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戸田恵梨香が伝えた「好き」の意味 『スカーレット』が描いたヒロインの初恋

リアルサウンド

19/10/30(水) 12:00

 圭介(溝端淳平)はあき子(佐津川愛美)との恋にすっかり心酔している。あき子は喜美子(戸田恵梨香)にヤキモチを妬き、圭介に荒木荘を出て欲しいと言う。そして、圭介は荒木荘を移ることを決意したのだった。

【写真】戸田恵梨香インタビューカット

 連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合)第27話では、喜美子の叶わぬ初恋が描かれた。圭介は初めての恋に喜美子を頼りきり。その日着るシャツまで喜美子の意見を聞きにくるのである。

 濃い色のシャツを選んだ喜美子だったが、さだ(羽野晶紀)やちや子(水野美紀)からわざと似合わない方を選んだと指摘される。喜美子も密かにあき子にヤキモチを妬いていたようなのだ。しかし喜美子は自身の恋心を自覚しても、それほど態度を変えない。舞い上がったり、突然照れたり、圭介のように“ポンコツ”にはならないのだ。初めての恋にも関わらず、好きな人には恋人がいる悲恋となってしまった喜美子の恋。何も気づいていない圭介を前に、ただ空元気を見せるのであった。

 そして圭介はあき子とデートへ。あき子は、圭介がいつも荒木荘の話をしていることや、喜美子にデートの行き先を伝えていることなどに不満を感じていた。いつも来る喫茶店さえ、雄太郎(木本武宏)の働いている「さえずり」だ。「荒木荘を出て一人で暮らして欲しい」と不満をぶつけたあき子だが、圭介は喜美子の肩を持ち、女中を見下すなとあき子を諭す。圭介にとって喜美子は「大切な妹」だと言うのだ。とうとうあき子は泣き出して、店を出て行ってしまった。

 だが後日、圭介は荒木荘を出て行く決心を喜美子に告げる。そして喜美子への気持ちも、「妹みたいに大事に思っている」と話し、悪気もなく無邪気に「好きだよ」と言うのであった。喜美子は「うちも圭介さん大好きや」と応える。しかしその気持ちには様々な“好き”が含まれていた。恋愛の好きであったり、荒木荘の住人としての好きであったり、兄のような存在としての好きであったり……。そんな複雑な思いでいた。

 あき子自身も喜美子や圭介を傷つけるつもりはなかっただろう。しかし、恋をすると言うのはこうやって理性では歯止めが効かないことをしでかしてしまうことだ。しかし圭介にすでに恋人がいるせいで、ジタバタすることもできず、ただ静観するしかない。初恋にして悲恋という山あり谷ありな喜美子の人生だが、女性としても大人になる大きな一歩だっただろう。

(Nana Numoto)

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