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SHINee キー、ソロデビュー作『FACE』に感じるファンキーなフレイバー 歌詞とサウンドを分析

リアルサウンド

18/12/10(月) 8:00

 つい先ごろはSHINeeのテミンが日本での1stアルバムをリリースして話題をふりまいたばかりだが、同じくSHINeeからキーが、ソロデビュー作となるフルアルバム『FACE』を発表した。収録された10曲のうち4曲ではキー自身が作詞を手がけ、Crushやソユといったシンガーや、『高等ラッパー』出演で人気を博したVINXENを客演に迎えている。エレクトロニックなダンスサウンドを中心とした楽曲の端々に、ファンキーなフレイバーが感じられる作品となっている。

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 BPMで言えば100前後の少しゆったりとしたテンポの楽曲を中心に、エモーショナルなボーカルが印象的なフューチャーベース「Chemicals」やアルバムを締めくくるアップリフティングな「This Life」なども揃えた構成は、SHINee本体のアルバムが持つドラマティックな味わいや、テミンがソロ作で見せてきたような先鋭的なサウンドとも少し距離を置いているように思える。適度に落ち着いたトーンのなかで、じっくりと歌やそのメッセージに向き合う余裕をつくっていると言うべきだろうか。

 サウンドの面での派手さが抑えられているぶん歌詞に注意を向けてみると、聴き応えは増す。

 1曲目の「센척안해(One of Those Nights)」はシンガーのCrushをフィーチャーしたプログレッシブなハウストラックで、アコースティックギターをつまびくリフがヴァースを牽引していく一方で、歌詞の内容は孤独や自身の脆さをさらけ出すもの。身を切るようなラブソングや少し陰りのある雰囲気につつまれた楽曲が並ぶだけに、ファンを勇気づけるようなメッセージが並ぶ「Imagine」や、〈You only live once(人生は一度きり)〉と歌う「This Life」の力強さがさらに強調されている。とりわけ自身の作詞による終盤の4曲(「I Will Fight(Feat. VINXEN)」、「Easy To Love」、「미워 (The Duty of Love)」、「This Life」)に目を向けると、悩みや葛藤を抱えながらも前を向くことを忘れないパーソナリティが伺えるようだ。“弱さや脆さを誤解を恐れずに吐露する”というアティチュードはK-POPに限らず近年の男性シンガーやラッパーに浸透してきているが、一歩先へ進むポジティブさを一振りしているところに勇気づけられる。

 と、サウンドよりもメッセージやアティチュードに注目したレビューになりつつあるものの、サウンドが単調だ、というわけでは決してないことも言い添えておこう。たとえば「Good Good」でキーが披露している粘りのあるグルーヴィーなフロウやファルセットなど、ボーカリストとしての個性が発揮されているのも聴き逃がせない。エレクトロハウスのサウンドのなかに小気味よいカッティングギターやヴォコーダーのリフレインが取り入れられた「Imagine」や、モータウンサウンドを思わせる、シンプルながらソウルフルで味わい深いギターリフが印象的なスローな4つ打ち「미워 (The Duty of Love)」など、どこか人懐こくファンキーなアレンジも特徴のひとつ。クールでアーバンなR&B路線とも一線を画する、腰の入ったグルーヴに貫かれたファンクの感覚が、このアルバムのユニークさと言えるだろう。

 新たなグループも絶え間なく登場し、続々とソロデビューを飾っていくアイドルたち。この記事を執筆しているタイミングにも、SHINeeのオンユがミニアルバムをリリースし、本格的にソロデビューするほか、キーも日本のミュージシャンとの共演を多数含んだミニアルバムで日本デビューを果たすことが発表された。日夜めまぐるしく活躍を続ける彼・彼女らの足跡を逐一追っていくのはなかなか難しいかもしれないが、1つの作品にこめられたメッセージや個性のプレゼンテーションをじっくり辿っていくことで見えてくる世界もまた、味わい深い。(imdkm)

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