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東京を経て新潟・熊本へ、漱石と八雲と現在をつなぐ「能でよむ」

ナタリー

「みんなのシリーズ第六弾 能でよむ~漱石と八雲~」より。(撮影:飯野高拓)

「みんなのシリーズ第六弾 能でよむ~漱石と八雲~」が10月3日に東京・あうるすぽっとにて開催された。

これは「東京芸術祭2021」の1プログラム。あうるすぽっと近くの雑司ヶ谷霊園には、夏目漱石と小泉八雲の墓がある。2人の共通点の1つは“能”。本企画ではその“能”に注目し、語りの世界に迫った。取り上げられた作品は、漱石原作の「夢十夜」より「第一夜」と「吾輩は猫である」鼠の段、八雲原作の「破られた約束」。下掛宝生流ワキ方能楽師の安田登、浪曲師の玉川奈々福、琵琶奏者の塩高和之が出演し、木ノ下歌舞伎の木ノ下裕一が聞き手を務めた。

安田は東京公演について「前回は配信でしたが、今回は劇場でお客様の反応もいただき、とても楽しく舞台に立つことができました」と感想を述べ、「このあと、新潟と熊本でのツアー公演を予定しています。新潟、なかでも佐渡は、世阿弥が最後に流された地で、日本一能舞台が多い地域でもあり、能とは切っても切れない縁があります。佐渡を望む新潟りゅーとぴあでの公演は、そういう意味でも『能でよむ~漱石と八雲~』にぴったり。そして熊本は、個人的にご縁がありコロナ禍前は2か月に1回程のペースでお邪魔していました。漱石も八雲も滞在した地で、彼らの記憶が生きている場所です。このようなふたつの地で上演させていただけることに深く感謝し、そして心から楽しみにしております」と期待を語っている。

「みんなのシリーズ第六弾 能でよむ~漱石と八雲~」はこのあと、10月24日に新潟・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場、11月6日に熊本・熊本県立劇場 演劇ホールでも開催される。

安田登コメント

前回は配信でしたが、今回は劇場でお客様の反応もいただき、とても楽しく舞台に立つことができました。「夢十夜」の「第一夜」は、亡くなった女性が百合の花の精となって現れる物語で、夢幻能の構造そのものと言える作品です。さすが能の謡を学んでいた漱石ならではの物語です。もっとも能に近い作品であるがゆえに「夢十夜」の他の話と比べるとわかりにくいかもしれませんが、縹渺とした幽玄の美を感じていただきたいと思います。
“「吾輩は猫である」鼠の段”は、猫が鼠を捕る、という当たり前のことを大失敗してしまう猫の物語です。漱石の能の素養はその文体にも現れ、その作品を能の発声で朗読をしたり、能の型をつけたりすると、より楽しむことができます。手話付きで演じます。どうぞお楽しみください。
「破られた約束」は、八雲の曾孫である小泉凡さんに「八雲の作品のなかで最も怖いものは何ですか」とおたずねして上演を決めた作品です。この怖さは、いわゆる現在の怪談の怖さとは違って、あとからジワジワとくる人間の根源に関わっている怖さだと思います。「第一夜」とも呼応するようなお話なので、ともに味わっていただければ、世界の見方が変わってくるかもしれません。
今回、音楽は琵琶と三味線によって演奏されます。その音の特徴である“さわり”は、いわゆる純音とは異なり、人の無意識に働きかける音ですが、琵琶は冥界(幽霊界)、三味線は現世を表現している点にもご注目ください。
このあと、新潟と熊本でのツアー公演を予定しています。新潟、なかでも佐渡は、世阿弥が最後に流された地で、日本一能舞台が多い地域でもあり、能とは切っても切れない縁があります。佐渡を望む新潟りゅーとぴあでの公演は、そういう意味でも『能でよむ~漱石と八雲~』にぴったり。そして熊本は、個人的にご縁がありコロナ禍前は2か月に1回程のペースでお邪魔していました。漱石も八雲も滞在した地で、彼らの記憶が生きている場所です。このようなふたつの地で上演させていただけることに深く感謝し、そして心から楽しみにしております。

みんなのシリーズ第六弾 能でよむ~漱石と八雲~

2021年10月3日(日) ※公演終了
東京都 あうるすぽっと

2021年10月24日(日)
新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場

2021年11月6日(土)
熊本県 熊本県立劇場 演劇ホール

出演:安田登、玉川奈々福、塩高和之
聞き手:木ノ下裕一

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