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むぎ(猫)が思い出させてくれる、“大切なもの”の存在 冒険ストーリー軸としたオンラインライブをレポート

リアルサウンド

20/7/30(木) 18:00

 NHK Eテレ『ねこねこ日本史』エンディングテーマ「ねっこほって」や、CSこども・アニメ専門チャンネル“キッズステーション”『うたのじかんライブ』の第1弾アーティストに選ばれるなど、大人だけでなく子どもにまで人気を広げている、むぎ(猫)。2月にスタートした全国ツアーの大部分が中止になったことを受け、7月19日に有料オンラインライブ『むぎ(猫) Wonder Nyander Tour 2020 完結編 ~配信!そっちいかずねっこほる~』を開催した。むぎ(猫)が宝物を見つけるまでの冒険のストーリーを軸に、ゲストのDJみそしるとMCごはんとのコラボを含む、全18曲を二部構成で披露。あたたかくて楽しくて、思わずホロッと泣ける、むぎ(猫)の音楽の魅力で、全国から集まった視聴者に元気と勇気を与えてくれるライブになった。

(関連:むぎ(猫)が語る、メジャーデビューと音楽活動への思い 「やさしい気持ちにさせたい」

「何百回やった曲でも、そりゃ間違えますよ(笑)」

 今回のライブは、公式Twitterアカウントで「ストーリーのあるミュージカル形式(ゆるい)」と表現していたように、むぎ(猫)が一匹(ひとり)演技をしながらストーリーになぞらえて楽曲を披露していくというもの。「宝を見つけるのじゃ」という神様からの指令で、そのつど手にするヒントを頼りに、歌で力を得ながら歩みを進めていくRPGスタイルだ。ステージ上にはスコップやつるはし、地図やコンパスなどのセットがあしらわれ、ファンはアドベンチャー気分でむぎ(猫)の冒険を見守りながらライブを楽しんだ。

 今回のストーリーを紹介した映像のあと、1曲目の「夢から醒めた夢」でライブは幕を開けた。エレキギターが鳴り響くマイナー調のメロディ、一体感のある開けたサビ。間奏でむぎ(猫)がマリンバのソロ演奏も披露すると、コメント欄には「かっこいい」「やっと会えた」「泣ける」など、むぎ(猫)との再会を喜び合うさまざまなコメントが飛び交った。

 最初のMCで、「こういう時期なので……」とライブの経緯を説明し、「お好きな姿勢で、ゆったりくつろぎながら楽しんでください」と挨拶をしたむぎ(猫)。ライブを行うのは2月24日の仙台・誰も知らない劇場以来約5カ月ぶりとのことで、どこか緊張した雰囲気だったむぎ(猫)。2曲目の「どんなふうに」で入り方を間違えて、やり直しをするというハプニングもあった。しかし「何百回やった曲でも、そりゃ間違えますよ(笑)」と、意に介さずといった様子。「いつものむぎ(猫)だ」「頑張れ!」などあたたかいコメントが多数寄せられ、オンラインでもむぎ(猫)とファンの気持ちはひとつだなと感じさせた。

 昨年リリースした2ndアルバム『君に会いに』からは、カントリー調の軽快なサウンドに乗せて、〈高等学校!〉というコーラスでコメント欄と声を合わせた「猫と学校」。「配信を見てるみなさ~ん」と画面の向こうに呼びかけた、パンクロック調の「四輪駆動の飛び出し坊や」などを披露。ポップでハジけた雰囲気の「君に会いに」には、本当なら今すぐみんなのところに会いに行きたいんだよという、むぎ(猫)の切なる思いが溢れていたように感じた。また、2017年にインディーズでリリースした1stアルバム『天国かもしれない』(今年2月に配信リリース)からも、「AとBと」や「ネコ会議」など多くの楽曲が披露された。テクノとマリンバが融合したピコピコサウンドの「履いてくノロジー」では、ニャンホン(スマホ)に搭載のAIとのコミカルなやりとりと共に披露し、ロボットダンスでも魅せ、視聴者を沸かせた。

むぎ(猫)が手にした宝物は“この日の経験”

 終盤には、2019年末にリリースした『ねっこほって e.p.』から、表題曲の「ねっこほって」を披露。同曲は子どもにも人気で、ポップなサウンドに自然と身体が揺れる。自宅にいながら、思わず一緒に口ずさんでしまうのは、むぎ(猫)の音楽の魅力で、コメント欄には〈ここ掘れにゃんにゃん〉と、むぎ(猫)と一緒に歌う声が並んだ。

 そして、スペシャルゲストのDJみそしるとMCごはん(おみそはん)が呼び込まれると、コメント欄が「おー!」と大歓声で沸いた。「ミラクルバウムクーヘンアドベンチャー feat. DJみそしるとMCごはん」は、おととし開催された『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2018 in EZO』での共演をきっかけに意気投合して制作され、『ねっこほって e.p.』に収録されたもの。おみそはんは、3月19日に東京・日本橋三井ホールで予定されていたライブにゲスト出演の予定だったが、中止になったことを受け、この日にスケジュールを調整してくれたという。感謝と共に「やっと今日、生で一緒に歌えますね」と言うむぎ(猫)に、おみそはんも「ワクワクしてます!」とうれしそうな様子を見せる。ノリの良いヒップホップサウンドに乗せて、ユーモアたっぷりのラップを繰り出したふたり。コーラスで「画面の向こうのみんなも一緒に!」と声をかけ、視聴者はコメント欄で〈COO! OCO! OC yo!(おいしーよ)〉〈穴ナナナナナ〉と一緒に歌って盛り上がった。

 ライブを終え、むぎ(猫)は「無事2時間のプログラムを終了できたのも、見てくださったみなさんのおかげです。これからどうなるか分かりませんが、その時々で、みなさんに楽しんでもらえること、できることを探してやっていきます。これからも応援よろしくお願いします」とコメントし、感無量といった雰囲気。星形のサインボールを客席に投げて(後日抽選でファンに届くそう)、感謝の気持ちを表した。

 この日むぎ(猫)が手にした宝物は、バウムクーヘン、思い出、そして配信に関わった仲間(スタッフ)やオンラインで見てくれたファンのあたたかさ。「またいろんな冒険をして、いろんなものを見つけていきたい」と話したむぎ(猫)。無観客とは思えないライブ感と一体感、そしてむぎ(猫)のメッセージが感じられたライブ。大人になる過程でつい忘れがちになってしまう大切なものの存在に、あらためて気づかせてもらった。

 終了後、コメント欄には「日曜の午後に素敵な時間をありがとう」「猫と一緒に見ました」「すぐ会えると信じてます」など、ファンのあたたかいコメントがずらり。そんなファンの気持ちに応え、9月9日にリリースする2nd EP『窓辺の猫 e.p.』から、「窓辺の猫 feat. つじあやの」のティザー映像をいち早く公開したことも話題になった。(榑林史章)

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