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IZ*ONE、TWICEとの“トップ争い”でK-POPシーンを活性化 初動1位『HEART*IZ』に感じる勢い

リアルサウンド

19/4/15(月) 7:00

 昨年秋に登場後、日韓の音楽シーンで圧倒的な存在感を見せる女性12人組・IZ*ONE(アイズワン)が2019年4月1日、韓国で2ndミニアルバムをリリースした。タイトルは『HEART*IZ』。「愛」「心」という意味のHEARTとグループ名を合わせたもので、その言葉の通り、メンバーらがリスナーに届けたい真っ直ぐな想いや本当の気持ちを込めた計8曲が収められている。

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 デビューミニアルバム『COLOR*IZ』とリードトラックの「La Vie en Rose」で主要なヒットチャートと音楽番組の1位を総なめにし、賞レースでも新人賞で5冠王になるなど、ファンのみならず関係者も驚くほど輝かしい成績を収めた彼女たちだが、本作ではプレッシャーに負けることなくさらに勢いが加速していることが、どの曲からも伝わってくる。

 プロデュースは前作と同様にハン・ソンスが担当。キュートで少しセクシーな大人の女性という路線で数々のアーティストを成功へと導いた彼の手腕は『HEART*IZ』でも十分に発揮されており、中でも「Violeta」は、(ソングライティングには関わってはいないものの)ハン・ソンス特有のカラーが色濃く出た仕上がりで、ヒットするのも当然だろう。

 それでは収録曲を順に紹介したいと思う。オープニングを飾るのは「ひまわり」。ディープハウスにアフリカ風のリズムを加えたアフロハウスと呼ばれるジャンルの曲で、〈私の目の中に愛をいっぱい入れて/I just look at you/君だけながめるから〉という爽やかな歌詞が早くも夏の日差しを感じさせる。各メンバーのいつも以上に可愛らしい歌声が聴きどころだ。

 2曲目の「Violeta」はすでにご存じの通り、IZ*ONEの2ndシングル扱いの曲として各種チャートのトップとなっている。デビューヒット曲「La Vie en Rose」ではムーンバートンを取り入れていたが、今回はトロピカルハウスで勝負。スタイルの違いはあれど、ポジティブなオーラを放ちながらも哀愁が漂う独特のサウンドメイクは今回も健在だ。ミュージックビデオやステージにおけるダンスのシンクロ度の高さも是非チェックしてほしいところ。一部で「La Vie en Rose」と曲調が似ているという指摘もあるが、これはEDMの美意識を踏襲したものであり、あまり気にするポイントではない。

 続く「Highlight」はディープハウスにカテゴライズされるサウンドで、クールな装いはどことなく公園少女の「Puzzle Moon」を思わせるが、歌詞は〈今の姿そのまま/飾らないこのまま/ありのまま 私はHi Highlight〉と力強い。このギャップが最大の魅力となっている。

 スピード感のある曲が続いた後はポップなバラードが登場。「Really Like You」は、おそらくメンバー自らのことを歌ったのだろう。“私たち一緒ならいつも光ることができる”という思いを込めた友情ソングだ。メンバーのキム・ミンジュと本田仁美が作詞に参加していることで注目を集めている曲で、『HEART*IZ』のハイライトとしてファンの人気も高い。

 「Airplane」は本作の中で最も元気なナンバーだ。リスナーに語りかけるような歌い方、前向きな歌詞、チアリーディングを思わせる掛け声など、TWICEを意識した要素が満載でニヤリとさせられる。「こんなスタイルだってお手のもの」とでも言いたげなサウンドメイクは、ひょっとするとライバルへのけん制球なのかもしれない。

 青い空に向かって大きく羽ばたいていく自分たちを「Airplane」で表現したIZ*ONEは、応援してくれる人たちへの感謝の気持ちも忘れない。一緒に雲の上まで飛んでいこうと明るく歌うファンソング「空の上」は、コンサートの終盤やアンコールを盛り上げるための定番曲になるはずだ。

 「猫になりたい」と「ご機嫌サヨナラ」は、日本デビューシングル『好きと言わせたい』のカップリング曲の韓国語バージョン。どちらもオリジナルの歌詞は秋元康が手掛けているが、これが韓国語にかわると王道のK-POPに聞こえてしまうから不思議である。日韓のポップスの良いところだけを集めた曲をアルバムの最後に置く構成に、グローバルアイドルを目指すグループらしさを感じさせる。

 粒ぞろいの楽曲が収められた『HEART*IZ』は、初動(リリース後1週間の)売り上げが13万枚を超えて大きな話題となった。これまでの初動売り上げ1位はTWICEで、その成績を上回ったことで、IZ*ONEは数字的には韓国の歴代ガールズグループのトップに立ったと言えよう。

 IZ*ONEとTWICEの共通点は多い。オーディション番組出身、日本人メンバーが在籍、楽曲の親しみやすさ、ビジュアルの良さ、ダンスのレベルの高さなど、例をあげればきりがない。正直なところ、両グループの人気はほぼ互角であり、今回はIZ*ONEの世界的な成功を意識した活動ぶりが記録的なセールスにつながったと推測される。しかし、ライブの動員や社会的な影響力ではTWICEのほうがいまだに強いはずだ。いずれにしても、この2組のトップ争いがK-POPシーンを活性化させていることは間違いない。

 IZ*ONEとTWICEの熱き戦いは、IZ*ONEの活動が終了する2021年4月まで続いていくはずだ。その行方をしっかりと見守りたいと思う。(まつもとたくお)

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