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LiLiCoのこの映画、埋もらせちゃダメ!

『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』は下ネタ満載の傑作!

月2回連載

第52回

20/9/11(金)

スマホを使ってこんなストーリーが作れるんだ!と驚かされます

みなさんご存じかと思いますが、ドジをしたばかりにケガをしてしまい、連載のアップデートがちょっと遅れてしまいました。ごめんなさい。気を取り直して、新作の紹介をしますね。まず1作品目は『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』。すでに公開中で、それほど公開規模が大きくない作品なので、見かけたら即チェックしてもらいたい作品です。

子供の頃からスマホに依存している男性フィルは、スマホをいじってばかりで恋人はおろか友達もいません。そんな彼がスマホを機種変更。すると、新しいスマホには、ジェクシーという機能がプリインストールされていました。

このジェクシー、全ての個人情報を網羅していて、持ち主の生活をコーチングするというはたらきがあります。これまで誰の言うことも聞いてこなかったフィルは、スマホの言うこと=ジェクシーの言うことには従うようになり、その一方的なコーチングによって彼の生活は一変します。しかも、まさかの恋人までできてしまうという奇跡。ところが、それによって、ジェクシーの態度も変わっていく……というブラックコメディです。

『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』

これは見落としてた!っていう作品。いや、なんでもっと早くに観なかったんだろう、と後悔してしまうほどよくできているんです。まず、皆さんも同じようにスマホが手放せない生活になっていると思うんですが、それだけに、フィルほどとはいわないまでも、スマホ依存になっていますよね。その身近なものを使って、こういうストーリーができるんだ、という発見があります。

『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』

そしてジェクシーがものすごく頭イイことにびっくり。フィルのおバカな発言には、きっちりもの申すジェクシーですが、なにもアドバイスしてほしくないようなシーンでは黙り込むんですよ。ずっとジェクシーがフィルの意志を邪魔し続けるわけじゃなく、なんでもかんでもコーチングしない、という賢い機能で、このアイデアにも驚かされました。

『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』

そしてなにより、下ネタ満載(笑)。いや、本当にすごいんです、下ネタが。下品だけどめちゃくちゃ笑えるのって、今だからこそ必要なんじゃないかって思うんですよね。いやー、見落としていた自分に反省。2020年、取りこぼしていた傑作のひとつになってしまいました。ぜひともお早めに。なんと84分、という短さも気軽ですので。

“音を作る”人々の絶え間ない努力を知る、今年一番のドキュメンタリー

そしてもう1作品は現在東京ほかでは公開中で、これから他の地方で公開される『ようこそ映画音響の世界へ』というドキュメンタリー。この連載では、優秀なドキュメンタリーを取り上げる機会が多いですが、これは私にとって今年一番のドキュメンタリーといってもいいほどの傑作です。

1927年に世界で初めて音がついた映画『ジャズシンガー』が誕生して以来、ずっと映画には人間のセリフ以外の音響を“作る”という作業がつきものです。映画の中にある音は、生で収録されたものではなく、ほとんど全てが作られているもの。音の情報による影響はとても大きく、たとえばちょっとした風のせせらぎや足音など、なくなるとただの画になってしまいますよね。それらを作っている音響クリエイターの仕事は、映画にとって必要不可欠であるとともに、どんな有名な監督、巨匠監督でもそのスタッフがいなければ映画が完成しないわけです。

『ようこそ映画音響の世界へ』

そんな音響効果の現場はもちろんのこと、ジョージ・ルーカスやスティーヴン・スピルバーグ、クリストファー・ノーランなどの巨匠たちが音響の仕事の大切さを解説するというドキュメンタリーです。

『ようこそ映画音響の世界へ』

映画を観ることって、冒険を共有することだと思うんですが、音響効果があってこそなんですよね。知ってはいたものの、あらためてその仕事の重要性に気づかされた作品です。しかも、小難しくなく、映画の歴史と進化を面白おかしく解説してくれるので、難しいものは苦手という人も安心。

具体的なところでいうと、VFXが多用されている作品やアニメーション作品は、そもそも音がついていないから、いちから全部作らないといけないんですね。その苦労たるや……。実写作品ですと、『スター・ウォーズ』シリーズが出てきてから、ド派手な音響効果が目立つようになりましたが、実は『スター・ウォーズ』にはさらに重要な音が。それはチューバッカやR2-D2の声です。あれも、さまざまな音を組み合わせて独自のものを作っているのは有名な話。それを、クリエイターのベン・バートが解説するんだから、もう興奮しかない。

『ようこそ映画音響の世界へ』

また、『ジュラシック・パーク』なんて、T-REXの足音ひとつとっても、音量、タイミングなど全て計算されたものだからこそ、あれだけの緊張感が生まれていることを、まざまざ見せつけられるんですよ。もうね、意外なことに私、泣いちゃったほどですよ!

『ようこそ映画音響の世界へ』

完成した映画を評価するのは誰にでもできる簡単なこと。好き嫌いだけで言えるんですから。でも、完成するまでの間には、こういった裏方の方々の絶え間ない努力があるということを、皆さんには知っておいてもらいたい、と思います。

※次回は9月25日(金)に更新予定です!

取材・文:よしひろまさみち/撮影:源賀津己
(C)2019 CBS Films Inc. All Rights Reserved.
(C)2019 Ain't Heard Nothin' Yet Corp.All Rights Reserved.

プロフィール

LiLiCo
1970年11月16日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。18歳で来日し、芸能界へ。01年からTBS『王様のブランチ』に映画コメンテーターとして出演するほか、女優、ナレーター、エッセイの執筆など幅広く活躍。

夫である純烈の小田井涼平との夫婦生活から、スウェーデンで挙げた結婚式の模様、式のために2カ月で9kgに成功したダイエット術、スウェーデン育ちならではのライフスタイルまで、LiLiCoのすべてを詰め込んだ最新著書『遅咲きも晩婚もHappyに変えて 北欧マインドの暮らし』が、2019年9月に講談社より発売された。

『遅咲きも晩婚もHappyに変えて 北欧マインドの暮らし』

講談社 1400円(税別)
発売中

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