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いま、最高の一本に出会える

左から指出一正、能町みね子。

能町みね子、グリーンランドに感じた魅力は「どこまででも歩ける果てしなさ」

ナタリー

19/7/23(火) 13:28

「北の果ての小さな村で」のトークイベントが7月23日に東京・シネスイッチ銀座にて行われ、ゲストの能町みね子と指出一正が登壇した。

グリーンランドの小さな村チニツキラークの小学校に赴任したデンマーク人教師アンダース・ヴィーデゴーが、村人や子供たちとの交流を通して成長していくさまが描かれる本作。アンダースや村人たちをすべて本人が演じていることに関連して、能町は「狩猟のシーンは半分ドキュメンタリーで半分お芝居というか。シナリオがあるのはわかっていたんですけど、どうやって撮ったんだろうと思いました」と語る。雑誌ソトコトの編集長である指出は「僕はもともとOutdoorという雑誌の編集部にいたので、魚釣りや狩猟のことも勉強したんですが、この映画の漁と狩猟は本物ですね。扱っている道具もちゃんと北欧のものなんですよ。だから、グリーンランドでの村の生き方を観るのにすごくいいんじゃないかと思いました」と解説した。

さらに言葉をやり取りするシーンについて、能町は「あのあたりの村になるとおそらくあまりデンマーク語も通じないので、アンダースさんも実際に苦労されていたと思います。私も現地に行ったような感覚になってチクチクしました。どこでも大歓迎とはならないリアリティがあって」と言及。指出は「日本でも外から来た若い人たちが村に入っていこうとすると、途中から何もかもが許される瞬間があるんですよね。それは経済原理ではなく、安心の原理が働くからで。小さいコミュニティはそうやって人を受け入れていくので、この映画は僕らの暮らしの映し身みたいな部分もありました」と続けた。

グリーンランドの首都ヌークを訪れた際のことを著書「逃北 つかれたときは北へ逃げます」につづった能町。イベントでは、彼女がグリーンランドで撮影した写真のスライドや、アンダースからのビデオメッセージが流れる場面も。能町は「三角屋根のカラフルな家がたくさん並んでいて、気候の関係で木が生えないから植物は芝みたいな感じ。ひたすら岩場があってたまに草が生えているだけなので、想像が付きづらいと思うんですが、どこまででも歩いて行けちゃうんですよ。日本にはない不思議な感覚で、なんか果てしないなと思いましたね」と回想した。

北へ惹かれる理由を問われた能町は、「北が好きって言うと現地の人からですら『なんで?』って言われる。自分を全面的に肯定する気持ちがあんまりない私からすると、その『うちなんて何もないのに……』っていうところに『そんなことないですよ』と少しずつ入り込んでいくコミュニケーションが好きなんですよね」と説明。グリーンランドへ行くと決めたときはGoogleマップもなかったそうで、「ここに人が住んでいるってどういうことなんだろうと。世界でも一番行きたい場所でした」と振り返る。指出が「小さくて何もないけど自分の心にグッと来るところは世界中にある。映画を通して、こういう場所が世界にあると知ってもらえると複眼的に社会が見えますよね」とうなずくと、能町は「Googleストリートビューで適当に町を探して『こんな国見たことない』って感じるのは本当に面白いです」と薦めた。

サミュエル・コラルデが監督を務めた「北の果ての小さな村で」は、7月27日より東京・シネスイッチ銀座、UPLINK吉祥寺ほか全国で順次公開。

(c)2018 Geko Films and France 3 Cinema

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