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鈴木拡樹×荒牧慶彦「共演はご褒美」 舞台化を願ったふたりが語る「バクマン。」THE STAGE

ぴあ

鈴木拡樹・荒牧慶彦 撮影:源賀津己

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人気マンガを原作にした舞台「バクマン。」THE STAGEが10月に上演される。

真城最高と高木秋人の高校生マンガ家コンビが「週刊少年ジャンプ」のトップを目指して奮闘する様子が描かれる本作は、2008年から 2012年まで「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)にて連載された<原作:大場つぐみ・漫画:小畑 健>による大人気マンガの初舞台化作品。演出・脚本は、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」(以下、演劇「ハイキュー!!」)シリーズなどで知られるウォーリー木下が手掛ける。

W主演を務める鈴木拡樹と荒牧慶彦に話を聞いた。

マンガのつくり方なんて知らなくても引き込まれる

――「バクマン。」THE STAGEに出演が決まって今どんなことを楽しみにされていますか? 鈴木さんは上演決定の際に「舞台化熱望していました」というコメントも出されていましたが。

鈴木 僕はこの作品を「みんなに知ってもらいたい」「ぜひいろんなメディアで展開してほしい」と勝手に思っていたんですよ(笑)。だから今回の舞台化もすごく嬉しいです。舞台としては、マンガを描くことが軸のストーリーなので、もしかしたら「座ったまま動かない作品なのかな」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、大体の場合、こういう内容を舞台化すると通常の倍動くことになりますし、この予想は多分、当たるのではないかと思っています(笑)。身体表現で、彼らが紙にぶつける熱量をどれだけ客席に向かって放つことができるかは勝負になってくると思いますし、肉体的にはしんどそうですが、楽しみにしているところでもあります。

――荒牧さんは、製作発表会見でこの舞台の発案者だったことが判明しましたが。

荒牧 そうなるんですかね(笑)。でも本当に、想いは口に出していかないとな、ということを改めて感じる出来事でした。この作品が舞台化されたらいいなとか、拡樹くんがやったら面白いだろうなっていうのは本当にただの願望だったので、まさかこんなふうに叶うとは思っていませんでしたし、それがこうやって実現するのが嬉しいです。

――「バクマン。」THE STAGEに出演されることはどのように思われていますか?

荒牧 ウォーリー(木下)さんがどんな演出をされるのかはまだわかりませんが、マンガの描写を舞台に置き換えた時、すごく面白くなるんじゃないかなと単純に楽しみにしています。今、僕が勝手に想像しているのは、例えばふたりが描いているマンガを役者が演じるとか。

鈴木 なるほど~。発想が天才的だ。

荒牧 え、本当ですか?(笑)でも本当に無限の可能性がある作品ですよね。

――おふたりとももともと原作がお好きだったそうですが、どういうところが好きだったんですか?

荒牧 “マンガを描く”って傍から見ると地味な作業なのに、ちゃんと熱いストーリーが組み込まれているところに惹きつけられました。僕、同じ小畑 健さんの『ヒカルの碁』(原作:ほったゆみ・漫画:小畑 健)も大好きなんですけど、この作品も碁のことは一切わからないのにむちゃくちゃ面白かったんですよ。それと同じで、マンガのつくり方なんて全然わからないのに引きこまれていくことが本当にすごいし、そこが面白かったです。

鈴木 僕もそこはすごいなと感じました。あと、週刊誌で連載しているものって特に、文字数が多ければ多いほど難しい戦いだと思うのですが、『バクマン。』は文字数が結構多いんですよね。

荒牧 かなり文字を使ってますよね。

鈴木 なのについ読んじゃうんですよ。多分タイミングも計算されていて、文字がたくさん出てくるのは、物語にぐっと引きこまれた後なんです。これは舞台でも届け方としてすごく勉強になりました。

今作での共演は“ご褒美”

――鈴木さんは真城最高(ましろ・もりたか)役、荒牧さんは高木秋人(たかぎ・あきと)役ですが、ご自身の役柄の印象を教えてください。

荒牧 僕はシュージン(高木秋人の通称)と似ている部分があってアイディアはポンポン思いつくのですが……アイデアだけ出して事務所の人に全投げみたいな(笑)。シュージンもアイデアを出して、サイコー(真城最高の通称)に全投げなので(劇中では原作をシュージン、漫画をサイコーが担当している)。そういうところが似てるなって。考え方もちょっと似ていますし。だから自然体でできるのかなと思います。

――演じるうえでどこがキーになると思いますか?

荒牧 引っ張っていく力かな。サイコーはもともとマンガへの想いを持ってはいますが、シュージンがそこにきっかけを与えてマンガの世界に引っ張りますし、きっとお客さんの感情もシュージンが引っ張っていくことになるのかなと思うので。率先してそういう役割をやっていこうと思っています。

鈴木 僕が演じるサイコーは、割と普通の、漠然と生きているタイプの人で、才能はあるかもしれないけど、それがプロで通じるかは確かめもせずに生きていたような。だけどシュージンにきっかけをもらったことで、爆発的にマンガにのめり込んで、変わっていくんですよね。その変化を見せていきたいので、漠然とした生き方こそ繊細に演じたいなと思っています。

――変化を描くために、漠然と生きるサイコーを繊細に演じるのですか。

鈴木 はい。最初の漠然とした感じを表現できればできるほど、シュージンとの出会いが印象に残るというか。観た方が上演後に、「あの出会いで」と思い返せるような出来事にできると思うので。

――何度も共演してこられたおふたりですが、お互いの「この役柄で見たいところ」をお聞かせください。

荒牧 僕は拡樹くんの描いている絵を見たいですね。

鈴木 え? 僕が描くの?(笑)

荒牧 舞台で描かないとは思いますけど(笑)、でも描く絵を見てみたいです。なんかうまかった気がするんですよね。

鈴木 雑な絵なら描けるって感じかな。でも今回、唐橋(充)さんも(片桐)仁さんもいらっしゃいますし、さすがに「描けます」とは言えない……(笑)。

荒牧 (笑)。あとは、「見たいところ」とは違うけど、芝居でやりとりがしたいですね。これまで共演した作品ではできなかった部分をやってみたらどうなるのかなっていう。

鈴木 僕も単純な話、今回は舞台上でいっぱい会話ができそうなのが嬉しい。少なかったもんね、舞台上での会話が。

荒牧 共演していても、大体どっちかが出てる時はどっちかが舞台ソデにいるから(笑)。

鈴木 そういうケースが多いので、一緒に出演できて、かつたくさん喋れる、さらにバディという関係性、というのがいいなって。今までの役はいつもパワーバランスがあったから、今回同じ目線でのやり取りができるのも本当に嬉しい。これはもう“ご褒美”ですよね。

――ご褒美ですか。

鈴木 はい。嬉しいですよ。

――共演の方々も面白そうな顔ぶれで。

荒牧 僕は橋本祥平と久しぶりの共演なので楽しみです。彼の芝居が好きなんですよ。すごくムードメーカーでがんばり屋さんで、人を楽しませたいっていう素敵な心の持ち主ですし、一緒にやっていて楽しい人です。

鈴木 演じるうえでの心強さで言うと、唐橋さんと片桐 仁さんの存在は大きいですね。アートをやられているおふたりなので、画材とかにも詳しいでしょうし。今回は芸術家揃いで多彩なので、例えばオレノグラフィティさんの音楽の話だったり、村上大樹さんの演出の話だったり、現場でいろんなお話を聞けたらいいなと思っています。

僕らの関係値で決まる芝居だと思う

――演出のウォーリー木下さんとは、おふたりとも初タッグですが、作品にどのような印象がありますか?

荒牧 演劇「ハイキュー!!」を拝見したのですが、緻密ですよね。

鈴木 僕も演劇「ハイキュー!!」に衝撃を受けた。出演している役者にもですし、これをつくっているウォーリーさんにも。今回もおそらく(演劇「ハイキュー!!」のように)“演劇的なルール”が随所にある作品になるのかなと思っていて。つまり、ここに人がいます、隣にも人がいます、でもふたりがいるのは全く別の空間です、みたいな。そういう(お客さんと舞台上で共有される暗黙の)ルールが生まれると、それを破る瞬間も面白くなりますよね。せっかくお客さんがルールを理解して観ているのに、空間をぶち抜いて勝手に入ってきちゃう新妻エイジがいるんだろうなとか(笑)。そういうのを想像すると面白いじゃないですか。

荒牧 それありそう(笑)。面白そうですよね、演劇的要素が。

鈴木 なんの疑いもなく空間だって信じてもらえるようにするにはパワーも必要になるはずだけど、でもそれは楽しいと思います。

――演じるうえでキーになるのはどういうところになりそうでしょうか?

荒牧 僕らの関係値で決まる芝居だと思っているので、掛け合いはしっかりときめていきたいところです。ふたりがやり取りする言葉の数もすごいだろうし。

鈴木 台詞量、すごそうだよね(笑)。

荒牧 そのぶん呼吸も合わせなきゃいけないし、勢いもつけなきゃいけないと思うので。そこは楽しみでもあり、しっかりやりたいところです。

鈴木 そういう意味では、まっきーとは何度も一緒にやってきて、安心感は既にあるし、迷ったとしても相談しやすい。その点で圧倒的に有利なので、活かしていけたらなと思いますね。

――余談ですが、ふたりが揃うとこうなっちゃう!みたいなことがあれば教えてください。

荒牧 小芝居を始めますね、誰も観ていないところで。

鈴木 お客さん0のところでね(笑)。まあこれは僕のせいです……。

荒牧 あはは。僕ものりたがりなので。

――稽古場でやられているということですか?

荒牧 はい。関係ない芝居をふたりで(笑)。

鈴木 ちょっとしたエチュードみたいな。前は手紙を読む芝居をしてたよね。

荒牧 やりましたね。

鈴木 その時は、僕らは最後の最後のシーンでしか出会わないストーリーだったので、なかなか一緒にならなくて。だからそれぞれの稽古が終わってハケてくるたびに、「拝啓、こちらはこういう稽古をしております。そちらはいかがお過ごしですか?」みたいな……。

荒牧 「こちらは皆様のお帰りをお待ちしております」みたいな小芝居を(笑)。

――仲がいいですね(笑)。そんなおふたりがガッツリ肩を組むような役柄は、見てみたいです。

荒牧 はい、僕らも楽しみです。

鈴木 楽しみだね。

――最後に、現時点でお客さんにここを楽しみにしていてほしい、ということがあれば聞かせてください。

荒牧 ウォーリーさんもおっしゃっていた、全世代のどんな方が観てもワクワクドキドキさせられるような作品づくりをしたいと思っています。だからお客様にはぜひ期待を膨らませていてほしいです。今回はチームワークの舞台になると思いますし、みんなで息を合わせてがんばっていきたいです。

鈴木 究極は、どんな作品でもどの世代にも楽しんでもらえるものをつくりたいですし、さらに言えば、海外でも楽しんでもらえるようなものにできたらいいなと思うのですが、そういうものを、じゃあすべての作品で目指せるのかというと難しいんですよね。でも今作はその可能性があると思うので、すごくいい挑戦になるんだと思います。

「バクマン。」THE STAGEの東京公演は10月8日(金)から17日(日)まで天王洲 銀河劇場、10月21日(木)から24日(日)までTOKYO DOME CITY HALL、大阪公演は10月28日(木)から31日(日)までメルパルクホール大阪にて上演。



取材・文:中川實穂 撮影:源賀津己
スタイリスト/中村美保(鈴木)、宇都宮春男(YKP)(荒牧)ヘアメイク/AKI(鈴木)、鈴木りさ(STRINGS)(荒牧) 衣装協力/semoh(鈴木)、CULLNI(荒牧)



チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2174605

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