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「漁港の肉子ちゃん」制作現場に潜入、渡辺歩がCocomiの覚悟感じたアフレコ振り返る

ナタリー

渡辺歩

渡辺歩が監督した「漁港の肉子ちゃん」の制作現場に映画ナタリーが密着した。

明石家さんまが企画・プロデュースを担当した本作では、漁港の船に住む母娘・肉子ちゃんとキクコに訪れる奇跡が描かれる。大竹しのぶが焼き肉屋で働く主人公の肉子ちゃん、Cocomiが大人びた小学生キクコの声を担当した。

今回の取材は5月上旬、アニメーション制作を担当したSTUDIO4℃のスタジオで実施。各フロアにはセクションごとに机が並べられていたが、多くのスタッフは基本的にリモートで作業している。

今回の制作チームは、渡辺の前作「海獣の子供」と同じく、若手・中堅世代が中心。劇場公開する作品で早くから経験を積み、次の世代として育ってほしいという総作画監督・小西賢一の方針にもとづいてこのような編成となった。なおチームには10代もおり、最年少は17歳。韓国のクリエイターも参加している。

「今回は線画をかわいく描いています」と言って手描きの背景画を見せてくれたのは、美術監督の木村真二。そして「レイアウトはこのようにしてほしいと頼まれるのですが、許諾は取らずに変えちゃうこともあります」と笑いつつ、デジタル感が出すぎないよう水彩画タッチの絵をスキャンしてからデジタルで作業をしたと振り返る。それらの背景画の中には、原作小説を手がけた西加奈子にまつわるオマージュをさりげなく忍ばせたものも。なお本作の総カット数は1254に上った。

渡辺は原作について「いろんな捉え方ができる作品」「つまびらかにダークな部分をしっかり描かれている」と述懐。「『あの作品がこんなふうになるの』と意表を突くような雰囲気があったほうがいいのかなと思い、逆振りでポップにしました。せっかくアニメーションにチャンスをくださっているので、さんまさんから謎かけをいただいたと考えました」と、テイストを決定した経緯について話した。さんまとの打ち合わせでは、作り手の意図を捉えていることに気付かされたと言い、「被写体の向こうにあるものの動きまで描かれているかを見抜いている」「裏側を常に見てらっしゃった」と証言。「映像や演者、表現に対する愛情と鋭い洞察力を持った方」と、プロデューサーとしてのさんまを称賛した。

今回は原作が小説のため、指標となる絵が存在しない。キャラクターデザイン作りについて尋ねると「自由度が高い分楽しみもあるが、皆さんが持っている最大公約数的なイメージからそれないような落としどころに悩んだ」と苦労を明かし、「原作にもキャラクターのだいたいの情報はあるんですが、身長体重の数字だけで言うと肉子ちゃんはそんなにふくよかでもないんですよ。このビジュアルはだいぶ盛っています」と吐露。「せっかくアニメーションですので、少し盛るなり、動きで補完することでいわゆる“肉子感”が表現できるのではないかと思いました。体の肉を振るったり、意外と俊敏だったり、表情豊かだったり、驚くしぐさがいちいち大きいとかね」と“肉子らしさ”を出すための工夫を語った。

続けて「キクコは髪型が非常に難しかったんです。原作では自然な茶色、巻き毛と書かれている。最初は髪の長い子、おかっぱなども考えてみたんですが、最終的には経済的な理由で、手入れが楽ということからスパッとベリーショートに。さんまさんにプレゼンするときはドキドキでしたけど、『ほうかほうか、ええと思うよ』と非常に快く寛大に受け止めてくださった。ほっとしましたね」と当時を振り返る。

Cocomiに話題が及ぶと、渡辺は「テスト収録のときに声そのものが非常に魅力的で、役にすっと重なった。この方だったら面白いかもしれないと思いました」「非常に僕は興奮を覚えましたね」と熱を込めて話した。「西さんも映像化のうえで、新しい才能に光が当たるように自分の作品を使ってほしいとおっしゃっていました。神様のようですよね(笑)。その要望にも応えることができるだろうと感じました」とも述懐。「Cocomiさんは、この役をしっかり演じ切るという覚悟をされてきているなと感じました」とアフレコを回想し「役者、パフォーマーとしてのポテンシャルの高さもありますが、何より努力や根性を見ました。この作品で彼女の新しい扉が開くような気がします」とたたえた。

「漁港の肉子ちゃん」は6月11日より全国ロードショー。

(c)2021「漁港の肉子ちゃん」製作委員会

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