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SKY-HIの活動に見るスピード感と柔軟性 「#Homesession」の広がりから『スッキリ』リモートライブまで

リアルサウンド

20/4/21(火) 12:00

 新型コロナウイルス感染拡大といういまだかつてない大きな危機が訪れ、世界中が不安に苛まれている。とりわけエンタメ業界への打撃の大きさは日々話題が尽きないほどで、アーティストたちは試行錯誤しつつもSNSやYouTubeで様々な発信をしている。SKY-HIもその一人だ。4月7日、「感化されたのもあって、#Homesession 作りました。“お家の中にいて”ってサビで歌う日が来るとは思わなかったけどw 本当にいい曲が出来たし、これもっと良くなりそうだと思わない?」というメッセージとともに、楽曲「#Homesession」をYouTube上で公開した。

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 バトン形式でTHE SUPER FLYERS(SKY-HIのサポートバンド)に一人ずつ回し、宅録、セッションしながら曲を完成させていくというものだ。さらに音源のボーカル、トラック、ステムデータも『#オンライン繁華街』と名付けられた企画ページにて公開されており、「#Homesession」というハッシュタグをつけて誰でも本格的にセッションが楽しめるようになっている。それによりSNS上では一般の人々や、楽器を演奏したり歌を歌わない人も、自由にSKY-HIたちと音楽を堪能しているようだ。

 公開されてすぐ、ギターの田中”TAK”拓也がオンラインセッションをスタート。その後もベース、パーカッション、キーボード、ホーンセクションと続き、4月16日にはダンサーのBLUE FLAP QUARTETが動画をアップし、形になった。さらには、様々なアーティストにも派生しており、西島隆弘(AAA)や斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN/XIIX)、石橋陽彩、佐々木直人(リアクション ザ ブッタ)、MC小法師、西澤呈(GENIC)などが公開されている動画やデータを使って音楽を発信している。こうした彼らの作品を見ると、CDやストリーミングにはない“生っぽい”グルーブとそれぞれの個性が垣間見えて面白い。各人のフレーズが目立つからこそ、「ここは◯◯っぽいフレーズだ」とアーティスト一人ひとりをじっくり味わうことができる。また、動画という形にする上でも大胆にアレンジをする人、自分の楽器の音を大きめにする人、他の音に溶けこませる人と様々だ。これもオンラインセッションという形だからこその面白さだろう。

 こういった活動に関して、SKY-HIは非常にスピード感がある。常に多くのミュージシャンにリスペクトを表し、自身の楽曲配信だけでなく社会情勢やお笑い、アイドルなど幅広い情報をキャッチアップし続けている彼だからこそ、このスピード感を出せるのだろう。そしてそんなSKY-HIだからこそ、これまでの常識にとらわれない活動にすぐにシフトできる柔軟性も発揮できているのだ。

 その一つが4月16日の『スッキリ』(日本テレビ系)への自宅からのリモート生出演&ライブではないだろうか。これまで、オンラインでテレビに出演し、ライブをするという“常識”はなかった。もちろん、音や通信環境などが万全でないという理由があったからで、オンライン環境が整いつつある現代でもその点が気になるアーティストは少なくないと思う。発信するなら万全を期して届けたいはずだからだ。しかし、この状況下だからこそ「生出演してライブをする」ということ自体に価値が生まれる。SKY-HIはそれをいち早く汲み取り、発信したのではないだろうか(パジャマで登場するというユーモアもあったのはさすがだ)。結果、多くの反響が寄せられ、SNS上でも大いに盛り上がっていた。

 また、4月10日にはYouTubeにデモ音源を公開して話題になった楽曲「そこにいた」の配信もスタート。合わせて、『#オンライン繁華街』にはオフボーカルの音源が配布され、家にいながら歌唱ができる環境も提供している。同日には、兼近大樹(EXIT)とオンラインでインラスタライブも行ない、「そこにいた」をコラボするという試みも。ここにもSKY-HIのスピード感が表れていた。

 この一連の活動から、SKY-HIの“柔軟性”と“現実的な前向きさ”という本質的な魅力が顕になった。3月29日にYouTubeで行なわれたライブ配信の中で、「違う日常になったと思ったほうがいい」、「我々が生活している社会はそれまでとは完全に違うものになった」と冒頭で話をしていたが、その上でこれからどうすればいいかを考えた結果だろう。しかも、自分自身だけでなく「音楽業界全体をどうすればいいか」という広い視点を持って考えており、それが「#Homesession」やテレビでのオンラインライブなどにつながっているのではないだろうか。そして、自身の中に伝えたいこと、「こうしたい」という確固たる軸があるからこそ、ブレずに行動に移せるのではないだろうか。彼を見ていると、今後生き残れるのはブレない信念、そしてそれを表現できるだけのスキルと情熱を持っている人のみになるのではないかとさえ思えてくる。我々、非音楽人には計り知れない苦悩もあるはずだ。だが、「SKY-HIなら想像の上をいく活動をしてくれるのは? そして人生を豊かにするという音楽の在り方はコロナ禍でも揺るがないのでは?」ーーそんな期待と希望を与えてくれている。(高橋梓)

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