おもかげ〈2019年〉
20/10/22(木)
(C)Manolo Pavon
短編『Madre』がアカデミー賞短編実写映画賞ノミネートされ、そこから始まる長編『おもかげ』の圧倒的な冒頭。過呼吸になるのではと思ってしまうほどの緊迫感に包まれながら、子を求め、さ迷い、時が止まり、愛を求め、与えられなかった愛を注ぐ者を探すかのような母の姿が女性になっていく過程はサガなのか?
ここまでクレイジーで本能に従って生きるエレナを体現しきったマルタ・ニエトの演技力に脱帽。しかも監督で脚本を務めたのが男性のロドリゴ・ソロゴイェン監督だからか、元夫側の感情や今のパートナーの感情がやけに生々しくて、彼らが口にする台詞に救われない感覚まで覚えるのだから凄まじいのです。
妻の言い分、夫の言い分、親の言い分、恋人の言い分、それぞれの思いがぶつかり合いながら、愛とは一体なんなのか?という答えの出ない問いに心を掻き乱され、強い海風を肌に感じるような錯覚に陥りました。
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