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ままごと短編2本立て上演に向け、柴幸男「自分たちの現在形を見てもらえれば」

ナタリー

21/4/29(木) 13:30

「反復かつ連続」の稽古の様子。

オンステージシアターvol.2 ままごと2本立て公演「反復かつ連続」「あゆみ(短編)」が5月4日に三重で上演される。本番に向けて、ままごとの拠点・アトリエHUNCHでは連日、両作品の稽古が行われている。

4月下旬に稽古場を訪れると、「あゆみ(短編)」の稽古が行われていた。「あゆみ」は、あゆみとみきの2人が、歩き続けることで距離と時間を進めていく物語だ。俳優たちは入れ替わり立ち替わり舞台に現れて、あゆみ、またはみきを演じ、次の人へと役をバトンタッチしていく。画が連続するように、自然にシーンが流れるためには、俳優たち全員のタイミングがそろっていることが重要で、それにはアクティングエリアを正確に捉える必要がある。そこで俳優たちは、稽古場の床にロープを貼り、“舞台”を作った。

稽古は冒頭シーンからスタート。端田新菜、大石将弘、小山薫子が順番に舞台に登場し、あゆみとみきのやり取りを繰り広げる。誰か1人でもセリフを早く言い過ぎたり、動きが遅れたりすると全体の流れに淀みが出るため、3人は自分の前後を常に意識しつつ、しっかり者のあゆみとマイペースなみきを交互に演じながら物語を進めていった。また石倉来輝は、そんな3人とは少し違った存在として舞台に現れ、作品に緊張感を生み出す。作・演出を手がける柴幸男は、そんな俳優たちの様子を見守りつつ、俳優たちの意見を聞きながら全体の構成を練り上げていった。なお本公演では、「あゆみ(短編)」のほか、家族の朝の風景を描いた「反復かつ連続」も上演される。

稽古の合間に、柴に本公演について話を聞いた。「反復かつ連続」「あゆみ(短編)」はどちらも過去に上演されたことがある作品だが、今回の上演では「劇団員だけで作る、ということがやってみたかった」と柴は思いを語る。「『反復かつ連続』は昨年、配信劇にもしたのですが、今回は新たに上演劇として作り直しています。『あゆみ(短編)』はもともと三人芝居ですが、今回は四人でやってみようと思っていて。どちらもこれまでの演出を踏まえつつ、今のままごとの人たちとどうやるかを考えながら作っているので、自ずと新しくなっていますね」と話した。

劇団員だけで作ろうと思ったのは、近年、演劇の作り方について考えているからだと柴は続ける。「“人が人を演じる”演劇の作り方を僕はあまり信じていなくて、そこをスタートラインに一から演劇を作ってみようと思っているんです。なので、一般的な演劇の作り方に対するクエスチョンと、僕自身の演劇の作り方に対するクエスチョンと、どちらに対しても、ままごとの人たちと問い直しながら、今クリエーションを続けているところです」と語った。

会場となる三重県文化会館は、これまでにもままごとが公演を行っている劇場だ。「折に触れて呼んでいただている場所なので、久しぶりに行くのが楽しみです。『三重に乗り込むぞ!』と意気込むよりは、自分たちのホームの1つで、自分たちの現在形を見てもらう感覚」と、笑顔を見せる。

また本公演はままごとにとっても、久々の劇場公演となる。その点について柴は、「昨年は予定していた公演も中止となり、上演という形態で演劇をやることに正直抵抗があったんです。でも今年になってから、その気持ちが変わってきて。今は自分が作れるものを、作れる形でやってみたいなと」と率直に思いを語った。と同時に「もちろん、作品を完成させるにはお客さんに観ていただくことが必要なので、『お芝居を見るぞ!』と意気込んでいらっしゃる方にも、『久しぶりに舞台を観てみようかな』と思う方にも、ちょっとホッとしてもらえるようなお芝居になったらいいなと。お客さんにはぜひ気楽に、ちょっと覗きに来るような感じでご来場いただけると、僕はすごくうれしいです」と観客にメッセージを送った。

本作は5月4日に三重・三重県文化会館 中ホール 舞台上舞台にて上演される。

オンステージシアターvol.2 ままごと2本立て公演「反復かつ連続」「あゆみ(短編)」

2021年5月4日(火・祝)
三重県 三重県文化会館 中ホール 舞台上舞台

「反復かつ連続」

作・演出:柴幸男
出演:小山薫子

「あゆみ(短編)」

作・演出:柴幸男
出演:石倉来輝、大石将弘、小山薫子、端田新菜

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