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MOTアニュアル2019 Echo after Echo:仮の声、新しい影

19/12/7(土)

「影響」とは影の響きと書く。何かに触発され、そのものの声を聞いて新たに何かがつくられる。コピーやサンプリングといった手法も、世界の残響(エコー)を聴きながら、そこから新しい影をつくりだすような営みととらえられる。それが繰り返し、繰り返し世界はつくり続けられている。THE COPY TRAVELERSはいわば世界工場だ。 6組の出品作家のうちとりわけ印象に残るのが三宅砂織の映像作品。1936年のベルリン・オリンピックに体操選手として出場したある日本人男性の遺品と出会い、彼が遠征の途中で訪れたポツダムの庭園に実際に足を運んで、光と影が反転した映像をつくりだした。噴水の水は黒く、上昇しながら下降する。ナチスドイツ政権下で開催された大きな歴史のうねりの前に、一個人として立ち尽くし見つめたであろうその時間がどんなだったか、想像しながら見入った。写真を透明フィルムに描き写し、それを感光させたフォトグラム作品の「影」も、現在の私たちの傍でちらちらと蠢いているのかもしれない。5月に行われた自主企画で発表された作品が掬い上げられ、大きな空間、大きな画面に展開されたことにもキュレーターのセンサーを感じる。 ほかに吉増剛造プロジェクトと鈴木余位+KOMAKUSによる展示空間では、見に行けなかった「リボーンアート・フェスティバル2019」での一端がうかがえた。まさに微震する声を拾い、影を刻む人。

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