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稲葉友の「話はかわるけど」

あの頃×今時×発掘【前編】

毎週連載

第120回

21/4/21(水)

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「あの頃のような恋がしたい」──そんな言葉に強烈に違和感を持った稲葉さん。“あの頃”の良さは確かにわかる。でも過去を美化して懐かしむのは、停滞への第一歩なのでは?

30代前半の男性と話していて、違和感があった。「恋がしたい」という話を聞いていたのだけどそのニュアンスが「あの頃みたいな恋がしたい」というものだった。みんな人生の中で初恋だったり、初めての両想いだったり、初めての情熱だったりがそれぞれあると思う。そういう気持ちをもう一度というニュアンスを感じて、いや、そうじゃないんじゃないかと反射的に思った。

彼は「心が氷みたいになっていてあの頃のような恋が出来ない」という。なぜ氷みたいな心ではダメなんだろうか。その氷を“あの頃の情熱”みたいなもので溶かしてくれる人を探すより、氷のままでも付き合える人がより気持ちも価値観もフィットするような気がした。

恋愛に限らず「あの頃の情熱が、もう今の自分にはない」的なセリフをよく聞く。でも年を重ねれば情熱の形も変わって当然だと思う。あの頃の情熱が一番ピュアだったとしても、初心忘るべからずというのはあるとしても、今の情熱の形を否定する要因に僕はしたくない。

去年演劇や芝居に対して考えていく中で「自分にはお芝居に出会った頃、“あの頃”の温度が今あるだろうか」と自問自答していた時期があった。それがなかったとしても悪いことではない。なんにせよ目の前のことに向き合い続けるしかない。形も変われば想いも変わっていく。ここ最近は強く、あの頃の自分でなくていいと思う。

あの頃のピュアさは今思い返してみると魅力的に思えるけれど、それな絶対に必要なものとは感じない。あの頃の情熱やあの頃のトキメキだけが正解ってことはない。仕事も恋愛も、たぶんそういうものなんだと思う。

人によって入れ込んだ部活や勉強とか、あの頃に無心に頑張った対象があるんだろうけど、あの頃の輝きを自分の人生のピークにしない方がいいように思う。当時と今とを比べても同じ人間でも違いが多すぎるし、どちらが劣るとかでもない。

デビュー当時のあの頃の自分と過ごしていた先輩と同い年になっていることがここ数年増えてきた。僕の場合はあの頃憧れた面白い先輩何人かと今でも交流があって、この前そのうちの1人に「出会った頃の、俺の年になったな」と言われてハッとした。あの時の先輩は28歳だったのかと。僕は当時の先輩のように面白いことやれているのかと少し考えた。

でも当然、僕と先輩は違う人間だから同じことはできていない。だからこそ憧れたし、今でも仲良くしてくれているんだと思う。進んだ先でまたお仕事が出来たら幸せだ。あの頃、あの頃、あの頃、と気にし過ぎるのは疲れたりもする。

現状の自分に満足せず過去を美化して変な抗いをするのは、なんというか、疲れちゃう。勝手に自分で物差しを作って、あの頃の情熱や気持ちに足りてない今の自分に不満を持つのは不毛にも思えた。

「今の経験と頭脳を持って若い頃に戻りたい」というトークもあるあるだが、想像するとまず「面倒くせえ」と思ってしまう。中身大人でやり直すのは新しいことに飛び込みにくい気がしてしまう。変に分別がついているから。無知なことが多い方が挑戦し続けられる。失敗も多いけど自分で失敗して傷ついて、時に傷つけてとかしないと実感として何も身につかないから。

次回の更新は4月28日(水)です。お楽しみに!

プロフィール

稲葉友(いなばゆう)

1993年1月12日生まれ、神奈川県出身。
2010年、ドラマ『クローン ベイビー』(TBS)で俳優デビュー後、ドラマ、映画、舞台と幅広く活動。
主な出演作に、ドラマ『仮面ライダードライブ』(‘14~’15 EX)、『MARS~ただ、君を愛してる~』(’16 NTV)、『ひぐらしのなく頃に』(’16 BSスカパー!)、『レンタル救世主』(’16 NTV)、『将棋めし』(’17 CX)、映画『ワンダフルワールドエンド』(’15)、『HiGH&LOW』シリーズ、『N.Y.マックスマン』(’18)、『私の人生なのに』(’18)、舞台『すべての四月のために』(’17)、映画『春待つ僕ら』(’19)『この道』(’19)など。
J-WAVE『ALL GOOD FRIDAY』(毎週金曜11:30~16:00生放送)ではレギュラーパーソナリティ―を務める。

衣装協力/ストライプシャツ¥35,200/ディスカバード(ディスカバード TEL:03-3463-3082)
Vネックシャツ¥39,600/アン(アン TEL:085-921-5420)
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リング各¥74,800/シンゴクズノ(ともにシアン PR TEL:03-6662-5525)
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