが、それもテニミュの醍醐味。試合を重ねるたびに強くなっていくキャラクターと共に、キャストたちは公演の度に成長していく。地方公演を経て自信をつけた彼らが、東京凱旋で逞しい表情を見せてくれるのがファンにとっては一つの楽しみだ。だからこそ、一人も欠けることなく千秋楽まで駆け抜けてほしい。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■公演情報
ミュージカル『新テニスの王子様』The First Stage
出演:
越前リョーマ役:今牧輝琉
手塚国光役:山田健登
桃城武役:寶珠山駿
橘桔平役:GAKU
跡部景吾役:高橋怜也
切原赤也役:前田隆太朗
白石蔵ノ介役:武本悠佑
千歳千里役:松島博毅
遠山金太郎役:平松來馬
リリアデント蔵兎座役:新谷デイビッド
徳川カズヤ役:小野健斗
鬼十次郎役:岡本悠紀
入江奏多役(Wキャスト):相葉裕樹、泰江和明
中河内外道役:チャンヘ
大和祐大役:松島勇之介
都忍役:鈴木凌平
松平親彦役:田内季宇
鈴木惷役:高橋駿一
鷲尾一茶役:釣本南
黒部由起夫役:村上幸平
齋藤至役:和泉宗兵
三船入道役:岸祐二
テニミュボーイズ:飯島康平、小黒直樹、中西智也、福冨玄刀、古田伊吹、持田悠生、山野光、吉川康太

公演日程:
東京公演:2020年12月12日(土)~12月24日(木)日本青年館ホール
大阪公演:2020年12月29日(火)~2021年1月10日(日)メルパルクホール大阪
東京凱旋公演:2021年2月5日(金)~2月14日(日)日本青年館ホール

●配信情報
◆ライブ配信(タイムシフト付き)
販売期間:販売中~ライブ配信終了まで
タイムシフト期間:2020年12月12日(土)18:00公演終了後~2020年12月20日(日)23:59
販売価格:通常価格 3,700円(税込)/プレミアム会員割引価格 3,100円(税込)

◆アーカイブ配信(初日ライブ配信映像)
販売期間:2020年12月20日(日)12:00~2020年12月26日(土)23:59
視聴期間:購入から1週間
販売価格:通常価格 3,700円(税込)

◆アーカイブ配信(全景映像)
販売期間:2020年12月20日(日)12:00~2021年2月28日(日)23:59
視聴期間:購入から1週間
販売価格:通常価格 2,800円(税込)
※視聴方法詳細は、サービスサイトまで

●Blu-ray&DVD発売情報
発売日:2021年6月30日(水)
Blu-ray:9,800円(税別)/2枚組
DVD:8,800円(税別)/2枚組
収録内容:本編映像、全景映像(歌唱シーンのみ)、バックステージ映像 ※予定
発売元:マーベラス
販売元:アニメイト
(c)許斐 剛/集英社・新テニミュ製作委員会

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む