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いま、最高の一本に出会える

堂本剛、“真ん中”を再確認して歩みを進める ソロ活動に活かされたジャニー喜多川からの教え

リアルサウンド

19/8/14(水) 6:00

 堂本剛 ENDRECHERIのニューアルバム『NARALIEN』が、本日8月14日にリリースされた。ラジオ『堂本剛 とFashion & Music Book』(bayfm)8月10日放送回では、アルバム制作やライブの背景にあった想い、その礎となったジャニー喜多川氏からの教えが語られた。

(参考:堂本剛は時間も空間も超えた大きな流れの中で歌う 『東大寺LIVE 2018』映像から感じたこと) 

 以前から、本アルバムに収録された新曲を積極的にオンエアしてきた堂本剛。長年苦しまされてきたパニック症に名前をつけ、“いつか消えてったらいいな“とふざけて歌った「Pani9 disorder man」。ホットケーキが好きな気持ちを、そのまま楽曲にしてしまった「4 10cake」。お花見を筆頭に人々が元気に明るく過ごす一方で、同時に湧き出る儚さや切なさを歌った「水面音」。〈Heki~〉と〈Heki Heki Heki Heki Heki〉がただ言いたかっただけだという「Heki」。そして、宇宙人に自己紹介をするときに使うであろう、“奈良“と”エイリアン“を混ぜた「NARALIEN」……。思うままに、感じるままに、肩の力を抜いて、心地よいリズムに乗せて歌う堂本剛のFUNKが、より軽やかに、より柔らかに進化していることを感じずにはいられないラインナップに思わずニヤリとしてしまったファンも少なくないのでは。

 堂本剛自身も、その変化について「日本人、奈良人っていうアイデンティティみたいなものはなくさずに、FUNKをやりたいっていうテーマがずっと昔からあって。でも、それを最速で伝えるっていうのは、なかなか難しい環境に自分はいるな~っていうところから、少しずつ、そういう試みをいろんな楽曲を通してやってきたという感じなんですが。前回にも増して今回は“最速で伝えるのは難しい環境なのではないだろうか“みたいなことすらも、風に飛ばし、ただただ自分がそのアルバム制作をしている期間の中で、出会った出来事や、感情、言葉、想いみたいなものを、ただアウトプットしたっていうような感覚です」と語った。

 例えば、〈ホットケーキ〉と〈バター〉しかほぼ言っていない「4 10 cake」も、10年前なら「もうちょっとちゃんと設計図があるやつのほうがいいんじゃないだろうか」と、考えて作っていなかっただろうとも。良かれと思って考え込み、いつの間にか自分自身に枷をかけてしまうことは誰にでも起こりうることだ。それが、何かを創るという立場になれば、そして多面的に物事を見られる人であれば、なおのことだろう。自分だけではなく、それを受け取ってくれる人たち、そして一緒に制作していく人たちなど、多くの人に対する“良かれ“を考慮しすぎた結果、何が自分のやりたいことだったのかが見えにくくなっていくこともある。

 そんな堂本剛の心を解放したのが、ジャニー喜多川氏の言葉だった。それは、2006年にENDLICHERI☆ENDLICHERIとして横浜・みなとみらいで「The ENDLI. WATER TANK」と名付けたライブハウスを建設して、ロング公演を行なっていたときのこと。回を重ねるごとに、いろんな人の意見が入り「ちょっと僕の意見が中心ではないステージの期間っていうのがあったんですよ」と振り返る。

 そのステージを見たジャニー喜多川氏の口から出たのは「これは何、Youが考えてんの?」という言葉だった。堂本剛が思うENDLICHERIの世界ではないという話を正直にしたところ、「なんでなの? 誰がこれを言ってるの? キミはキミの考えてることを、ただステージで表現すればいいだけなんだよ」と説かれたという。そして「キミはとても最高のファンを持ってるということを、自信持つべきだ。ファンの人たちはキミは脳みその中で、何を考えてるのか、どうしたいのかみたいなことを、追い求めることも楽しめるっていうすごいレベルの高いファンなんだよ。だから人から言われたからこう、ああ言われたからああ、みたいなことではなくて、キミがやりたい世界っていうものをステージでぶつけて表現するっていうことが正解なんだよ」とも。

 これまで、堂本剛から語られるジャニー喜多川氏の思い出は、いきなり電話をかけてきたのに「You、誰?」と逆に尋ねられた話など、モノマネを交えながら堂本光一と共にキャッキャッと披露される愛されエピソードの印象が強かった。だが、今回はジャニー喜多川氏がクリエイターとしての本音をこぼした夜のことも語られた。

 ジャニー喜多川氏が誕生日を1人で過ごしていることを知り、駆けつけた堂本剛に「僕の考えてることを形にしてくれた人がいない。誰にもわかんないんだよ」と吐露したのだという。当時は“めっちゃ愚痴るやん。まあ誕生日やし、愚痴聞いたろ“と考えていた堂本剛だが、今はジャニー喜多川氏があえてその話をして、「考えてることが全て表現できてないと思っても表現し続けなさい」と言ってくれていたのかもしれないと思えるという。

 その言葉を胸に「俺がカッコいいと思っててやりたいと思ってる表現をステージでやる……まあ、ツアー中にジャニーさん、天に昇っちゃったけど……でも、もう泣かないって決めたんで」と自分の“真ん中”を再確認して歩み進める堂本剛。8月16日には『SUMMER SONIC 2019 』東京会場、8月18日には大阪会場、さらに9月13日、14日、15日と京都・平安神宮での奉納演奏、そして9月24日Zepp DiverCity、10月4日Zepp Nagoya、10月7日、8日Zepp Nambaと、ステージが続く。

 人生とは、自分ではどうしようもないような大きな波に打たれ、それをなんとか耐え、ようやく訪れた凪に、その波の意味を見出していく日々の連続だ。そんな一つひとつの波と真正面から向き合ってきた堂本剛だからこそ、彼のFUNKを聞いていると、大海原で溺れそうになっている私たちに「もっと力を抜いて浮いてごらん」と言われているような感覚になる。力まず、手足を広げて、自分の真ん中を意識しながら、素直に漂う。そうすれば、きっと悲しい別れも含めた多くの出会いが繋いでくれた縁の力が、自分が行くべきところに、本来のあるべき姿に、導いてくれるはずだ、と言われているかのような……。

 何かと忙しい日々を過ごしている人や、つい誰かと比べてネガティブになってしまっている人は、ぜひこの溶けてしまいそうなアツい夏の夜に『NARALIEN』を手にとってみてはいかがだろうか。(佐藤結衣)

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